金を作る方法とは?中世の錬金術から現代技術など金の製造の歴史から将来展望を解説
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古代から人類を魅了し続けてきた金。
中世の錬金術師たちは他の金属から金を作り出そうと試み、現代では高度な冶金技術によって金鉱石から純金を取り出しています。
金を作る方法には、天然の金鉱石から純金を作る製錬技術や、都市鉱山と呼ばれる電子機器からの回収技術まで、さまざまな方法が存在します。
本記事では、錬金術の歴史的背景から最新の製造技術まで、金を作る方法について詳しく解説します。
Contents
金を作る方法の基本となる「冶金技術」とは
金を作るには、鉱石から金属を取り出す「冶金技術」の理解が欠かせません。
この技術は何千年もの歴史を持ち、現代の高純度な金づくりを支えています。
冶金の歴史と発展を解説
冶金技術の始まりは、紀元前5000年頃まで遡ります。中近東やバルカン半島の人々が自然銅を溶かして加工する技術を発見したのがきっかけでした。
約2000年後の古代メソポタミアでは、銅に錫を加えて青銅を作る技術が生まれ、青銅器時代が始まります。
紀元前1500年頃には鉄の製錬が可能となり、金属加工の技術は飛躍的に進歩しました。
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中世になると水車の力を利用した大規模な金属製造が可能となり、11世紀には年間で銅8,000トン、鉄40,000トン、銀100トンが生産されていたといわれています。
産業革命以降は高炉技術が発達し、現代のような精密な金属製造が実現されました。
製錬と精錬の違いとは
金を作る過程でよく混同されるのが「製錬」と「精錬」といえるでしょう。読み方は同じでも、実際の作業内容は大きく異なります。
製錬と精錬の違い
製錬(せいれん)
- 鉱石から金属を取り出す最初の工程
- 高温で鉱石を溶かす方法を使用
- 化学的な反応を利用する方法もある
- 鉱石に含まれている金を分離する作業
- この段階では多くの不純物が含まれている
精錬(せいれん)
- 製錬の後に行われる工程
- 取り出した金属から不純物を除去する作業
- 金属の純度を高めることが目的
- 電気分解による処理方法
- 化学処理による方法もある
- 商品として使える高純度の金を作り上げる
製錬とは、鉱石から金属を取り出す最初の工程を指し、高温で鉱石を溶かしたり、化学的な反応を利用したりして、鉱石に含まれている金を分離する作業です。
ただし、この段階では多くの不純物が含まれており、製錬の後に商品として使える高純度の金を作り上げる精錬が行われます。
現代の冶金技術とは
現代の冶金技術は科学的な分析に基づいており、「科学冶金」と呼ばれています。
コンピューター制御による自動化システムが導入され、温度や圧力、化学反応を精密にコントロールすることで従来では不可能だった品質の安定した金を効率よく生産できるようになっています。
また、環境への影響を最小限に抑える技術も開発され、持続可能な金づくりが実現されつつあるといえるでしょう。
錬金術から学ぶ金を作る歴史とは
中世ヨーロッパで発達した錬金術は、現代の冶金技術の基礎を築いたといえるでしょう。
金を作ろうとした当時の試みから、現代の化学や冶金学につながる知識が生まれています。
中世からの錬金術の歴史
錬金術の起源は古代エジプトやギリシャにまで遡り、中世ヨーロッパで本格的に発達しました。8世紀頃からアラビア世界で研究が進み、12世紀にヨーロッパに伝来したとされています。
錬金術師たちの主な目標は、銅や鉛などの一般的な金属を貴重な金や銀に変えることでした。
すべての物質は「水銀」「硫黄」「塩」の3つの基本要素から成り立っていると考え、これらの組み合わせを変えることで金属の変換が可能だと信じていたのです。
特殊な装置を使って金属を加熱し、さまざまな化学物質を混ぜ合わせて金を作ろうと試み、蒸留器やるつぼ、加熱炉などの道具を駆使し、何年もの間実験を繰り返していたといわれています。
賢者の石と金の関係性
錬金術で最も有名なのが「賢者の石」という概念です。この石があれば、どんな金属でも金に変えることができると信じられていました。
賢者の石は「哲学者の石」とも呼ばれ、わずかな量でも大量の金を作り出せるとされていたのです。
実際には多くの錬金術師が賢者の石の製造に挑戦しましたが、作り出すことはできていません。
しかし、この探求過程で多くの化学実験が行われ、新しい物質の発見や化学反応の理解が深まったといえるでしょう。
錬金術が現代科学に与えた影響
錬金術の研究は失敗に終わりましたが、その過程で得られた知識は現代科学の基礎となっており、特に化学や冶金学の発展に大きな影響を与えたといえるでしょう。
錬金術師たちが使っていた蒸留や昇華、結晶化などの技術は、現代の化学実験でも基本的な手法として使われています。
また、物質の性質を詳細に観察し記録する習慣は、観察に基づき検証可能な仮説を立て、それを実験や調査によって反証・検証し、結果を元に知識を改良・構築していく現代の科学的方法論の原型となったといえるでしょう。
金を作る技術として都市鉱山が注目されている理由
現代では、天然の鉱山だけでなく「都市鉱山」からも金を作り出すことができます。環境問題への関心の高まりとともに、この技術が注目を集めているのです。
都市鉱山とは
都市鉱山とは、都市部に蓄積された使用済み製品の中に含まれる有用な金属資源を、鉱山のように見立てた概念です。
1988年に東北大学の南條道夫教授らが提唱した言葉で、英語では「Urban Mine(アーバンマイン)」と呼ばれています。
従来の鉱山が地中深くから鉱石を掘り出すのに対し、都市鉱山は私たちの生活空間にある製品から資源を回収します。
つまり、都市そのものが資源の宝庫といえるでしょう。
たとえば、携帯電話1台には目安として0.03~0.05グラムの金が含まれると言われており、これは微量に思えるかもしれませんが、日本全体で眠っている携帯電話の数を考えると、膨大な量の金が都市に埋もれていることになるのです。
貴金属やレアメタルなどが回収できる
都市鉱山を構成する製品は、私たちの生活に身近なものばかりです。代表的なものとして、まず挙げられるのが携帯電話やスマートフォンでしょう。
これらには金、銀、銅、パラジウムなどの貴金属が使用されています。
また、使われなくなった指輪、ネックレス、ブレスレットなどのアクセサリー関連に使用されている貴金属も都市鉱山に該当します。
都市鉱山からはさまざまな貴金属やレアメタルを回収することができます。これらの金属は現代の産業に欠かせない重要な資源といえるでしょう。
日本の都市鉱山の可能性
日本の都市鉱山に眠る資源量は、世界でもトップクラスといえるでしょう。
独立行政法人物質・材料研究機構の試算によると、日本の都市鉱山には金が約6,800トン、銀が約6万トン蓄積されているとされています。
実際、政府や企業による回収システムの整備が進んでおり、家庭や企業から出る電子機器廃棄物(都市鉱山)から金などの回収が進んでいるといえるでしょう。
東京オリンピック・パラリンピックでは「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」が実施され、都市鉱山から回収した金属でメダルが作られています。
このプロジェクトが世界的に評価され、将来的にも都市鉱山からの金回収が日本の重要な金供給源となることが期待されています。
金を作る技術の将来展望とは
金を作る技術は今後さらに発展していくことが予想されます。
環境への配慮や効率性を重視した新しい製造方法が研究されており、持続可能な金の供給が実現される見込みです。
新しい採掘技術の開発
従来の金採掘は環境への負荷が大きいという課題がありましたが、新しい技術により環境に優しい採掘が可能になりつつあります。
深海底に眠る金鉱石を採掘する技術や、宇宙空間の小惑星から金を採取する技術まで研究されており、これらの技術が実用化されれば、地球上の金鉱山の枯渇問題を解決できるかもしれません。
また、AI技術を活用した鉱脈の発見や、ロボットによる無人採掘システムなども開発が進んでいるなど、人間が危険な環境に入ることなく効率的に金を採掘できる技術が実現される日も近いといえるでしょう。
金の需要と供給の未来
電子機器の普及や新興国の経済発展により、金の需要は今後も増加していくと予想されます。
一方で、天然の金鉱山の埋蔵量には限りがあるため、新しい供給源の確保が世界的な課題といえるでしょう。
都市鉱山からのリサイクルや人工的な金の合成技術の発展により、将来的には金の供給不足問題が解決されると期待されています。
特に、原子レベルでの物質変換技術は研究段階で、すでに実現されており水銀から金を作る実験は成功しているものの、現在はコストが非常に高いなどの実用化には課題が残っているといえるでしょう。
まとめ
金を作る方法は、古代の錬金術から現代の高度な冶金技術まで、長い歴史の中で大きく発展してきました。
現代では金鉱石の採掘・精錬技術により高純度の金が製造され、都市鉱山からのリサイクル技術も重要な供給源となっています。
将来的には環境に配慮した新しい製造方法や、宇宙資源の活用なども期待されており、金を作る技術はさらなる進化を続けていくことでしょう。
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