金の採掘について|日本と世界の鉱山・採掘方法・環境問題まで徹底解説

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金は古代の装飾品から最新のスマートフォンの部品まで幅広く活躍し、私たちの暮らしと切り離せない存在です。本記事では、世界最大の産金国ランキングから日本唯一の鉱山やリサイクルまでを、わかりやすく解説します。
採掘についての知識だけでなく、投資やジュエリーの価値判断にも役立つ基礎知識をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

Contents
金の採掘について

金は古くから人類にとって貴重な資源であり、その採掘(鉱山から掘り出すこと)は世界各地で長い歴史を刻んできました。金の採掘とは、地下の鉱石や川砂に含まれる金を見つけ出して取り出す産業のことです。
まずは金の採掘の仕組みや歴史について確認していきましょう。
金の採掘の基本的な仕組み
金の採掘では、まず金を含む鉱石や砂を地中や河川から採り出し、それを加工して純粋な金属に精錬します。金鉱石は岩石の中にごく微量の金が含まれたもので、鉱山ではその鉱脈を探し当てて坑道を掘り進め、鉱石を切り出します。
採掘した原料は細かく砕いた後、すり鉢や揺動テーブルなどで重さの違いを利用して金粒を濃縮する選鉱工程を行います。その後、高温の炉やシアン化法など薬品処理による精錬で不純物を除去し、純度99%以上の地金(インゴット)に精製されます。こうして得られた金地金は、金貨やアクセサリー、電子部品などさまざまな製品に活用されていきます。
古代から現代までの金の採掘の歴史
金の採掘には長い歴史があります。古代文明の時代から各地で金鉱山が開発され、金は貴重な財宝とされました。日本では奈良時代の749年に東北地方で金が発見され、それが752年完成の東大寺大仏の金メッキに使われています。
その後、中世から江戸時代にかけて佐渡金山(新潟)など各地で金の採掘が盛んに行われ、日本は「黄金の国ジパング」と称されました。19世紀、米国や豪州でゴールドラッシュ(採金ブーム)が起こり、一攫千金を夢見る人々が鉱山に殺到しました。現代では大型機械と高度な技術を駆使した効率的な採掘が主流となり、世界全体で年間約3,000トンの金が生産されています。
採掘と精錬の違い
金の採掘(マイニング)とは、鉱山や川などから金を含む鉱石や砂を掘り出すことです。一方、精錬(リファイニング)とは、採掘で得られた原料から金属としての金を取り出し、不純物を除去してその純度を高める工程を指します。
採掘は地中から金の原料(鉱石や砂金)を獲得するプロセスであり、精錬はその原料から純度の高い金を作り出すプロセスという違いになります。
例えば、川で砂金を採取する行為は採掘にあたり、それを融解・薬品処理してインゴット(金地金)にするのが精錬です。採掘された鉱石は製錬所で溶解や化学処理を施され、純金インゴットとして世に出ます。
- おたからや査定員のコメント
金は比重19.3の延性に富む貴金属で、化学的安定性の高さから古来貨幣・装飾に重用されてきました。鉱石品位は1〜5g/tが目安ですが、浅熱水性鉱床など成因により変動します。
精錬ではシアン化法や電解精製で純度99.99%へ高め、電子部品や投資用地金に使用されることが多いです。環境規制強化に伴い、低毒性薬剤や尾鉱処理技術の革新が必須となり、資源循環を意識した都市鉱山活用も評価指標となります。

金はどのようにできるのか

金は地球上にどのように存在し、どのようなメカニズムで鉱脈として生成されるのでしょうか。
ここでは、地球内部で金が生まれる仕組みや、金鉱脈が形成される地質学的プロセス、さらに火山地帯に金が多い理由などについて解説します。
地球内部で金が生まれる仕組み
金という元素そのものは宇宙での核反応(超新星爆発など)によって生成されたとされますが、地球内部で金が「生まれる」メカニズムとしては、マントル深部に存在する金が火山活動によって地殻に運ばれるという説があります。
実際、地下約70kmの深さで形成された岩石から金が見つかった例もあり、マントル中の金がマグマに溶け込み、火山の噴火とともに地表近くまで移動して鉱床を作った可能性が示唆されています。
一方で、地球にある金の大部分は太古に隕石によってもたらされたとする説も有力で、現在はこちらの説が有力視されています。
金鉱脈の形成過程
地殻内で金鉱脈が形成される代表的なメカニズムは、マグマの熱で加熱された「熱水」によるものです。地下深部から上昇してきた高温高圧の熱水が地殻の断層や岩盤の割れ目に沿って移動し、温度や圧力の変化によってそれまで溶けていた金が水晶(石英)などとともに析出・沈殿します。
こうして岩石の隙間が金や石英で満たされることで鉱脈が形成されます。金鉱山で白い石英脈の中に金色の粒が見られるのはこのためです。その後、鉱脈が地表に露出して風化・浸食されると、金の粒子が川へ流れ出し、川底に砂金として堆積することもあります。
火山帯に金が多い理由
金鉱脈は火山活動と深い関わりがあります。プレート沈み込み帯など火山の多い地域では、地下深くのマグマから供給された熱水の循環が活発で、地殻内に浅熱水性の金鉱床が形成されやすくなります。実際に、環太平洋火山帯に位置する国々は有数の金産出地域として知られます。
火山のマグマが噴出して地下水と作用することで金を含む熱水が発生し、それが冷え固まって金鉱脈となるため、火山帯には金の鉱床が多いのです。また、火山活動で生じた地熱や化学反応が金の濃集を促すとも考えられています。
金の濃集(のうしゅう):地殻中に平均的に存在するごく微量の金が、特定の地質学的プロセスを経て、採掘可能なほど高濃度に集積した状態、またはそのプロセスのこと
金の採掘方法と精錬工程

金を採掘して純金を得るまでには、さまざまな工程があります。鉱山の形態による採掘手法の違いや、採掘した鉱石から金を取り出す選鉱・精錬のプロセスは金の採掘の重要な知識です。
ここでは、露天掘りと坑内掘りの違い、鉱石の選鉱と精錬の流れ、そして、採掘後に金がどのように製品化されるかを説明します。
露天採掘と坑内採掘の違い
金鉱石の採掘方法には、大きく地表から削り取る「露天掘り(オープンピット)」と、地下に坑道を掘る「坑内掘り(地下採掘)」があります。鉱脈の深さや規模によって最適な手法が選ばれます。
露天掘りは地表近くの浅い鉱体を採る方法で、巨大な重機を使い地面を大規模に掘削できるため、坑内掘りより採掘コストが低く済みます。反面、土地の大規模な切り取りに伴い森林破壊や粉塵公害など環境への影響が大きい点が課題です。
一方、坑内掘りは地下深部の鉱脈に坑道を掘り進めて鉱石を切り出す手法で、地表の景観破壊は小さいものの、換気や落盤防止など安全管理や維持に手間と費用がかかります。
鉱石の選鉱と精錬プロセス
金鉱石から金を取り出すには、採掘後に「選鉱」と「精錬」の工程を経る必要があります。まず採掘した鉱石を細かく砕き、金を含む部分を濃縮する選鉱を行います。例えば、金の比重の重さを利用して金粒を砂利から分離する比重選鉱や、薬剤の泡に鉱物を付着させて選別する浮遊選鉱などが用いられます。
こうして得られた精鉱をさらに精錬し、純金を取り出します。精錬には、鉱石を高温で溶かして金銀合金を取り出す火法精錬や、シアン化合物で金を溶解・回収する湿式精錬などが使われます。最終的に、純度99%以上のインゴットが生成されます。
採掘後の金が製品になるまで
鉱山から産出した金は、精錬によって高純度の地金(インゴット)にされた後、さまざまな形で製品化されます。一般的には、鉱山現場または製錬所で溶融・鋳造され、純度90%前後の粗製インゴットが作られ、それを専門の精製業者が化学処理して純度99.99%の純金インゴットに仕上げます。
その後、この純金は用途に応じて加工され、金貨や地金バーとして投資用商品になったり、ジュエリーや装飾品の材料になったり、電子部品や歯科合金など産業用途に供給されたりします。金は展延性に富み、薄い箔や細い線にも加工できるため、さまざまな製品に姿を変えて活用されているのです。
世界と日本の金産出量と主な鉱山

世界では毎年数千トン規模の金が産出されており、その生産量は国や地域によって大きく異なります。一方、日本の金の産出量は限られていますが、国内唯一の稼働金鉱山である菱刈鉱山や、過去の有名な金山について知っておくことは重要です。
ここでは、世界の主要な金産出国ランキングと、日本における金鉱山の現状について紹介します。
世界の金の採掘量ランキングと主産地
世界最大の金生産国は中国で、2024年には約370トンを産出しました。次いでオーストラリアとロシアが各約310トンで続き、カナダやアメリカ合衆国も主要な産出国となっています。これら上位国の増産により、世界全体の年間金産出量は近年約3,100トンに達しています。
かつて世界一だった南アフリカ共和国は生産衰退により2024年は約100トン(第9位)に留まり、中国・オーストラリア・ロシアの台頭が顕著となっています。
日本における金鉱山の現状
日本では現在、商業規模で稼働している金鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山のみです。菱刈鉱山の鉱石は1トンあたり平均20g前後という高品位で、多くの金を含むため少ない採掘量でも効率よく金が得られます。年間産出量は約6~7トンにのぼり、国内新規産出金の大半を占めています。
かつては佐渡金山(新潟)や鴻之舞金山(北海道)など全国各地に金山が存在しましたが、資源枯渇や採算悪化によりほぼ全て閉山しました。現在、日本の金供給は菱刈鉱山と、非鉄金属精錬の副産物およびリサイクル(金の都市鉱山)に依存しているのが現状です。
鹿児島・菱刈鉱山の特徴と高品位の理由
鹿児島県の菱刈鉱山は世界有数の高品位金鉱床として知られています。通常、金鉱石の品位(含有量)は数g/トン程度ですが、菱刈鉱山では試錐で最大290g/トンもの高品位が確認され、平均でも約40g/トンと世界平均の10倍に達します。
なぜこれほど高品位なのか明確には解明されていませんが、この鉱床はマグマ由来の熱水で形成された「浅熱水性鉱脈型」金銀鉱床であり、冷たい地下水との急激な変化によって一気に金が沈殿・濃集した可能性が指摘されています。
特殊な要因により、菱刈鉱山では少量の鉱石から多くの金が産出でき、採算性が非常に高くなっています。
日本で金が採れる場所

日本国内で金が採れる場所には、現在操業中の鉱山から、かつて採掘が行われた鉱山跡、川で砂金が採れる地域、さらには海底の熱水鉱床など多様なものがあります。
ここでは、商業的に稼働している金鉱山、趣味として砂金採りが可能な地域、そして新たな金資源として注目される海底の鉱床など、日本における金の採取場所について紹介します。
現役の金鉱山
日本で商業的に稼働している金鉱山は、鹿児島県伊佐市にある菱刈鉱山(ひしかりこうざん)が唯一です。菱刈鉱山は住友金属鉱山株式会社が運営し、国内最大の金産出量を誇り、年間に数トン規模の金を産出しています。
その鉱石は平均約20g/トンの金を含む高品位で、世界でも有数の効率的な鉱山として知られます。このほか、古くから知られる金山跡地で小規模な再開発や試掘調査が行われる例はありますが、新たに商業採掘が再開された金鉱山は現在ありません。日本における金の採掘は菱刈鉱山にほぼ依存しているのが実情です。
砂金が取れる地域・河川
現在、日本各地で砂金が少量ながら採取できる地域があります。特に北海道はかつて砂金採りで有名で、現在も道内のいくつかの河川で砂金が見つかることがあります。東北地方から中部地方にかけても、上流に金鉱脈があった川では過去の名残として砂金が採れることがあります。
代表的なのは新潟県佐渡島の西三川砂金山周辺で、観光客向けの砂金採り体験が人気です。なお、河川で趣味として砂金採りを行うこと自体は違法ではありませんが、場所によっては採取が禁止されている場合もあるため注意が必要です。
海底熱水鉱床など新たな金資源
海底の熱水鉱床は、金などの貴金属を含む硫化鉱物が堆積した鉱床で、新たな金資源として注目されています。日本近海でも、沖縄トラフや伊豆・小笠原海域などに海底熱水鉱床が確認されており、2015年には伊豆諸島青ヶ島沖の水深約700m地点で金の濃度が非常に高い鉱石が発見されました。
海底鉱山から金を採掘する技術開発も進められており、有人・無人探査機による調査や試験的な採取が行われています。しかし、深海での採掘は技術的ハードルやコストが大きく、環境への影響も未知数であるため、商業化には慎重な検討が必要とされています。
採算ラインとコスト構造

金鉱山の経営には、金の含有量や市場価格、採掘コストなどさまざまな経済的要因が影響します。
ここでは、金の採掘の採算ラインとコスト構造について解説します。
採掘コストを左右する要素
金の採掘にかかるコストは、多くの要素によって左右されます。まず、鉱石中の金の品位(濃度)が重要です。品位が高いほど少ない鉱石から多くの金を得られ、採掘・処理コストあたりの収益性が向上します。逆に、品位が低い鉱床では大量の土砂を処理する必要があり、コスト増につながります。
また、鉱脈の埋蔵量や深さ、露天掘りか坑内掘りかといった採掘手法の違いもコストに影響します。さらに、人件費や燃料・電力などのエネルギーコスト、機械設備の維持費、鉱山までのインフラ整備費なども無視できません。
環境対策や安全管理にかかる費用、行政上の手続き費用や税金なども総合的な採掘コストに加算されます。
金の品位(g/t)の意味と採算性
金鉱石の品位とは、1トンの鉱石に含まれる金の量(グラム数)を指し、単位g/tで表されます。例えば品位5 g/tなら、1トンの鉱石から約5gの金が取れる計算です。当然ながら、品位が高いほど少ない鉱石で多くの金を得られるため採算が良く、品位が低い鉱床は利益を出すのが難しくなります。
一般に大規模な露天掘り鉱山では1g/t前後の低品位でも大量採掘で採算を取れる場合がありますが、規模の小さい鉱山では2~3g/t以上の品位がないと採算ラインに届かないとされます。
現在稼働中の世界の金鉱山では採掘品位が1 g/t程度まで低下してきており、技術の進歩により従来は経済的に見合わなかった低品位鉱石も採掘対象になりつつあります。
金価格の変動が与える影響
金価格の変動は鉱山の採算に直接影響を与えます。金価格が高騰すれば、それまで採算に合わなかった低品位の鉱床でも利益が見込めるようになり、閉山していた鉱山の再開や生産拡大が促されます。逆に、金価格が下落すると、採算ギリギリの鉱山は利益が出なくなり、生産縮小や一時休止、場合によっては閉山に追い込まれることもあります。
また、金価格は長期的に見ると鉱山の生産コストによって下支えされる傾向があります。例えば、近年では、世界の鉱山の総生産コストが高まったことで、金価格が極端に安い水準まで下落する可能性は低くなっているとも言われます。
このように、金価格の上下は金の採掘業界の投資判断や操業計画に大きな影響を与えるのです。
日本の採掘に関する法律と環境問題

金鉱山の開発・操業には、法律上の許認可や環境・安全面での規制が伴います。日本においては、鉱業法によって採掘権が定められており、環境保全や安全管理のためのさまざまなルールがあります。
ここでは、日本の採掘に関する法律の基本と、環境保全・安全管理の取り組み、そして無許可の採掘や砂金採りに関する注意点について説明します。
鉱業法と採掘権の基本
日本では、金の採掘には鉱業法に基づく「採掘権」が必要です。採掘権とは、鉱業権の一種で、国から許可を受けて特定の区域内で鉱物を採掘して取得できる権利を指します。
無許可で他人の土地や国有地から資源を採ることは禁止されており、違反すると処罰の対象となります。採掘権は経済産業省によって許可・管理され、採掘計画の提出や環境への配慮などが求められます。
環境保全と安全管理のルール
鉱山開発では環境保護と安全管理が最重要です。法律により、採掘時には森林伐採や水質汚染を最小限に抑える措置が義務付けられています。具体的には、採掘跡地の復旧や、採掘に伴う排水を浄化して有害物質を流出させない管理、廃石や尾鉱の適切な処分が求められます。
金の採掘は森林破壊や土壌浸食、尾鉱と排水の管理、化学薬剤の漏えいなど環境負荷が大きい産業であり、地域社会への影響も無視できません。そのため、鉱山企業は環境影響評価を実施し、汚染防止設備の設置やモニタリングを行っています。
また、鉱山保安法に基づき坑内の換気やガス検知、崩落防止など労働者の安全確保策も厳格に運用されます。行政による監督のもと、定期的な環境影響調査や安全点検が行われ、違反があれば操業停止命令など厳しい対処が取られます。
無許可採掘や砂金採りの注意点
金鉱脈の無断採掘は法律で禁じられており、砂金採りも場所によって注意が必要です。鉱業権が設定された区域や国立公園などでは、許可なく砂金を採取する行為は違法となります。趣味で河原などで砂金探しをする場合でも、土地の所有者の承諾や自然保護のルールを守らなければトラブルになりかねません。
また、採取した砂金を無許可で売却することは、事業としての採掘と見なされる恐れがあるため避けるべきです。まとめると、金を探す行為を楽しむ際には、法律とマナーを遵守し、安全と環境に十分配慮することが大切です。
都市鉱山(リサイクル)というもう1つの採掘

地中から採掘する以外にも、「都市鉱山」と呼ばれるリサイクルによる金の回収がもう1つの重要な資源確保手段です。使用済みの電子機器などに含まれる金を回収・再利用することで、鉱山から採掘しなくても金を得ることができます。
日本は都市鉱山大国ともいわれ、電子機器のリサイクルで多くの金を回収してきました。ここでは、都市鉱山の定義と日本の現状、電子機器からの金の回収技術、その経済的価値について解説します。
都市鉱山の定義と日本の現状
「都市鉱山」とは、廃棄される家電製品などに含まれる有用金属を、地上に存在する「鉱山」に見立てたものです。そこから資源を再生し、有効活用しようというリサイクルの一環として位置づけられています。
日本は世界有数の都市鉱山を保有するといわれ、独立行政法人・物質・材料研究機構(NIMS)の推計によれば、日本の都市鉱山に存在する金の総量は約6,800トンで、これは全世界の現有埋蔵量の約16%に相当します。
近年、政府や自治体も電子機器リサイクルを推進しており、東京オリンピック(2020年)では全国から集めた廃スマホなどから金・銀・銅を回収してメダルを製造したことが話題になりました。都市鉱山は、日本が「資源大国」になり得る可能性を秘めた存在として注目されています。
電子機器に含まれる金の回収技術
携帯電話やパソコンなどの電子機器には微量ながら金が含まれています。例えば、携帯電話1台には約0.05g、ノートパソコン1台には約0.03gの金が含まれると言われます。
リサイクル工場では、使用済み電子機器から基板などを回収し、粉砕して薬品で金や他の金属を溶出させる湿式精錬法や、高温で溶かして金銀を分離する乾式精錬法によって金を取り出します。現在も日本の精錬業者が都市鉱山から金を精製し、新たな地金として供給しています。
技術の進歩により、低濃度でも大量の電子スクラップを処理することで、かつては採算が合わなかった資源からも金を回収できるようになっています。
リサイクル資源が持つ経済的価値
日本では2005年時点で廃電子機器などから年間約30トンの金が再生されており、これは国内鉱山産出量を大きく上回る量です。こうした都市鉱山の活用は、資源の有効利用や海外鉱山への依存度低減につながり、経済的にも意義があります。
金は回収・精錬しても劣化しないため、一度使われた金属でもリサイクルによって永続的に価値を生み出せます。近年では世界全体の金供給の約30%がリサイクル由来で賄われているともされ、日本国内でも「都市鉱山」に眠る金は今後の重要な資源として位置づけられています。
経済産業省なども資源小国の日本において都市鉱山の活用は極めて重要であると強調しており、今後ますますリサイクルによる貴金属回収の仕組みが整えられていくでしょう。
金の採掘の今後と将来展望

金の採掘産業は、技術革新や環境意識の高まりとともに変化しつつあります。今後の金の採掘では、新技術による効率向上やコスト削減が期待される一方で、環境負荷を減らす持続可能な採掘への転換も求められています。
また、日本国内でも新しい鉱脈の発見や海底資源の開発、都市鉱山の活用などにより再び注目される可能性があります。ここでは、金の採掘の将来展望として、新技術の導入、環境配慮型マイニングへのシフト、そして日本が将来産金国として注目される可能性について述べます。
新技術による採掘効率の向上
金鉱業では技術革新により採掘効率が向上しつつあります。例えば、大規模露天鉱山では無人ダンプトラックや遠隔操作ドリルなどの自動化が進み、24時間体制で安全かつ効率的に稼働できるようになっています。
AIや地質探査技術の進歩によって、地下の鉱脈を高精度に探し当てることも可能となり、無駄な掘削を減らすことができます。精錬分野でも、低品位鉱石や廃棄物から金を抽出する新しい薬剤やバイオ技術の研究が進んでいます。
これらの新技術は、従来採算が取れなかった資源の活用やコスト削減に寄与し、金の採掘の生産性を一段と高めることが期待されています。
環境配慮型マイニングへの転換
世界的に鉱業はより環境に配慮した形へとシフトしています。採掘による森林破壊や水質汚染を減らすため、各国の鉱山企業は環境負荷の低減に取り組んでいます。
例えば、採掘で使用する水を循環利用して新規取水を減らしたり、シアンなど薬剤の分解処理を徹底して汚染を防いだりする試みが進められています。採掘跡の尾鉱ダムの監視強化や、閉山後の植生回復、生物多様性への配慮も重視されるようになりました。
さらに、鉱山現場で再生可能エネルギーを導入して燃料消費を減らし、CO2排出削減に努める動きも出ています。エコ・マイニングとも呼ばれる環境配慮型の採掘は今後の世界的な潮流であり、サステナブルな鉱業への転換が求められているのです。
日本が注目される可能性
「資源小国」と言われる日本ですが、近年、海外企業による金鉱脈の探査が再び注目され始めています。日本列島は火山活動が活発で金鉱脈ができやすい地質のため、ある専門家は日本を「Land of gold(金の土地)」と表現しています。
実際、北海道では閉山した金山跡でオーストラリアやカナダの資本による試掘調査が行われ、新たな鉱脈の発見が報告されました。こうした動きから、日本には未発見の有望な金資源が埋蔵されている可能性があります。
また、海底熱水鉱床など周辺海域の資源開発や、都市鉱山の存在も含めて考えると、今後技術と経済条件が整えば、日本が再び産金国として脚光を浴びる可能性も否定できません。高騰する金価格や持続可能な資源確保への関心を背景に、日本国内の金資源が将来的に見直される展開もあり得るでしょう。
よくある質問

金の採掘に関するよくある質問をQ&A方式でまとめました。疑問がある方は、ぜひチェックしてみてください。
Q. 日本で今も稼働している金鉱山は?
A.現在、日本国内で商業採掘が行われている金鉱山は鹿児島県の菱刈鉱山(ひしかりこうざん)だけです。かつては全国に金山がありましたが、資源を採り尽くしたり採算が合わなくなったりして閉山し、今も操業を続けているのは菱刈鉱山のみとなっています。この菱刈鉱山が、日本の年間産金量のほとんどを支えています。
Q. 世界一金を多く採っている国は?
A.中国です。近年、中国は金の産出量で世界一を維持しており、年間300トン以上の金を生産しています。
その次に金の生産量が多い国はオーストラリアとロシアで、いずれも年間約300トン前後を産出しています。これら上位3カ国が世界の金生産量のかなりの割合を占めています。
Q. 砂金採りは法律的に問題ない?
A.個人が趣味で少量の砂金を川で採取する行為自体は、違法ではありません。ただし、採取場所によって注意が必要です。鉱業権が設定されているエリア(誰かが採掘権を持つ場所)や国立公園など保護区域では、無許可での砂金採りは禁止されています。
また、採った砂金を勝手に売却すると事業と見なされ違法となる可能性がありますので、あくまで趣味の範囲で節度を守って楽しみましょう。
Q. 金鉱山を個人で掘ることは可能?
A.法的・現実的に考えて、個人で本格的な金鉱山を掘るのは非常に難しいです。鉱山を開発するには採掘権を取得する必要があり、探鉱から開発まで膨大な資金と専門知識が求められます。
趣味で自分の土地や河原で砂金探しをする程度なら可能ですが、新たに金鉱脈を発見して鉱山を経営するのは、個人にはほぼ不可能で、通常は企業や専門業者が担う領域です。
Q. 金の採算ラインは何g/t?
A.一概には言えませんが、金品位が数g/tが1つの目安とされます。大規模な露天掘りでは1g/t程度でも大量処理で利益が出る場合がありますが、小規模鉱山では3~5g/t以上はないと採算が厳しいと言われます。
実際、現在稼働中の金鉱山の採掘品位は概ね1~5g/tの範囲に収まっています。品位が高いほど採算性が良く、逆に1g/tを大きく下回る低品位では採掘が難しくなります。
Q. 菱刈鉱山はなぜ高品位なの?
A.菱刈鉱山の金鉱石は平均して1トン中に20~40gもの金を含む特異な高品位です。明確な理由はまだ解明されていませんが、地質学的にはマグマ由来の熱水が関与した浅熱水性鉱床であり、地下水との急激な化学反応で金が一箇所に集中して沈殿した可能性があります。
こうした特殊な生成過程のおかげで、菱刈鉱山では世界最高レベルの高品位が実現していると考えられています。
Q. 海底から金を採掘できる?
A.技術的には可能ですが、まだ商業化されていません。 日本周辺でも沖縄トラフや伊豆・小笠原沖に金を含む海底熱水鉱床があります。既に試験採掘や調査は行われていますが、深海での作業はコストや技術面のハードルが高いです。
また、環境への影響も不明な点が多いため、実用化には時間と慎重さが必要です。将来的には海底からの金の採掘が現実になる可能性もあります。
Q. 都市鉱山とは何?
A.都市鉱山とは、都市で廃棄される電子機器や家電に含まれる金属資源を鉱山に見立てた呼び方です。具体的には、使われなくなったスマホやパソコンなどから金や銀などの貴金属を回収・リサイクルすることで、新たな資源を得る取り組みを指します。
日本の都市鉱山には約6,800トンの金が眠っているとの推計もあり、今後の資源として注目されています。
Q. 採掘にはどんな資格が必要?
A.金の採掘そのものに特定の国家資格が必要というわけではありませんが、鉱業法上の許可(採掘権)が不可欠です。
また、鉱山で働く上では危険物取扱者や発破技士などの資格が役立つ場合があります。鉱山責任者には鉱山保安に関する一定の資格や経験が求められます。要するに、採掘を行うには法的な許可と相応の技術・知識が必要ということです。
Q. 採掘と精錬の違いは?
A.採掘は鉱山や川から金を含む原料(鉱石や砂)を掘り出すこと、精錬は掘り出した原料から純度の高い金属(金)を取り出す工程のことです。
採掘は原料の採取、精錬は金属の抽出・精製という違いになります。例えば、砂金を川で集めるのが採掘、その砂金を溶かしてインゴットにするのが精錬です。
まとめ
金の採掘について、歴史から現代の技術、国内外の状況まで幅広く見てきました。古くから人々を魅了してきた金は、現代でも依然として経済的価値が高く、世界各地で採掘が続けられています。近年は技術革新によって採掘効率が向上し、リサイクルによる都市鉱山の活用も進んでいます。
一方、環境保全や安全管理への配慮もかつてないほど重視され、持続可能な採掘への転換が図られています。日本では菱刈鉱山が唯一操業を続けていますが、新たな鉱脈の発見や海底資源の開発、都市鉱山の存在など、潜在的な可能性も秘めています。
金の採掘の今後は、新技術と環境との両立が鍵となるでしょう。人類が長年追い求めてきた黄金との付き合い方も、時代とともに変化しつつあり、これからも進化していくことが期待されます。
「おたからや」での金の参考買取価格
ここでは、「おたからや」での「金」の参考買取をご紹介します。
2025年12月08日09:30更新
今日の金1gあたりの買取価格相場表
| 金のレート(1gあたり) | ||
|---|---|---|
| インゴット(金)23,000円 +25円 |
24金(K24・純金)22,816円 +25円 |
23金(K23)21,942円 +24円 |
| 22金(K22)20,976円 +23円 |
21.6金(K21.6)20,470円 +22円 |
20金(K20)18,722円 +20円 |
| 18金(K18)17,227円 +19円 |
14金(K14)13,340円 +14円 |
12金(K12)10,350円 +11円 |
| 10金(K10)9,246円 +10円 |
9金(K9)8,303円 +9円 |
8金(K8)6,164円 +7円 |
| 5金(K5)2,990円 +3円 |
||
※上記の買取価格はあくまで参考価格であり、市場の動向、
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保存は乾燥布で個包装し常温厳守、硫黄成分との接触は変色リスクを招くため避けましょう。今は地政学リスクで高値水準ですが、為替や金利で変動するため、売却時は日々の相場チェックが重要です。

金の買取なら「おたからや」
金を手放す際には、国際相場を正確に捉える査定店を選ぶことが大切です。「おたからや」では世界51カ国との取引実績と全国約1,600店舗のネットワークを活かし、その日の金価格を即座に反映した高価買取を実現しています。
インゴットや金貨はもちろん、切れたチェーンや片方だけのピアス、歯科用スクラップまで幅広く査定対象です。重量・品位刻印・コンディションを熟練の査定員が丁寧に確認し、付属品がなくても査定できますので安心してお持ちください。
買取方法は店頭買取に加え、無料の出張査定とLINEで写真を送るだけのオンライン簡易査定をご用意しています。外出が難しい方や忙しい方でも手軽に相場を把握できます。大切な金製品を納得の条件で売却したいときは、豊富な実績と誠実な対応で信頼を集める「おたからや」へぜひご相談ください。
おたからやの金買取
査定員の紹介
伊東 査定員
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趣味
ショッピング
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好きな言葉
有言実行
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好きなブランド
ハリーウィンストン
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過去の買取品例
おりん、インゴット
初めまして。査定員の伊東と申します。 おたからやでは金の買取をする際に、今日の金の1gの買取相場を基に、デザイン性などをプラスで評価して高価買取を行っております。過去に1万点以上の査定をさせていただきましたが、とても多くのお客様に想像以上の金額になったと喜んでいただきました。また、おたからやでは、すべての店舗に比重計を完備しているため、金の含有量を正確に測定することができます。 金額はもちろんのこと、接客も最高のおもてなしができるように心がけております。私共はお品物だけではなくお客様一人ひとりの思いに寄り添い満足して帰っていただけるように丁寧な説明を致します。誠心誠意対応させていただきますので、是非おたからやのご利用をお待ちしております。
その他の査定員紹介はこちら金を高く売るためのコツは、「金の価格が高いときに売ること」と「高値で買い取ってくれる専門店に売ること」です。金の価格は現在非常に高騰しているため、売却にはベストなタイミングといえます。
金の高価買取はおたからやにお任せください。
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