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ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは、世界でも限られた人しか目にできない伝説のブルーダイヤモンドです。深く澄んだ青色と、王室にまつわる歴史を持つその輝きは、宝石ファンだけでなく投資家からも注目を集めています。
「なぜこの石が22億円以上で落札されたのか」「ホープ・ダイヤと何が違うのか」「再カットで価値はどう変わったのか」など、気になる点も多いのではないでしょうか。
この記事では、ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの特徴や価値の決め手、他のブルーダイヤとの違い、そしてオークションでの価格推移までわかりやすく解説します。
青き奇跡と呼ばれるその魅力を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

Contents
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドとは?
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは、世界に数ある宝石の中でも異彩を放つ青色のダイヤモンドです。
まずは、ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの発見と歴史について見ていきましょう。
17世紀に発見された伝説のブルーダイヤモンド
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは17世紀にインド・ゴルコンダ地方で発見されたとされるブルーダイヤモンドです。当時ダイヤモンドの主要産地だった地域から産出したと伝えられ、極めて希少な青色ダイヤモンドの1つに数えられます。この石は17世紀後半にヨーロッパへ渡り、当時の王侯貴族の手に渡りました。
記録によれば、スペイン王室のフィリップ4世が娘に与えた持参金の一部だったという説があります。その後、1722年にオーストリア皇女マリア・アマリアがバイエルン選帝侯カール・アルブレヒト(後の神聖ローマ皇帝シャルル7世)に嫁ぐ際にこのダイヤを持参し、バイエルン王家の所有となりました。こうしてヴィッテルスバッハ家に渡ったことから、このダイヤモンドは「ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンド」の名で呼ばれるようになります。
1806年にバイエルン王国が成立すると、初代国王マクシミリアン1世は王冠の中央にこの青いダイヤを据えました。王冠に輝くブルーダイヤモンドは王室宝石として格別の存在感を放ち、その伝説性を一段と高めました。こうして発見から王室の所有までの経緯を経て、この石は「伝説のブルーダイヤモンド」として宝石史に特別な足跡を残しています。
発見当初の重さは約35.56カラット
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの元々の大きさは35.56カラットにも及びました。研磨後の重量で、およそ7.11グラムに相当します。
当時の研磨形状はクッションシェイプと呼ばれる四角形に近いもので、専門機関GIA(アメリカ宝石学会)によれば以下のように記録されています。
- カラット:35.56カラット
- シェイプ(形):クッションシェイプ
- カラー評価(色評価):ファンシー・ディープ・グレイッシュ・ブルー
- クラリティ(透明度):VS2(Very Slightly Included 2:ごく小さな内包物あり)
寸法も直径約24.4mm、深さ約8.3mmととても大きく、当時確認されていたブルーダイヤモンドの中でも、突出した存在でした。
ただし、この「35.56カラット」という重量はオリジナルの研磨状態での数値です。その後、現代になって所有者が変わった際にダイヤモンドのリカット(再研磨)が施され、現在では元のサイズよりもやや小さくなっています(詳細は後述します)。
- おたからや査定員のコメント
30カラットを超えるブルーダイヤモンドは驚異的で、当時から現在に至るまで宝石業界で大きな注目を集める要因となっています。

2008年に2,430万ドル(約22億円)以上で落札
希少なヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは2008年12月10日、ロンドンのクリスティーズ(Christie’s)オークションに出品されました。落札価格は約2,430万ドル(当時で約22億円)に達し、ダイヤモンド競売史上でも屈指の高額となりました。落札者はイギリスの著名なジュエラーである、ローレンス・グラフ氏です。
グラフ氏は落札後、この石を再研磨しました。その結果、重量は約31.06カラットに減少しましたが、カラー評価はFancy Deep Blueに、クラリティはIF(内部無欠点)に向上したのです。以降、この石はグラフ氏の名を冠し「ウィッテルスバッハ=グラフ・ダイヤモンド」とも呼ばれます。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの魅力
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドがこれほどまでに人々を惹きつけるのは、単に希少な宝石だからというだけではありません。その青い輝きに秘められた神秘性、高度な研磨に裏打ちされた存在感、さらには歴史を背負った文化財的価値が一体となって、この石ならではの魅力を生み出しているのです。
ここでは、その代表的な魅力をいくつかの観点から紐解いてみましょう。
ブルーダイヤ特有の神秘性
ブルーダイヤモンドは他の無色透明なダイヤとは異なり、見た目に深い青色を湛えています。この青色は、ダイヤモンドの結晶中にホウ素(ボロン)という元素がごく微量に含まれることで生じるもので、自然界では極めて稀にしか起こりません。そのためブルーダイヤは産出量自体が極めて少なく、古くから「神秘の石」として語られてきました。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの青は、しばしば濃紺やグレイッシュ・ブルー(灰みを帯びた青)とも形容されます。色合いはサファイアにも匹敵する濃紺で、光の加減によっては鋼のような青にも感じられます。その独特の輝きが見る者を引き込むような神秘性を醸しています。
さらに、この石にはスペインからバイエルンに伝わった由緒正しい歴史が秘められており、その物語が美しさに奥行きを与えています。宝石の色や大きさといった物理的な魅力に加え、背景にあるおとぎ話のような伝承が人々の想像力をかき立て、神秘性を一層高めているのです。
まとめると、このダイヤモンドには以下のような神秘的魅力があります。
- 希少な青色:ホウ素由来の深い青色は自然が生んだ奇跡で、滅多にお目にかかれない色合いです。
- 由緒ある背景:王冠に飾られるなど王家に伝わった歴史があり、宝石に物語性とロマンを与えています。
- 視覚的なインパクト:深い青の輝きは唯一無二で、見る者に強烈な印象を残します。実物を目にすれば思わず息を呑むほどの存在感です。
カットと光の屈折による存在感
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドが放つ強烈な存在感には、特別なカット(研磨)が大きく関係しています。この石はオリジナルの35.56カラット時代から、通常のダイヤモンドとは一線を画す82面のファセット(切子面)を持つカットが施されていたと伝えられます。
カットの目的は、単に見た目の珍しさだけでなく、ダイヤモンド内部での光の反射・屈折を最大化し、石の持つ青色と輝きをより強く引き出すことでした。多数のファセットが光を複雑に反射し合うことで、大粒でも暗く沈まず強い輝きを放つよう工夫されています。王冠に飾られた際も遠くからでも映える輝きがあり、王の威厳を示す役割を果たしました。
2008年に所有者が変わった際には再研磨が施され、重量は約31.06カラットに減少しましたが、その分クラリティや色味が改善され、輝きが増しています。
文化財的な価値と評価
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは宝石であると同時に、歴史と文化を体現する存在でもあります。
さらに、2008年にオークションで落札され現代に受け継がれたことで、生きた文化財として市場からも注目されています。宝石収集や投資の観点でも特別な存在となりました。
一方、再研磨で歴史的なカットが失われたことに対しては「オリジナルを保持すべきだった」という批判もありました。オリジナル性も価値の一部と考える意見が出たことは、この石が単なる宝石以上の存在である証と言えます。それでもなお、歴史と美が融合した唯一無二の宝石として現在も高い評価を受け続けています。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの価値を決める3つの要素
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの価値は、大きく3つの要素によって支えられています。それは希少性、歴史的背景、そしてダイヤモンド評価の基本である4つのCです。
それぞれの要素がどのようにヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの価値に影響しているのか、詳しく見ていきましょう。
希少性
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドが極めて貴重とされる理由の1つは、その稀少なブルーの発色と特異な化学的特徴にあります。
天然のディープ・ブルー
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは天然のブルーダイヤモンドであり、その青色はダイヤ内部に微量のホウ素を含むことで生まれています。ブルーダイヤモンド自体が極めて数少ない存在で、自然界で青味の強いダイヤが産出されることはごく稀です。
炭素の結晶にホウ素という元素が混じる確率が極めて低いため、「青いダイヤモンド」というだけで宝石市場では飛び抜けて珍しい部類に入ります。
中でもヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドのように青みが深く鮮やかな色合いを持ち、しかも天然そのままの色であることは、価値を飛躍的に押し上げる要因です。
- おたからや査定員のコメント
カラーダイヤモンド市場では「色そのものの希少性」が価格を決める最大のポイントとなることが多く、青色は数あるカラーダイヤの中でも飛び抜けて珍しい色です。そのため、この石は色の希少さという点で群を抜いているのです。

IIb型ダイヤモンド
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは、分析により「タイプIIb」に分類されることがわかっています。タイプIIbとはダイヤモンドの科学的分類の一種で、窒素をほとんど含まずホウ素を含有する極めて珍しいタイプを指します。天然のダイヤモンド全体に占めるIIb型の割合は0.1%にも満たないといわれており、文字通り一握りの奇跡のような存在です。
IIb型のダイヤモンドはホウ素の作用で青〜グレーがかった色を呈するのが特徴で、ヴィッテルスバッハはまさにその代表格です。この化学組成の希少性は、単なる「青い石」というだけでなく科学的にも珍しい宝石であることを意味します。希少な色・希少なタイプ・さらに大粒で有名な石という3つの希少性が重なり、このダイヤモンドの価値を一層高めているのです。
歴史的背景
17世紀にインドから欧州に渡り、スペイン王室→オーストリア皇室→バイエルン王室という王侯の手を経て、王冠や勲章の装飾に用いられた由緒ある宝石です。いわば王室ゆかりの宝石であり、そのため宝石そのものの美しさ・希少性に加えて、王家の物語を秘めた文化財としての価値が加わっています。
こうした歴史背景を知ることで、このダイヤモンドに物語性が生まれ、一段と価値が増します。2008年のオークションで大きな注目を浴びたのも、その由来があってこそなのです。
4つのC
ダイヤモンドの品質評価で基準となるのが4つのCです。それぞれの要素がヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの価値にどう寄与しているかを見てみましょう。
カラット(Carat)
カラットは宝石の重さを示す単位で、数値が大きいほど希少価値が増します。ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドのオリジナル研磨後の重量は35.56カラットと、ブルーダイヤモンドとしては破格の大きさでした(リカット後は約31.06カラットに減少)。重さ(サイズ)が価値を左右する大きなポイントである市場において、30カラット超の青いダイヤモンドというだけでも極めて珍しい存在です。
一般に、ブルーダイヤモンドのような希少な色石で大粒のものはほとんど存在しません。そのためカラット数が多いこと自体が価値に直結します。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの場合、何世紀にも渡って「世界最大級のブルーダイヤ」として知られてきた経緯もあり、カラットの面から見ても群を抜く存在です。
カラー(Color)
カラーはダイヤモンドの色合いを指し、特にカラーダイヤモンドでは最も重視される要素です。ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドの色は、GIAの評価でFancy Deep Grayish Blue(ファンシー・ディープ・グレイッシュ・ブルー)と呼ばれる深い灰味を帯びた青色でした。リカット前はややグレーが混ざった色味でしたが、再研磨により「グレイッシュ」が取れたFancy Deep Blueに格上げされたとも報じられています。
このように青の深さや鮮やかさはダイヤの価値を決定づけるとても大きな要因です。とりわけ天然のブルーダイヤでは、どれだけ濃く美しい青色か、二次的な色味(グレーやグリーンなど)が混ざっていないかが価格に直結します。ヴィッテルスバッハのように自然由来で深みのある青色は、それだけで他の宝石では代替できない唯一無二の魅力であり、高値で取引される理由となっています。
クラリティ(Clarity)
クラリティはダイヤモンド内部の透明度や内包物の少なさを示します。ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドはオリジナルの状態でVS2(Very Slightly Included 2)、つまり肉眼ではほぼ見えないごく小さな内包物がある程度のクラリティでした。再カットによってこの内包物が取り除かれ、現在ではIF(Internally Flawless:内部無欠点)レベルに達したとされます。
一般的に無色透明のダイヤモンドではクラリティの高さが価値を左右しますが、カラーダイヤにおいてはクラリティよりカラーの方が重視される傾向があります。つまり、多少の内包物よりも色味の美しさが優先されるのです。それでも、ヴィッテルスバッハのクラリティがIFにまで改善されたことは注目に値します。大粒のブルーダイヤモンドで内包物がないというのは極めて珍しく、宝石としての完成度がさらに高まったと言えるでしょう。
カット(Cut)
カットはダイヤモンドの研磨の技術・状態を指し、輝きや見た目の印象を大きく左右します。ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは古いカットながら82面ものファセットを持つ特別な研磨が施されていました。
2008年の再研磨では重量を犠牲に輝きを優先する選択がなされ、カラーグレードやクラリティが向上しています。カットの変更により宝石の美しさが一段と引き立った一方、歴史的なオリジナル性が失われたとの批判もあります。
それでも、遠くからでも映える輝きを実現するカットは王冠用宝石として重要であり、この石の価値を位置付ける上でも欠かせない要素です。
ブルーダイヤモンド市場におけるヴィッテルスバッハの位置づけ

ブルーダイヤモンドはその希少性から、投資・資産価値の観点でも注目されます。特に鮮やかな青色・大粒・高品質を兼ね備えた宝石は市場にほとんど出回らず、代替のきかない資産として富裕層などに支持されています。ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドはまさにその代表例です。
もっとも、宝石を投資対象とする場合には注意点もあります。流動性の低さ(買い手が限られる)、真贋・鑑定のリスク、保管・保険コスト、市場動向による価格変動など、他の資産にはないハードルも存在します。
実際、ヴィッテルスバッハも再研磨によってオリジナル性を重視する人と、品質向上を評価する人とで見方が分かれました。投資対象として考える際には慎重な判断が必要です。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドに関するよくある質問

それでは最後に、ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドについてのよくある質問にQ&A形式でお答えします。
Q.ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドはどこで見られますか?
A.現在このダイヤモンドは個人所有となっており、常設で公開されている展示場所はありません。ただし過去には、アメリカ・ワシントンD.C.のスミソニアン博物館(国立自然史博物館)ハリー・ウィンストン・ギャラリーにて期間限定で一般公開されたことがあります(2010年1月29日〜8月1日)。
また、歴史を遡るとバイエルン王室に属していた時代に、ミュンヘンの王宮レジデンツ内の宝物庫で保管・展示されていたこともあります。
ただ、現在はローレンス・グラフ氏の所有下にあるため、一般の鑑賞機会は限定的です。
展示の予定がある場合は、スミソニアン博物館や主要な宝石展の公式発表で告知されることがありますので、最新情報をチェックしてください。
Q.再カットで価値が下がったって本当ですか?
A.結論から言うと、一概に断定することはできません。再カットの結果、見る視点によって評価が分かれています。
宝石の品質という観点では、2008年に落札後行われた再研磨によって重量が35.56ctから31.06ctに減少しました。しかし同時に、色味はより深い青(Fancy Deep Blue)に、クラリティはVS2からIF(無欠点)に改善されています。つまり、石そのものの美しさ・完成度は向上しました。
価格面で見ると、再カット後にすぐ転売されたわけではないため明確な上下は判断できません。2008年の落札額(約24.3百万ドル)が桁外れの高額だったこともあり、再研磨によって急に「値打ちが落ちた」という評価は一般的にはされていません。
総合すると、再カットで単純に価値が下がったというより、評価基準が変化したと見るのが適切です。
Q.どこの鉱山で採掘されましたか?
A.残念ながら、ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドが正確にどの鉱山で採掘されたかは特定されていません。17世紀当時にヨーロッパにもたらされたダイヤモンドは、ほとんどがインド産だったことから、インドのゴルコンダ地方で産出された可能性が高いとされています。中でもコーラー鉱山から出たのではないか、という説が有力です。
ただし、これはあくまで歴史記録や伝承に基づく推測で、決定的な証拠はありません。当時はインド以外から大粒ダイヤが産出されていなかったため、「ゴルコンダ産の青いダイヤモンドの1つ」と語られることが多いという状況です。
Q.ヴィッテルスバッハとホープ・ダイヤの違いはなんですか?
A.両者とも有名なブルーダイヤモンドですが、違いがあります。
ヴィッテルスバッハは再カット後約31カラット(元は35.56ct)で、ホープ・ダイヤモンドは約45.5カラットあります。重量ではホープが勝りますが、ヴィッテルスバッハはクラリティがIFと極めて高く、再研磨で色も洗練されています。
Q.一般人が購入できるブルーダイヤはありますか?
A.はい、購入自体は可能ですが極めてハードルが高いです。ヴィッテルスバッハ級の石は別格としても、市場に出るブルーダイヤモンドは小粒でも価格が桁違いです。例えば1カラット未満の青いダイヤでも数百万円以上、品質次第では数千万円〜億単位になることもあります。
手に入るブルーダイヤには、人工的に処理で着色したものや合成(ラボグロウン)ダイヤも存在します。鑑定書付きで天然のファンシーブルーであることを確認することが重要です。信頼できる宝石店やオークションを通じて購入するのが安心でしょう。
Q.どの王室が所有していたのですか?
A.歴史上、以下の王室がヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドを所有していたことが記録されています。
- スペイン王室:17世紀、スペイン王フィリップ4世が娘に譲り渡したとされます。
- オーストリア(ハプスブルク)家:スペイン王女マリア・テレサ(またはマリア・アナ)が皇族に嫁ぐ際に持ち込み、ハプスブルク家の所蔵になりました。
- バイエルン王室(ヴィッテルスバッハ家):1722年、オーストリア皇女マリア・アマリアがバイエルン公に嫁ぐ際に持参し、その後バイエルン王冠の中央を飾りました。
このように、スペイン→ハプスブルク→バイエルンという順で王室所有が移っています。20世紀初頭にバイエルン王家が財政難から王室財産を手放した際、このダイヤモンドも市場に出て現在は民間所有となっています。
Q.ローレンス・グラフはなぜ再カットをしたのですか?
A.2008年にこのダイヤモンドを落札したジュエラー、ローレンス・グラフ氏が再カットを行った理由は、大きく3つあります。
- 石の損傷部分の修復:長い年月で生じたダイヤモンド周縁部の小さな欠けや傷を取り除き、石の状態を完璧にするため。
- 色・透明度の向上:研磨し直すことで色味をより鮮やかに、クラリティを高めて最高の品質に仕上げるためです。
- 価値の最大化:グラフ氏は「世界で最も美しいダイヤモンドにしたい」という信念を持っていました。研磨によって石の潜在的な輝きを引き出し、結果として宝石の市場価値を極限まで高める狙いもありました。
グラフ氏のこうした判断により、ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは「ウィッテルスバッハ=グラフ・ダイヤモンド」と名を変え、色・輝きともに研ぎ澄まされた姿で現代に蘇りました。
Q.なぜ青く見えるのですか?
A.ダイヤモンドが青く見えるのは、結晶中に含まれる微量のホウ素(ボロン)の影響です。ホウ素が炭素格子中の電子状態に変化を及ぼし、赤色系の光を吸収するため、人の目には残った青色の光が強く映ります。
そのためホウ素を含むダイヤは青みを帯び、「タイプIIb」と分類されます(窒素をほとんど含まずホウ素を含む稀少なタイプ)。
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドも分析の結果、おそらくIIb型に属すると考えられています。つまり、この石が青く見えるのは、結晶の形成時に天然のホウ素を取り込んだためです。
Q.現在の推定価格はいくらですか?
A.現時点でヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドがどのくらいの価値があるかを正確に知ることは困難です。こうした名品クラスの宝石は市場に滅多に出回らず、取引される場合も非公開で行われることが多いため、公的な価格データがないからです。
参考までに、2008年末のオークション落札価格は約2,430万ドル(当時約22億円)でした。それを基準に考えれば、カラー・クラリティの向上や希少性の高まり、近年のブルーダイヤ高騰を踏まえると、当時より高い評価額が付く可能性は十分考えられます。
Q.天然と人工ブルーダイヤモンドはどう違うのですか?
A.天然ブルーダイヤモンドは自然界で何億年という長い時間をかけて形成され、ホウ素などの元素を取り込んだことで青色になった極めて希少な宝石です。
一方、人工(合成)ブルーダイヤモンドは人間が研究所で高温高圧法(HPHT)やCVD法によって比較的短期間で作り出したダイヤモンドで、見た目は似ていますが希少性や価値が異なります。
まとめ
ヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは、深い青色の美しさと王家に愛された歴史を兼ね備えた特別な宝石です。17世紀の発見以来、ヨーロッパ王室の財宝として人々を魅了し、21世紀にはオークションで記録的高値を付けるなど、その価値は時代をこえて輝き続けています。
青いダイヤモンドの物語は、宝石ファンのみならず歴史愛好家の心もとらえます。宝石の希少性・芸術性と、そこに秘められた人間ドラマが融合したヴィッテルスバッハ・ダイヤモンドは、今後も語り継がれ、その魅力を放ち続けるに違いありません。
「おたからや」での「ブルーダイヤモンド」の参考買取価格
ここでは、「おたからや」での「ブルーダイヤモンド」の参考買取価格の一部を紹介します。
| 画像 | 商品名 | 参考買取価格 |
|---|---|---|
![]() |
K18WG ブルーダイヤ ダイヤ ペンダントトップ 1.02ct
|
64,000円
|
![]() |
K18WG ブルーダイヤ リング 0.07ct
|
35,000円
|
※状態や付属品の有無、時期によって買取価格が異なりますので詳細はお問い合わせください。
ブルーダイヤモンドは、天然の中でも特に希少な存在です。青い色の深さと透明感の美しさが、価値を大きく左右します。ダイヤモンドが青く見えるのは、結晶の中に微量のホウ素が含まれているためで、これは自然の偶然が生んだ奇跡といわれています。産出量は全ダイヤモンドの中でもごくわずかで、世界でも限られた鉱山でしか見つかりません。
中でも「ファンシー・ディープ・ブルー」や「ファンシー・ヴィヴィッド・ブルー」と呼ばれる、色が濃く鮮やかなタイプは、コレクターや投資家の間で特に人気があります。カラット数(重さ)やクラリティ(透明度)、カットの美しさも重要ですが、ブルーダイヤの場合は何よりも「青の深みと美しさ」が最大の査定ポイントになります。
- おたからや査定員のコメント
ブルーダイヤモンドは同じ青でも価値がまったく違う非常に繊細な宝石です。私たちはまず、天然かどうかを科学的に確認した上で、色の深さ・色むらの有無・蛍光反応などを細かくチェックします。青が濃くても暗く沈んで見える場合は評価が下がることがありますが、透明感のある深い青であれば、1カラット未満でも驚くほどの査定額が出ることがあります。指輪・ネックレス・ルース(裸石)いずれの形でも査定可能です。鑑定書がない場合でも、当店のGIA資格保有スタッフが丁寧に鑑別いたします。「ブルーの色味に自信がある」「天然かどうか確認したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。希少な青の輝きにふさわしい、正当な評価をお約束します。

ブルーダイヤモンドの買取なら「おたからや」
ブルーダイヤモンドの売却をお考えなら、高価買取で信頼のある「おたからや」にお任せください。天然のブルーダイヤモンドは、世界でも産出量がごくわずかしかありません。色の深さや透明感、カラット数によって価値が大きく変わる非常に希少な宝石です。
「おたからや」には、GIA(米国宝石学会)の基準を理解した専門査定士が在籍しています。ダイヤモンドの評価基準である「4C」に加え、市場での人気や希少性もしっかり見極めます。
ブルーダイヤモンドは、ファンシーブルー、ディープ・ブルー、ヴィヴィッドブルーなど、わずかな色の違いで数百万円もの価格差が出ることもあります。当店では、最新の国際相場や為替の動きを踏まえ、国内外のマーケットに合った査定額をご提示します。指輪・ネックレス・ルースなど、どの形でも査定が可能です。
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おたからやの宝石買取
査定員の紹介
岩松 査定員
-
趣味
旅行、読書
-
好きな言葉
日々是好日
-
好きなブランド
ダイヤモンド・宝石
-
過去の買取品例
10カラットダイヤモンド
-
資格
GIA G.G.取得
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