世界五大時計メーカーとは?歴史・特徴やブランドごとの人気モデルも詳しく紹介
世界五大時計メーカーと聞くと、それぞれの魅力や人気モデルについて知りたい方も多いのではないでしょうか。
ブレゲやオーデマ・ピゲをはじめ、長い歴史と高い技術力を持つ5つの老舗メーカーが世界五大時計と呼ばれています。腕時計に関心のある方なら、世界最高の時計メーカーについて知っておいて損はありません。
今回は、世界五大時計メーカーの概要や歴史・特徴を紹介するとともに、各ブランドの人気モデルやそのほかの人気ブランドについても詳しく解説します。
Contents
世界五大時計メーカーとは
世界五大時計メーカーとは、以下に挙げる5つの老舗メーカーを指す言葉です。
1.ブレゲ
2.パテックフィリップ
3.ヴァシュロン・コンスタンタン
4.オーデマ・ピゲ
5.ランゲ&ゾーネ
腕時計の聖地とされるスイスを中心に、ヨーロッパ発のメーカーがその座を占めています。世界五大時計のなかでスイス以外の国を発祥地としているのは、フランスの「ブレゲ」とドイツの「ランゲ&ゾーネ」の2つです。
また、上記の5つに、「ブランパン」と「ロジェ・デュブイ」を加えて「世界7大時計」と呼ぶ場合もあります。
【メーカー別】世界五大時計の歴史・特徴を解説
ここからは、世界五大時計の歴史・特徴をメーカー別に紹介していきます。
ブレゲ
ここでは、ブレゲの歴史と特徴について解説します。
歴史
「ブレゲ」は、1775年、アブラアン・ルイ・ブレゲがフランスのパリで創業した時計メーカーです。
創業者は、時計の歴史を200年早めた天才時計師として後世にその名を残しています。
日付を自動的に表示する「パーペチュアルカレンダー」や、重力による時間の誤差を抑える「トゥールビヨン」、時刻を音で知らせてくれる「ミニッツリピーター」など、数多くの複雑機構を発明しました。
現在も、ブレゲは複雑機構を搭載した高級時計を製造しており、世界中の時計愛好家から高く評価されています。
ブレゲは、1970年代に経営難に陥り、ショーメが商標を買い取ったことで再興を果たしました。その後、紆余曲折を経て、現在はスウォッチ・グループの傘下に収まっています。
特徴
ブレゲのデザインの特徴として、ブレゲ針やブレゲ数字、ギヨシェ模様などが挙げられます。
ブレゲ針は、針の中央から先端寄りに月のような形の穴が開いた針のこと。ブレゲ数字は、アラビア数字をさらに洗練させたデザインの数字を指し示します。また、ダイヤルに彫られた華麗なギヨシェ模様も、ブレゲの発案の一つです。
ブレゲの腕時計には、個別の識別番号が与えられているため、世界に1つだけの腕時計を所有できる楽しみがあります。
パテックフィリップ
ここでは、パテックフィリップの歴史と特徴について解説します。
歴史
「パテックフィリップ」の前身であるパテックチャペック社は、1839年にスイスで2人のポーランド人によって創業されました。1851年、時計技師のジャン・アドリアン・フィリップが合流し、社名を「パテックフィリップ」に変更しました。
パテックフィリップは、1881年の「高精度緩急調整機構」の技術特許を皮切りに、数々の特許を取得してきた実績があります。
また、1851年からアメリカの宝飾ブランド「ティファニー」とパートナーシップを結んでおり、2021年にはパートナーシップ170周年記念の限定モデルを販売しました。
特徴
パテックフィリップでは、創業以来、販売した製品に対して「永久修理保証」を付与しており、長く愛用できる一生ものの腕時計として根強い人気があります。
また、スイスの腕時計メーカーの多くがコングロマリットの傘下にあるなか、パテックフィリップは、マニュファクチュールを維持している数少ないブランドの一つです。
これにより、自社一貫生産ならではの独自性を発揮した機能やデザインを実現しています。
ヴァシュロン・コンスタンタン
ここでは、ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史と特徴について解説します。
歴史
「ヴァシュロン・コンスタンタン」の起源は、1755年にジャン=マルク・ヴァシュロンがスイスで工房を開いたことに始まります。
1819年、孫のジャック・バルテルミー・ヴァシュロンが経営を引き継いだ際に、現在の社名である「ヴァシュロン&コンスタンタン」が誕生しました。
1880年には、マルタ騎士団が掲げたとされる「マルタ十字」をブランドのアイコンとし、20世紀に突入してからも創業者一族の手で歴史を紡いできました。
1996年、世界三大コングロマリットとして知られるリシュモングループの傘下に加わりましたが、創業以来の伝統と品質は守り続けています。
特徴
1960年代のクォーツショックも乗り越え、創業以来、一度も経営を断絶することなく、現在まで高級腕時計ブランドとして高い地位を維持しています。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、パテックフィリップ、オーデマ・ピゲと並んで「世界三大時計」の一つといわれています。
伝統と歴史を重んじるブランドコンセプトで、クラシックなデザインのモデルを多く製造しました。1950年代の時計に着想を得た「パトリモニー」や、同ブランドの伝統を表現した「トラディショナル」などのモデルが代表作です。
オーデマ・ピゲ
ここでは、オーデマ・ピゲの歴史と特徴について解説します。
歴史
「オーデマ・ピゲ」は、1875年にジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲによってスイスのル・ブラッシュで創業されたメーカーです。
1921年に極薄懐中時計、1938年には、極薄手巻き式ムーブメントの開発に成功するなど、後世の腕時計技術にも大きく貢献してきました。
1972年に、ケース径39mmでステンレススティール製のスポーツウォッチ「ロイヤルオーク」を発表し、世界に衝撃を与えました。
特徴
コングロマリットに吸収合併される腕時計メーカーも多いなか、オーデマ・ピゲは今でも創業者一族による経営を続けています。
創業から途切れずに一族経営を続けてきたという事実が、世界三大時計の一角としての尊厳を支えています。
また、革新的な技術力もオーデマ・ピゲの魅力です。2006年には、潤滑油を必要としない新機構「APエスケープメント」を開発するなど、老舗メーカーでありながら貪欲な姿勢で新技術の探求を続けています。
ランゲ&ゾーネ
ここでは、ランゲ&ゾーネの歴史と特徴について解説します。
歴史
「ランゲ&ゾーネ」は、1845年に旧東ドイツのグラスヒュッテで創業された時計メーカーです。
創業当時、かつて銀の産地として栄えたグラスヒュッテは貧困に直面しており、産業奨励を目下の課題としていました。
そこで登場したランゲ&ゾーネは、時計業界で頭角を現し、グラスヒュッテを精密時計産業地帯へと変えていったのです。
ランゲ&ゾーネが道を切り開いたあと、モリッツ・グロスマンやノモスといった著名な時計メーカーがグラスヒュッテから生まれました。このことは、ランゲ&ゾーネがグラスヒュッテの時計産業に与えた影響の大きさを示すといえるでしょう。
第二次世界大戦の最中、資産を国に没収されたことでランゲ&ゾーネは一時消滅しましたが、1990年に復活を遂げました。
現在、ランゲ&ゾーネは、リシュモングループの傘下で名作モデルを世に送り出しています。
特徴
ランゲ&ゾーネのおもな特徴は、各モデル専用のムーブメントを開発している点です。老舗メーカーでも外注することが多い、ひげゼンマイまで自社で製造するなど、徹底したマニュファクチュール体制にこだわっています。
現在も、グラスヒュッテの伝統工芸を守った時計製造を行なっており、エングレービングなどの技法を活かして、芸術的な美しさを実現しています。
世界五大時計ブランドの人気モデルを厳選紹介!
ここからは、世界五大時計ブランドの人気モデルをそれぞれ紹介していきます。
ブレゲの人気モデル5選
最初に、ブレゲの人気モデルを5つ紹介します。
モデル名 | 特徴 |
---|---|
マリーン | ・マリーン・クロノメーターから着想を得たモデルで、1990年に誕生
・ブレゲならではのギヨシェ模様やブレゲ針などの意匠を楽しめる ・大きなケースサイズやリューズガードでずっしりと存在感がある |
トラディション | ・創業者が考案した懐中時計にインスピレーションを得て生まれたコレクション
・オフセットしたダイヤル、フェイス前面から覗くムーブメントの入り組んだ機構が特徴 |
クラシック | ・クラシカルな丸形ケース採用のモデルで、凝ったダイヤル装飾が特徴
・見やすさと精度、洗練されたデザインにこだわっている ・1930年代からブレゲの中核を担い続けてきた歴史がある |
ヘリテージ | ・20世紀初頭に生まれたトノー型ケースを採用したモデル
・ケースサイドのフルート装飾など、独自のデザインで古典的なたたずまいを感じさせる |
タイプXX | ・無骨さと優雅さを兼ね備えたパイロットウォッチ
・ルーツは、フランス海軍航空部隊のために1950年代に開発されたクロノグラフ ・フライバック機能や回転ベゼルが搭載されている |
パテックフィリップの人気モデル3選
ここでは、パテックフィリップの人気モデルを3つ紹介します。
モデル名 | 特徴 |
---|---|
カラトラバ | ・1932年発売の「永遠のクラシック」とも称される丸形ドレスウォッチ
・名前はパテックフィリップ社のロゴ「カラトラバ十字」に由来する ・シンプルかつ洗練されたデザインで、シーンを問わない使い勝手の良さがある |
アクアノート | ・1997年発売の、ノーチラスに次ぐスポーツウォッチ
・ラバーストラップを初採用し、よりカジュアルな仕様になった ・一体化したベゼルとミドルケース、エンボス加工を施したダイヤルなどが特徴 |
ノーチラス | ・1976年に生まれたパテックフィリップ初のスポーツウォッチ
・潜水艦の舷窓をモチーフにした八角形のベゼルが特徴 ・カジュアルにもフォーマルにも合わせられる「スポーツ・エレガンス」のジャンルを確立し、爆発的にヒットした |
ヴァシュロン・コンスタンタンの人気モデル3選
ここでは、ヴァシュロン・コンスタンタンの人気モデルを3つ紹介します。
モデル名 | 特徴 |
---|---|
オーヴァーシーズ | ・1996年登場のモデルで、同ブランドの創立222周年を記念したモデル「222」が前身
・優れた防水性や耐磁性を備えたラグジュアリーなスポーツウォッチ ・マルタ十字を彷彿とさせるベゼルのデザインが特徴的 |
パトリモニー | ・2004年登場の正統派ドレスウォッチ
・スリムなベゼルやショートラグが気品を漂わせる、無駄を削ぎ落としたシンプルなデザイン ・1950年代の機械式時計にオマージュを捧げている ・パテックフィリップのカラトラバと比較されることが多い |
トラディショナル | ・18世紀から受け継がれる時計製造の伝統を表現したコレクション
・オーソドックスなモデルから複雑機構搭載のモデルまで、ラインナップが幅広い ・モダンとクラシックを融合させたデザインで、雲上ブランドの風格を漂わせる |
オーデマ・ピゲの人気モデル3選
ここでは、オーデマ・ピゲの人気モデルを3つ紹介します。
モデル名 | 特徴 |
---|---|
ロイヤルオーク | ・オーデマ・ピケの基幹モデルに位置付けられ、スポーティーかつ洗練されたデザインが特徴
・1972年の発売当時、ステンレススティールを高級腕時計の素材として用いることは革新的だった ・ダイヤルに彫られたギヨシェ模様のタペストリーも特徴の一つ |
ロイヤル オーク オフショア | ・1992年発売の、ロイヤルオークをよりスポーティーに進化させたモデル
・ロイヤルオークのデザインをベースに、ラバーストラップや大きなベゼルを採用 ・ケースが分厚く、重厚感のある腕時計を着けたい人におすすめ |
ミレネリー | ・1995年に発売された楕円形のケースが特徴のモデル
・ケースフォルムはローマのコロッセオに着想を得たとされている ・2006年以降のモデルでは、アシンメトリーのオープンダイヤルが代名詞となっている |
ランゲ&ゾーネの人気モデル3選
ここでは、ランゲ&ゾーネの人気モデルを3つ紹介します。
モデル名 | 特徴 |
---|---|
ランゲ1 | ・1990年に復活を遂げた同ブランドの記念碑的なモデルとして、1994年に発売
・ドレスデンのオペラハウスにある「5分時計」をモチーフにしたデザインが特徴 ・アシンメトリーな配置のダイヤルで、1時位置のアウトサイズデイトが目を引く |
サクソニア | ・1994年、ランゲ1と同時に発表された記念碑的モデル
・無駄のないシンプルなデザインとスタイリッシュなフォルムが特徴 ・名前の由来は、グラスヒュッテが位置する州「ザクセン」のラテン語読み |
オデュッセウス | ・2019年に発表された、ランゲ&ゾーネ初のステンレススティール製スポーツウォッチ
・耐震機構付きテンプを採用しており、120m防水でアクティブなシーンにも対応 |
世界五大時計以外に人気の腕時計ブランドは?
世界五大時計以外にも、人気の高い腕時計ブランドは数多くあります。
ここからは、そのなかでも特に知名度が高い5つのブランドを紹介します。
ロレックス
「ロレックス」は、1905年にロンドンで創業した腕時計ブランドです。
老舗メーカーに比べると歴史は浅いものの、その堅牢性やデザイン性は高く評価されています。特に、エクスプローラーの視認性やシードゥエラーの防水性など、優れた機能も人気の理由の一つです。
また、ロレックスの資産価値は高い傾向が続いており、高級腕時計ブームの火付け役ともいわれています。
オメガ
「オメガ」は、1848年にスイスで設立された工房が原点となるブランドです。ロレックスと並んで知名度が高く、「007」シリーズでジェームズ・ボンドが身に着けているのも、オメガの腕時計です。
オメガでは、「マスタークロノメーター」という独自規格を設けており、精度の高い実用的な腕時計を世に送り出しています。
また、長年にわたってオリンピックの公式タイムキーパーを務めていることからも、オメガというブランドの信頼度の高さがうかがい知れます。
ブランパン
1735年にスイスで創業された、現存する世界最古の時計ブランドが「ブランパン」です。
ラウンドケースの機械式時計のみを製造しており、伝統を重んじる職人気質のこだわりが感じられます。
ブランパンの定番モデルとして、「ヴィルレ」「フィフティ・ファゾムス」などが挙げられます。
ロジェ・デュブイ
1995年にスイスで創業された「ロジェ・デュブイ」は、独創的なデザインと伝統的な時計技術を両立させた腕時計ブランドです。
設立から間もないうちに、超絶技巧を盛り込んだ腕時計を打ち出し、またたく間に時代の寵児となりました。
新技術や実用性にもこだわりを見せており、有名人の愛用者が多いことでも知られています。
グランドセイコー
「グランドセイコー」は、1960年に誕生した日本発のブランドです。
セイコースタイルと呼ばれるフォームを基本コンセプトとし、シンプルで洗練された見た目を実現しています。
ビジネス、プライベートを問わず使えるスタンダードなデザインを採用しており、幅広い層の顧客を獲得しています。
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まとめ
世界五大時計メーカーには長い歴史があり、高度な技術力で洗練された腕時計を製造しています。
限られた製造本数に対してニーズは極めて大きく、1,000万円以上の高値で取引されるモデルも少なくありません。身に着けた人の品格を高めてくれる高級腕時計は、どの業界でも通用するステータスの証となっています。
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