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古代インド人は遥か昔に
ダイヤモンドの美しさに
気づいていた
ダイヤモンドの存在が文書として記録されたのは今から約2,000年前の古代ローマやインドです。紀元1世紀ごろ、ローマの自然学者がダイヤモンドの輝きを称賛する言葉を残しています。紀元前のインド学術書「アルタシャーストラ」にも神秘的な宝石だと記載されており、その美しい輝きには強い魔力が宿っていると考えられていたそうです。
インドはダイヤモンドの発祥の地であり、発見された当初は河川からの採集が主とされていました。紀元前4世紀にダイヤモンドの取引が行われていたと考えられていますが、その頃はまだダイヤモンドが『宝石の王様』ではありませんでした。ルビーの約8分の1という価格で取引されており、ダイヤモンドは装身具にも用いられず、お守りとして使われていたと記録されています。さらにダイヤモンドの取引は富裕層に限られていました。資源が限られていたことから、現在のように一般の人が購入できるような物ではありませんでした。そのためダイヤモンドがヨーロッパへと本格的に伝わったのは、ここからさらに1,000年以上の時間がかかりました。
シンドバッドの冒険から
見られるダイヤモンドの歴史
ダイヤモンドは古今東西のさまざまな物語に登場しますが、最も有名な物語のひとつが「シンドバッド」でしょう。シンドバッドは「千夜一夜物語」というペルシア(イスラム)の説話集に登場するエピソードです。正式には「船乗りシンドバッドの物語」と言います。物語は主人公のシンドバッドが財産を船に乗せて冒険を開始することから始まります。鯨を島と間違えて仲間を失ったり、たどり着いた島で財産を失ったりしながら冒険を進めていくうちに、とある鉱山にたどり着きました。その場所こそがダイヤモンド鉱山だったのです。
その鉱山には大蛇がおり、主人公はダイヤモンドをたくさん詰めて脱出しました。この後も猿ヶ島や人食いの島などさまざまな場所を巡り、困難に遭遇しながらも冒険を続けていくお話です。
千夜一夜物語は10世紀から15世紀にかけて成立した物語といわれますが、その頃にはダイヤモンドが財宝の象徴として扱われていることが分かるでしょう。ダイヤモンド鉱山での採取方法はかなり特殊ですので、一度は読んでみてはいかがでしょうか。
インドから世界に広まった
とされるダイヤモンド
ダイヤモンドは世界一硬い鉱石なので、採集をしても加工する技術を確立する事はなかなかできませんでした。ダイヤモンドを現在のように取り扱えるようになったのは1475年のことです。ベルギーのルドウィグ・ヴァン・ベルケムが現代に通じる研磨法を発明しました。その方法とは、原石の表面を削って角の部分を削り落とし、光沢を引き出すというものです。この技術のおかげでインドのダイヤモンドはキャラバンによって西ヨーロッパへと伝わり、やがて15世紀にはヨーロッパの富裕層にジュエリーとして珍重されるようになりました。
その後、カット技術は進められていきテーブルカットやローズカットが登場すると、1700年にはヴェネチアのガラス職人がブリリアントカットの原型を考案し、今日のようなダイヤモンドが作られるようになりました。同じ頃、18世紀にはブラジルでも発掘されるようになり、19世紀には南アフリカで鉱山が発見されます。21世紀の現在はロシアやオーストラリアといったさまざまな場所でダイヤモンドが発掘されています。
インド人のお手柄!
ダイヤモンドの普及に貢献
インドがダイヤモンドの普及に貢献したといわれるにはいくつかの理由があります。まずは原産国であったことです。15世紀頃、ヨーロッパにやっと伝わり始めたダイヤモンドの産地はこの国のみでした。そのためヨーロッパでは「インド石」と呼ばれていたそうです。研磨技術に関してもヨーロッパに多大な影響を与えています。16世紀のオランダ人の旅行記によると、ダイヤモンドはインドのゴアという西岸部で研磨されていたと言います。当時の研磨法は木の円盤に載せて削るというものでした。
やがてキャラバン交易によってダイヤモンドはヨーロッパにもたらされました。その当時、インドは織物や香辛料、染料や象牙が主な輸出品でしたが、マルコ・ポーロがシルクロードと名付けた交易路を通ってダイヤモンドは伝えられました。シルクロードの終着駅であるローマからは絵画や宝石などがアジアに伝わりました。このようにインドはダイヤモンドを語る中で何度も登場する国であり、その普及に重要な役割を果たしたと言えます。
まとめ
王室御用達の宝石から結婚指輪までさまざまな活躍しているダイヤモンドですが、古文書にも名前が記されていたり、シンドバッドのような童話にも登場するほど長い歴史のある宝石です。その歴史にはインドとの関わりが非常に重要で濃いものでした。今では世界中の鉱山から採掘されるダイヤモンドですが、インドが原石を発見してキャラバンたちがヨーロッパに伝えたことで今の希少性や価値を生み出したと言えます。ローマは一日にして成らずというように「永遠の輝きも一日にしてならず」と言えるでしょう。
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