【エメラルド】の基本情報をわかりやすく解説!

清々しい新緑の春を思わす色をしたエメラルド。クレオパトラも愛した石であり、5月の誕生石としても知られているジュエリーです。このエメラルドを、実際に身につけることでどんな効果があるのでしょうか。
エメラルドの特徴や石が持つ意味、お手入れの方法など、エメラルドの気になる部分ついてご紹介いたします。
エメラルドの意味と特徴
エメラルドは、ダイヤモンドやルビー、サファイアと並んで世界四大宝石のうちの一つです。べリリウム(Be)を主な構成成分とする六角柱状の結晶鉱物「ベリル(緑柱石)」と呼ばれる石から取ることができます。
エメラルドのように緑色を呈したベリルには、グリーンベリル(あるいはミントベリル)と呼ばれるものがあります。両者の違いは、発色のもととなっている元素の違いによるものです。エメラルドはクロムやバナジウムが関与したものを言い、グリーンベリルには鉄が関与しています。
つまり、淡い緑色~緑色をおびたベリルでも、クロムやバナジウム以外の元素が要因の緑色系をエメラルドとは呼びません。ベリルには他にも発色要素の違いによって様々な宝石がありますが、中でもエメラルドはレッドベリルに次いで価値の高い宝石です。
パワーストーンとしても人気の高い石で、古来から人々に愛され、重宝されてきました。5月の誕生石としてだけでなく、結婚55周年のエメラルド婚式を記念する宝石としても選ばれています。
「愛の石」とも呼ばれ、石言葉には「幸福」や「誠実」、「安定」、「結婚」などがあり、まさに二人の結びつきを祝福し、記念するにふさわしいシンボリックな石といえるでしょう。
エメラルドの色と効果
新緑の若葉を思わせる爽やかな緑色を湛えたエメラルドの色は、見る人にさまざまな効果を与えてくれるとされています。
色が人間に及ぼす影響について研究する、色彩心理学という学問があります。エメラルドグリーンは気持ちを落ち着かせたり、心を静める働きがあるとされています。
昔から「緑色は目にいい」と言われていますが、私たちの知覚できる可視光線の波長がちょうど真ん中に位置し、目に負担のかからない色であることが分かっています。
また、緑色は副交感神経に作用し、緊張を解いて疲労を癒す働きがあります。さらに目だけではなく、疲れた心や体全体をリラックスさせ、回復を助ける効果があります。
わたしたちは、草木の緑や若葉の緑を見ると心が和むのと感じますが、あながち「気のせい」ではなさそうです。
エメラルドは、ヒーリング効果がある石として治療に用いられてきた歴史があり、パワーストーンとしても様々な効果を謳われている石です。
たとえば、「愛の石」といわれるエメラルドには、夫婦円満や恋愛成就、浮気防止などの効果があると言われています。
エメラルドは、身につけることで、自分を輝かせるアクセサリーとなるだけでなく、お守りにもなってくれる「幸運を呼ぶ石」です。
エメラルドの産出国
エメラルドは南極を除く全ての大陸から採掘されていますが、産地の違いにより宝石としての価値にも違いがあります。
結晶が形成される過程のなかで、環境の持っている微量元素の違いにより、色合いや透明度、濃淡に違いがあります。その産地特有の美しさをかたち作り、限られた地域のみでしか採れない産出量の少なさ(希少性)がさらに価値を生みます。
エメラルドは、南米ではコロンビア・ブラジルで多く産出されます。また、アフリカ大陸と周辺地域では、ジンバブエ・マダガスカル・ザンビアといった国で採掘されます。ヨーロッパを除くユーラシアでは、ロシア・アフガニスタン・パキスタン・インドなどが挙げられます。
産出量の多いコロンビアは、はるか昔から採掘が行われています。ムゾー、チボール、コスケスはエメラルドが採掘される鉱山として有名です。
エメラルド産は粒が大きく、新緑のような深みのある緑色が特徴で、わたしたちが「エメラルドグリーン」といってイメージするのもこのエメラルドです。ザンビア産はコロンビア産に比べて少し青みがかっており、透明度の高さを誇ります。隣の国ジンバブエでは黄色がかった緑の小粒なエメラルドが採れます。
日本にはコロンビア産をはじめ、ブラジルやザンビアのものがよく流通しています。
エメラルドのお手入れと保管方法
長年にわたって愛用するためにも、宝石のお手入れや保管方法について知っておきたいです。
宝石の多くは、化粧成分や汗、湿気、油脂、乾燥、塩分、紫外線などの影響で劣化する可能性があります。
身につけることでついた汗や油脂を、使用後は「時間をおかずに柔らかい布で丁寧に拭く」ことがお手入れの基本です。
エメラルドの場合、無傷の結晶はほとんどなく、傷に樹脂やオイルなどを含ませて目立たなくする処理を施されています。
充填されたオイルや樹脂が溶けだす可能性もあって、汚れがひどいときは、人肌くらいのぬるま湯で洗うようにし、熱いお湯は控えて下さい。
また、乾燥によって充填物が変質しないよう、陽の当たる場所やエアコンが効いた部屋は避けましょう。
エメラルドはモース硬度自体は低くはないのですが、衝撃には弱い側面をもっているので注意が必要です。
他の宝石と一緒の箱に保管する場合は、仕切りを設けて個別にしましょう。
エメラルドは、結晶が出来上がるまでの過程の中で取り込まれた様々な内包物(インクルージョン)のを含むものが多いので、超音波洗浄はむいていません。
いろいろと取り扱いには注意が必要なエメラルドですが、ケアを怠らなければ、神秘的で魅力ある緑色を永く身につけることができます。
5月の誕生石の種類
誕生石とは、1月~12月までのそれぞれの月に結び付けられた宝石のことで、国によって若干の違いがあります。
日本の場合、5月の誕生石は「エメラルド」と「翡翠」になっています。
新緑の若葉の緑をイメージさせるエメラルドは、5月の誕生石にぴったりです。
一方、翡翠と呼ばれる石には、「硬玉(ヒスイ輝石)」と「軟玉(ネフライト)」があります。どちらも見た目は同じように見えますが、鉱物学的に両者は全く別物で、宝石としての翡翠は硬玉の方です。
日本では世界最古の翡翠の加工品で見つかっており、縄文時代中期から利用されていました。
翡翠は、日本鉱物科学会によって国石にも認定されています。
産地としてはミャンマーやロシアが有名ですが、日本の糸魚川周辺地域は世界的に有名な翡翠の産地です。
翡翠の色については緑色のイメージがあると思いますが、実際には、赤や白、黒、紫など様々なバリエーションがあります。
石言葉には「長寿」や「知恵」、「健康」、「福徳」などがあり、風水では「金運の石」とされ、古来から縁起物として人々から重宝されてきました。
5月には誕生石が二つありますが、身につけるべき石に特に決まりはなく、その時その時のフィーリングやシーンにあわせてコーディネイトするとよいでしょう。
まとめ
エメラルドは、身につける方を際立たせるだけではなく、心を和ませて癒すという不思議な力を秘めています。
それは自然が創り上げた不思議な石で、地球からのプレゼントといえるでしょう。
宝石はそれが天然である場合、同じものは二つとしてありません。
そういう意味では、どんな宝石もそれを所有する方にとって「唯一無二」のものだと思います。
お手入れを怠らずに永く身につけていくことで、それぞれの想い出のシーンが増えます。あなたにとってのエメラルドは、一層価値あるものになるでしょう。