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【ジェット-Jet】

ジェットの特徴と宝石言葉

ジェットは艶のある漆黒が特徴の宝石で、これはごく古い時代に流木となった樹木が海底のような水中に沈み、分解されずに堆積する過程で炭化して化石化した固体です。樹木の化石といえば琥珀が最も有名な宝石ですが、琥珀は樹脂だけが残されて形成された宝石です。また、同じく樹木そのものが化石化したものにはペトリファイドウッドあるいは珪化木(けいかぼく)と呼ばれるものがありますが、こちらは石英の影響で石化しているため、炭素の影響を受けて石化したジェットとは異なります。

このジェットはごく古い時代から人類が利用してきた天然素材でもあり、現在のドイツやスイスが位置する中央ヨーロッパで発展したハルシュタット文化の遺跡から、ジェットで作られた壺が見つかっています。ハルシュタット文化が主流となったのは紀元前8世紀から紀元前6世紀であり、約5,000年前から利用されている翡翠や、紀元前4世紀頃から利用されてきたガーネットと並んで、ジェットは人類最古の宝石のひとつです。樹木に由来するため、宝石と呼ばれてはいますが可燃性を持っています。宝石言葉は『忘却』で、良くない出来事を忘れたり、精神の動揺を鎮めたりするパワーストーンと考えられていて、哀悼の意思を表すモーニングジュエリーにもしばしば用いられている宝石です。

 

ジェットの色と魅力

ジェットは鉱物的には褐炭に含まれる鉱物で、褐炭は石炭の中では水分や不純物が多く石炭化度が低いものです。褐炭は乾燥すると粉末になり粉塵爆発を誘発しやすくなるため、採掘された後は形成され、多くが火力発電の燃料に用いられます。ジェットはこうした褐炭の中でごくまれに発生する鉱物で、その色は多くが漆黒、あるいは極めて濃い茶色をしています。

研磨によってガラス光沢が発現し、宝石として流通しているものは艶のある漆黒が特徴であり、この宝石の最大の魅力です。この美しい漆黒がジュエリーとして大きな役目を果たしたのは19世紀、ヴィクトリア朝時代のイギリスでした。1861年、ヴィクトリア女王の夫アルバート公の薨去を大いに嘆き悲しんだ女王は8年間喪に服し、生涯を黒いドレスで過ごしたことは有名な物語ですが、この長い服喪期間に女王が身に着けていた宝石はジェットだったのです。このように喪に服している間に身に着ける宝石はモーニングジュエリーと呼ばれ、19世紀のイギリスで大きく広まり、ジェットは真珠と並ぶモーニングジュエリーとなりました。現在では艶やかな漆黒の質感がモダンなファッションアイテムとして認知され、樹木に由来する重量の軽さから大ぶりなアクセサリーへの利用も見られるようになっています。

 

ジェットの産出国

ジェットは地質的な条件がそろっていれば、世界各地で産出される鉱物です。そもそもジェットは水中に堆積した樹木に由来しますが、堆積した地層が石炭層である場合に発生する褐炭の一種です。そのため、古くから利用されていた中央ヨーロッパのドイツやポーランドをはじめ、スペインやフランスでも産出されます。アメリカ大陸では16世紀ごろに到達したスペインの探検家によって、ネイティブアメリカンの生活に利用されていることが確認されており、ニューメキシコ州などで採掘されています。このほかにもロシアやトルコ、中国大陸での採掘が盛んです。

その中でもとりわけ品質が良いとされるのはイギリス産のもので、イングランド北部のヨークシャー・ウィットビー産のものが最も珍重されます。ヨークシャーは地質に由来する絶景が多く見られる土地で、ノース・ヨーク・ムーアの海岸部は海岸遺産に指定されています。その中にはフランバラ岬の白亜の断崖や、ファイリーの石灰岩の断崖と並び、ウィットビーには黒玉の崖があり、このウィットビーはモーニングジュエリーとして一躍人気を博したジェットの産地でした。残念ながらウィットビーのジェット鉱山は19世紀末に閉山となり、地域は海岸遺産となったため、ウィットビー産ジェットは貴重なアンティーク商品として取引されています。

 

ジェットのお手入れと保管方法

ジェットは樹木に由来し、燃料として利用される褐炭の一種であることから、宝石の中では珍しく燃えてしまう性質を持っています。そのため調理などで火を扱う場合には注意し、ブレスレットや指輪は外してから作業を行うことが必要です。使用後の手入れは柔らかい布での乾拭きが基本ですが、ジェットは水に強い宝石なので、フォーマルの一部として素肌に着けても問題はありませんし、乾拭きで落ち切らない汚れがある場合には、水かぬるま湯を使っての洗浄も可能です。水洗いの際は水の中で汚れをふやかして柔らかいブラシで軽くこすったり、湿った布で拭ったりします。

ジュエリーに用いられるジェットは淡水中で形成されるソフトジェットでは無く、海水中で水圧を受けたハードジェットと呼ばれる種類のため、一定の強度は有りますが、モース硬度は2.5から4と宝石の中では非常に柔らかいため、乾いた布やブラシでも、強くこすることはしないでください。保管する場合は傷つかないように他のアクセサリーとぶつからない専用のケースやポーチに入れ、水洗いや湿った布で拭いた後には風に通して乾かしてから収納します。極端な乾燥は玉のひび割れを引き起こすため、ケースに直接除湿剤を入れることはせず、直射日光の当たらない場所へ保管しましょう。

 

ジェットの市場価値

ジェットは19世紀のヴィクトリア朝イギリスにおいて大流行しましたが、20世紀初頭に年輪が発見されるまで黒琥珀あるいはブラック・アンバーと呼ばれ、琥珀と同じく樹脂から出来た宝石であると考えられていました。これはジェットが琥珀同様に、ウールのように静電気を帯びる布で擦ると、同様の性質へと変化する事に由来します。

現在ではジェットと琥珀は別のものであると認識されていますが、ジェットを黒琥珀の名称で販売している場合もあります。ジュエリーとしてのジェットの価値は、19世紀イギリスでモーニングジュエリーとして広く普及したことにより決定づけられたと言えるもので、当時のイギリスで珍重されたウィットビー産は現在でも評価が高いです。ウィットビーの鉱山は19世紀末に閉鎖されていますので、現在はヴィクトリア朝時代のジュエリーがアンティークとして国内でもまれに流通していますが、素材について信頼性の高い鑑定がなされていない商品の場合、真贋(しんがん)を見抜くことは難しいです。ウィットビー以外の産地では現在も産出があるため、ジェット自体は極端に価格が高騰する宝石ではありません。ガラスのような光沢を持ちながらも軽量な素材であるため、ファッションアイテムとしての注目も集まりつつありますが、モーニングジュエリーや数珠への利用も多いです。

 

ジェットの値段と価格相場

ジェットは19世紀イギリスでモーニングジュエリーとして普及した歴史的経緯から、現在では真珠と並ぶモーニングジュエリーとなっています。それゆえにネックレスやイヤリング、あるいは数珠への利用が多く、こうしたフォーマルなアクセサリーはネックレスとイヤリングのセットで手ごろな価格帯であれば10,000円台から、女性用の略式念珠を含めた場合も20,000円前後から販売されています。よりカジュアルなネックレスやブレスレットの場合は、数千円から購入することが可能です。ジュエリーであってもあまり高額ではないため、宝石ほどの品質が求められない天然石に含められる場合も、極端に価格が低下しない点は特徴的です。

手作りアクセサリーに利用される天然石ビーズの場合なら、10ミリのラウンドカットでも100円前後の品もあります。ただし、ジェットは艶のある黒い宝石の代名詞でもあるため、ジェットの名前を冠したクリスタルガラスやジェットを模したプラスチック樹脂製品も流通していますので、格安な通信販売を利用するなら注意が必要です。また、ヴィクトリア朝時代のアンティークの取引も活発で、数万円程度から販売されている品もあります。研磨しやすく光沢が出やすい球状の品がほとんどなので、それ以外の形に加工されているものはあまり見かけられません。

 

まとめ

ジェットは水中の石炭層に堆積した樹木の化石で、琥珀のように静電気を発生させることから、20世紀初頭までは琥珀と考えられていた宝石です。19世紀のイギリスで哀悼の意を示すモーニングジュエリーとして普及し、現在では真珠と並ぶフォーマルな宝石となって日本では念珠にも利用されています。研磨によってガラス光沢を持ちますが、樹木に由来することから大きくても軽量であることが特徴で、ファッショナブルな宝石としても注目されています。

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