ロレックスの腕時計の中で、人気モデルのひとつにデイトナというモデルがあります。スポーティで上品なデザインが人気ですが、その歴史は古く1960年代から活躍しているモデルです。
ここでは、そんな歴史あるデイトナについて、歴代のモデルの特徴や各モデルの仕様変更点などを詳細に説明していきます。
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デイトナとは?
デイトナはロレックスの中でも、世界中に愛用者やコレクターがいる非常に人気の高いモデルになっています。
・人気のクロノグラフ
1963年に初代デイトナが誕生していますので、約60年の歴史がある高級時計になります。
ロレックスの中でも唯一のクロノグラフというのもあいまって、人気の大きな理由のひとつとなり、多くの著名人が愛用していることでも有名です。
1989~1993年にかけて日本国内でバブルが全盛だった頃、ロレックスの人気が爆発したときには、日本国内でもさらにデイトナ人気が過熱して、正規品を購入するには10年以上先になる、との噂が流れるほどの人気ぶりでした。
もちろん、並行品ですらまったく手に入らないという状況でした。
現在でもデイトナ人気は衰えることを知らず、その状況はデイトナ全般的なモデルの中古価格が高い水準で維持されていることを見れば納得できます。
・名称の由来
デイトナの正式名称は、オイスターパーペチュアル・コスモグラフ・デイトナと長い名称となっています。
コスモは宇宙を、デイトナはモータースポーツを連想することができ、1960年代のデイトナ誕生当時に世界中の人々の夢だった宇宙と車に、夢を託した時計です。
デイトナは車に関係の深い時計ですので、特に男性に非常に人気の高いモデルとなっています。
「デイトナ・インターナショナルスピードウェイ」というモーターレースにちなんで名づけられたというのもありますが、時速を測定できるベゼルを搭載し、視認性と防水性能が高く、実用的な時計でもあるのです。
・パワーリザーブの長さ
現行モデルのデイトナは72時間のパワーリザーブを保有する自動巻きムーブメントを搭載しています。72時間といえば、まる3日です。
そのため、2日ほど腕に装着したり持ち歩いたりしなくても、時計が止まることがありません。
さらに、時計合わせの時に秒針が止まるハック機能があるのは、痒い所に手が届くように便利な機能です。
・資産価値としても注目
世界的にもロレックスのデイトナは有名なモデルなので、資産価値としても他の高級時計と比べてもトップクラスといえるでしょう。
正規店でも常に品薄というか在庫不足の状態で、新品で購入するのは難易度が非常に高いとされています。
そのためデイトナの中古市場も活発で、モデルによっては新品よりも高い価格で取引されることもあるため、おのずと資産価値にも注目があつまっています。
売却する時でも買い取りの査定額が非常に高いため、ロレックス投資と呼ばれるものが存在するくらいです。
ということで、デイトナの概略は理解していただけたでしょうか。
それでは、ここからは歴代のデイトナについて、各世代別にまとめてみましたので、紹介していきます。
プレデイトナの特徴は?
デイトナの正式発売は1963年ですが、ロレックスにはデイトナが販売される前にもクロノグラフタイプの時計のモデルがありました。
年代的には1954年から1961年に製造されていた製品で、プレデイトナと呼ばれていますが、実際にはデイトナに関連する正式名称ではありません。
現行のデイトナはスポーティで重厚なデザインが特徴ですが、プレデイトナのデザインは控え目でシックな印象です。
ケースのサイズは37mmと現行のデイトナと比べると小ぶりで、腕が細い女性や日本人でもスマートに着用できます。
タキメーターはベゼル上ではなく、文字盤に直接入っているため、文字盤がちょっとガチャガチャとしていて見にくいようにも見えますが、それが逆に上品で大人の雰囲気を醸し出しています。
スポーティモデルというよりも、ドレスウォッチに近い印象です。
英国風のトラディショナルなスーツや上品なニットに合いそうな紳士時計という感じではないでしょうか。
このプレデイトナもオイスターケースを使用していますが、クロノグラフのプッシュボタンがねじ込み式ではありません。
さらには、リュウズガードもないため、耐水性がそこまで高いわけではなく、水が入ってくる可能性はゼロとは言い難いです。
さらに、年式もかなり古いことから、完全な防水仕様とは言い切れません。
そのため、生活防水程度と考えておけばいいのですが、念のため、雨天時の使用や水回し時の使用は避けておいたほうがいいでしょう。
プレデイトナは時計のジャンル的にはアンティークの部類に入ってしまい、なかなか入手困難で希少価値は非常に高いものです。
探してもそんなに簡単に見つけられるものでもなく、本気で購入しようと思ったら、価格は高級外車くらいの値段はすることを覚悟したほうがいいでしょう。
ただし、ロレックスの歴史やデイトナの歴史を肌で感じることができ、現存する個体の数を考えると、それくらいの価値があるのではないでしょうか。
・Ref.6238
1960年代に生産され、ベゼルはステンレス製
キャリパー
Cal.72B 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
Cal.722-1 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
ケース径:37mm
リューズ径:6mm
プッシャー:非ねじ込み式
防水性能:30m
デイトナ 第1世代の特徴は?
さて、ここからはデイトナとしての腕時計の紹介を行っていきます。
デイトナはロレックスのモデルの中でタキメーターをベゼルに表記させた初めてのモデルになります。
スピード測定用のタキメーターをベゼルに刻み込み、ダイヤルとインダイヤルのカラーが反転しているのも大きな特徴です。
このデザインにより、デイトナはレーシングクロノグラフとしてのイメージを確立させています。
初代デイトナの発売は1963年より開始されて、第1世代と呼ばれているモデルには2つの型番があります。
その2つの型番についての詳細なスペックを以下に紹介しておきましょう。
・Ref.6239
1963年~1965年頃に生産され、ベゼルはステンレス製
・Ref.6241
1965年~1960年代後半に生産され、ベゼルはプラスチック製
キャリパー
Cal.72B 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
Cal.722-1 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
ケース径:37mm
リューズ径:6mm
プッシャー:非ねじ込み式
防水性能:30m
デイトナ 第2世代の特徴は?
第2世代のデイトナは第1世代と同じく2つの型番が存在します。
第1世代と何が異なるのかというと、搭載しているムーブメントがCal72BからCal727へ変更している点です。
高い精度と高い耐久性を兼ね備えたCal727は、振動幅を毎時1万8000振動から毎時2万1600振動へとあげることで、時計としての精度が一気に向上しています。
ただ、このモデルでは第1世代と同じく、リュウズがねじ込み式ではないため、防水性は30m程度しかありません。
そのためか、生産された本数も少なく、流通量が非常に少ないため、希少価値は非常に高いモデルです。
以下に2つの型番についての詳細なスペックを記載しておきます。
・Ref.6262
1965年~1969年頃に生産され、ベゼルはステンレス製
・Ref.6264
1965年~1969年頃に生産され、ベゼルはプラスチック製
キャリパー
Cal.727 手巻き 毎時21600振動 マイクロステラナット キフ・ウルトラフレックス
ケース径:37mm
リューズ径:6mm
プッシャー:非ねじ込み式
防水性能:30m
デイトナ 第2.5世代の特徴は?
2.5世代はデイトナのプロトタイプとも呼ばれ、プッシュ式からねじ込みプレッシャーが初めて採用されたモデルになります。
第3世代からねじ込みプレッシャーは大々的に公表されていますが、実は2.5世代に採用されていました。
型番は1種類のみで、製造時期は第2世代と被っています。
あくまでも第3世代のプロトタイプという位置づけがつよかったのかもしれません。
生産時期が短いため生産本数も非常に少なく、第2世代と同じように希少価値は非常に高いものです。
ベゼルはステンレス製とプラスチック製がありますが、同じ型番で混在しています。
詳細なスペックを以下に紹介しておきます。
・Ref.6240
1965年~1969年頃に生産され、ベゼルはステンレス製とプラスチック製
キャリパー
Cal.72B 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
Cal.722-1 手巻き 毎時18000振動 マイクロステラスクリュー キフショック
ケース径:37mm
リューズ径:6mm or 7mm
プッシャー:ねじ込み式
防水性能:50m
デイトナ 第3世代の特徴は?
この世代では2つの型番が存在しています。
プッシュボタンがねじ込み式になり、ねじ込みプレッシャーが採用されることにより、防水性能が50mを達成しています。
当時では50mの防水性能を持つ時計としては、世界初のクロノグラフでした。
また、ダイヤルに「OYSTER」の文字が表記されたのもこのモデルからです。
手巻き式の最終モデルとしても有名です。
さらに、レアダイヤルとして有名な「ポールニューマンダイヤル」を搭載した時計が存在しています。
ポールニューマンダイヤルは別名エキゾチックダイヤルと呼ばれ、市場に流通することはほとんどありません。
そのため、アンティークデイトナの中でも希少価値は非常に高く、市場価値は年々高騰しています。
生産期間が18年と長いため、アンティークロレックスのデイトナとして、最も目にするモデルです。
2つの型番についての詳細なスペックを以下に紹介しておきます。
・Ref.6265
1970年頃~1988年頃に生産され、ベゼルはステンレス製
・Ref.6263
1970年頃~1988年頃に生産され、ベゼルはプラスチック製
キャリパー
Cal.727 手巻き 毎時21600振動 マイクロステラナット キフ・ウルトラフレックス
ケース径:37mm
リューズ径:7mm
プッシャー:ねじ込み式
防水性能:50m
デイトナ 第4世代の特徴は?
1987年に手巻き式のデイトナが生産中止となり、翌年の1988年のこのモデルから自動巻きが採用されました。
ロレックスが初めて自動巻きのムーブメントを搭載したクロノグラフの誕生です。
インダイヤルに縁取りがされて、リュウズガードが搭載されるなど、時計としてのデザインも大きく変化しました。
この世代の型番である16520には、傑作のムーブメントと呼ばれたゼニス社の「エリブリメロ」にロレックスで改良を加えたCal4030を使用しています。
パワーリザーブは過去のモデルよりも大きく進化しており、52時間へと大きく進化しました。
また、ケースにサファイヤクリスタルを採用して、100mの防水性能を実現しています。
ケース径は第3世代と比較して大きくなり、現行モデルと同じ40mmで、より存在感をアピールしています。
型番は1種類しかありませんが、10年以上生産を続けたモデルです。
日本のバブル期では、このモデルを入手するのには10年待ちとも言われたくらい超人気モデルとしても有名でした。
代表的な型番は16250ですが、イエローゴールドとステンレスのコンビモデルであるRef.16523やすべてが金無垢であるRef.16528が生産されました。
さらには1990年代に入ると、ベルトを革仕様にしたタイプ(型番:Ref.16518やRef.16519)などさまざまなタイプのデイトナが生産されています。
それ以外でもダイヤルがブラウンになったもの、200タキメーター、段オチと呼ばれるものなど希少価値の高いモデルが多数存在する世代になっています。
以下に代表的な型番である16250の詳細なスペックを記載しておきましょう。
・Ref.16250
1988年~2000年頃に生産され、ベゼルはステンレス製
キャリパー
Cal.4030 自動巻き 毎時28800振動 マイクロステラナット キフ・ウルトラフレックス
ケース径:40mm
リューズ径:7mm
プッシャー:ねじ込み式
防水性能:100m
デイトナ 第5世代の特徴は?
ミレニアムの2000年に誕生したこのモデルの最大の特徴は、ロレックス念願の自社キャリパーを採用したことです。
パワーリザーブは72時間へと進化しており、現行のロレックスと同じムーブメントを採用しています。
3時と9時にあるインデックスの位置が上位に移動したことや、スモールセコンドと12時間積算計の位置が入れ替わるなど、クロノグラフとしての実用的な部分の変更が行われました。
また、ラグとベゼルの仕上げ方法がポリッシュ仕上げに変更されたのも特徴です。
この世代では、デイトナビーチと呼ばれる青・黄色・緑・ピンクのカラーダイヤルを有したモデルが発売され、非常に話題になりました。
2008年には型番:116505として、ピンクゴールド素材のモデルは登場し、さらにその3年後にはベゼルをセラミックに変更したデイトナ初のセラミックベゼルである型番:116515LNが登場しています。
16年もの間にわたって生産し続けられた第5世代ですが、途中で以下のような仕様変更を行っています。
2004年頃:分針・時針を太くするなど、針の変更
2006年頃:文字盤の見返し部分にシリアルナンバーとロレックスの文字を刻印
2008年頃:パラクラム・ヒゲゼンマイへの酸化処理(精度や耐衝撃性の向上)
2013年頃:夜光塗料をクロマライト(青色発光)へ変更
2015年頃:クラスプの中板部分を梨地仕上げから鏡面仕上げへ変更
第5世代の型番である116520の詳細スペックを以下に記載しておきます。
・Ref.116520
2000年~2016年に生産され、ベゼルはステンレス製
キャリパー
Cal.4130 自動巻き 毎時28800振動 マイクロステラナット キフ・ウルトラフレックス ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ(2008年以降生産分)
ケース径:40mm
リューズ径:7mm
プッシャー:ねじ込み式
防水性能:100m
デイトナ 第6世代
の特徴は?
2013~2023年にかけて生産された第6世代のモデルで、ステンレスモデルがマイナーチェンジされています。
2016年のバーゼルワールドで発表されてから5年以上が経っていますが、未だに人気が衰えず、むしろ需要が高まり続けている状態です。
マイナーチェンジゆえ、第5世代とスペックはほぼ同じですが、セロクラムと呼ばれるブラックセラミックをベゼルに採用したことで、傷に強くなったのも特徴です。
セラミック製のベゼルはサブマリーナーやGMTマスター2にも採用されていますが、これらのモデルは表面だけがセラミックであるのに対して、デイトナではベゼル全体をセラミックにしています。
ユーザーが操作することが多いベゼルですが、ロレックスが独自で開発したとされるハイテクセラミックのおかげで、圧倒的な耐スクラッチ性や耐食性を誇り、傷から守ってくれます。
黒文字盤と白文字盤の2種類が生産されており、黒文字盤はダークな印象を、白文字盤はさわやかな印象を与えているでしょう。
白文字盤はインダイヤルが黒になったことで、よりシャープなデザインとなり、どちらかというと白文字盤のほうがユーザーには高評価で、人気を博しています。
また、このモデルは非常に人気が高く、中古市場でも高値で取引が行われています。
型番の最後にLNと記載されていますが、これはフランス語の「Lunette Noir」の略で、黒いベゼルという意味です。
型番116500LNの詳細スペックを以下に記載しておきます。
・Ref.116500LN
2016年~に生産され、ベゼルはブラックセラミック製
キャリパー
Cal.4130 自動巻き 毎時28800振動 マイクロステラナット ブルーパラクロム・ヒゲゼンマイ
ケース径:40mm(厚さ:9.6mm)
リューズ径:7mm
プッシャー:ねじ込み式
防水性能:100m
デイトナ第7世代
2023年に第7世代にあたる126500LNが発表されました。
2つの特許取得のメカニズムを持つ、ロレックスの新しい自社開発ムーブメントCal.4131を搭載している。振動子を衝撃から守るパラフレックスショックアブソーバーと、強磁場に耐性を持ち、エネルギーロスを大幅に低減するクロナジーエスケープメントで、自動巻を強化するために最適化されたボールベアリングなど第4世代から第6世代まで搭載されていた自社開発のCal.4130を改良したもので、デイトナに自社開発のムーブメントを搭載するのは2度目となる。
まとめ
以上のように、デイトナの歴史と各世代についての特徴などをまとめてきました。
デイトナは20世紀の半ばに誕生してはや60年くらい経っています。
その間に細かい部分から大きな変更に至るまで、さまざまな進化を遂げてきました。
また、ロレックスの中でも非常に高い人気を誇るデイトナは、中古市場でも値崩れするどころか、騰がっていく一方です。
そのため、買い取り価格も安定していることから、どのモデルでも資産価値としても注目が高くなっています。
そのようなデイトナの魅力を知ることができたのではないでしょうか。
高級ブランド時計の多くは価格改定がされており、新品・中古問わず需要が高まり買取価格も上昇傾向にありますので、売却にはベストなタイミングといえます。
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