金買取と消費税の関係は?正しい知識を身につけトラブルを防ごう

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金買取と消費税の関係は?正しい知識を身につけトラブルを防ごう

金の売買を行う際には税金がかかる、ということをご存じでしょうか。本記事では金買取に関する税金の基礎知識を紹介します。今後、消費税が上がった場合にも対応できるよう、ポイントをまとめているのでぜひ参考にしてみてください。

金買取によって手にした消費税の納税

金の売買取引をすれば必ず消費税が発生します。購入する際は、当然消費税込の料金を支払いますね。では買取に出す時はどうなるのでしょうか?この場合は買取店が金の購入者になるため、消費税を支払います。そして、金を売った人はその消費税を受け取れるのです。消費税を受け取れば、国に申告し納税する義務があります。しかし、必ず納税の義務があるわけではありません。また、個人で取引した場合と、個人事業主・法人が取引した場合とでは大きく違います。

個人で取引した場合は納税の必要が無く、受け取った消費税は利益となります。消費税の納税義務が課せられるのは、個人事業主・法人です。ただし法人は前々事業年度、個人事業主は前々年の課税売上高が1,000万円以内の場合、消費税の課税対象になりません。また、事業開始後2年以内の場合も納税が免除されます。金の売買で得た利益を資金繰りに使う予定があるなら、事業開始後2年以内の売却を検討すると良いでしょう。

一方、納税義務の無い個人の取引にも注意すべき点があります。短期間のうちに何度も金の取引を行うと営利目的の行為とみなされ、課税対象取引と判断される可能性が高いです。その場合は納税義務が課せられるためご注意ください。このケースでは「営利を目的とし継続的に」取引しているかが争点になります。買取店等を利用され何度か取引する予定がある場合は、計画的に行いましょう。

 

消費税が増税されたら買取価格もアップする?

日本では8%だった税率が2019年に増税され、2021年現在の消費税は10%です。世界各国では15%以上の税率が採用されていることもあり、今後「消費税は上がらない」とは考えにくく、近い将来さらに税率が上がる可能性も否定はできません。では本当に増税されたら、金の買取価格に影響が出るのでしょうか。

結論から言うと「買取価格はアップ」します。税率が上がれば買い取る側が支払う消費税は当然増え、売却した側が受け取る金額も増えるのです。2019年の増税前に購入した金を2021年の今売却するなら、支払った消費税は8%でしたが受け取る消費税は10%、単純に考えて増えた2%分が利益になります。もしも金の相場は変わらないとすれば、税率アップだけでその差が利益になるのです。

ここで、具体例を挙げてみましょう。

金レート1g=5,000円のインゴットを500g、消費税8%時に

5,000円×500g+消費税8%=270万円で購入しました。

このインゴットを消費税10%の現在に売却するとします。わかりやすいようにレートは変動無しで計算してみましょう。

5,000円×500g+消費税10%=275万円で売却しました。

この購入価格と買取価格の差額5万円が、消費税の差額であり利益です。今後も増税の検討は継続して進められるため、増税分の利益が増えるという認識は常に持っておくと良いでしょう。

金の相場は常に変化しており、今後価格が下がれば増税でアップした消費税分だけでは利益が出ないこともあるかもしれません。しかし、将来さらに税率が上がる可能性も考えて「今のうちに」と金を購入する人もいます。金の取引は金額が大きくほんの数%の差で、数万円の違いが出るため、税率にも注目すべきでしょう。

 

海外から金を持ち込んだ際の税金

「海外で金を購入して、日本で売れば儲かる」といった話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。世界中で金の取引は行われているため海外でも金を購入できますが、金の取引に関する消費税は国によって取り扱いが異なります。「消費税のかからない国で金を購入し、日本で買取ってもらえば消費税分が儲かる?」という話は本当なのでしょうか。

日本・韓国・インドなど一部の国では、金を課税対象にしているため消費税が発生します。対して、世界には非課税で金を購入できる国が数多くあるのです。他の国で非課税の金を購入し、同じ金額以上で売却できれば消費税の分を利益にできます。日本の消費税率が高ければ高いほど、利益も大きくなるのです。

この仕組みを利用すれば、確かに利益を発生させることはできます。しかし、実際には現実的ではありません。なぜなら、日本に金を持ち込む際には関税を払う必要があるからです。関税法で消費税の支払いが義務付けられているため、他の国で購入する時は非課税でも、持ち込んだ際に発生する消費税で相殺されてしまいます。これでは利益は生まれません。

例外として、20万円以内で購入した金ならば、免税対象のため関税がかかりません。しかし、20万円以内で購入できる金の量は限られています。また、20万円の金を日本国内で売却した場合の消費税は2万円です。利益を2万円得られますが、他の国へ渡るための渡航費を考えると「儲かる話」とは言えないのではないでしょうか。海外旅行のついでにお土産感覚で購入する程度なら問題はありませんが、利益のために渡航するというのは賢い買い物とは言えないかもしれません。

金の大量密輸が横行している

免税となる20万円を超える金を、非課税で日本に持ち込む「密輸」の件数が増えています。非課税の国で購入した金を、課税国である日本で売却すれば利益が得られるのです。「20万円以内で購入した金には関税がかからない」というルールを破ってしまえば、非常に大きな利益を得ることができます。また、金は少量でも価値があり加工もしやすいため、密輸するには都合がいいとされているのでしょう。

消費税率が上がれば上がるほど売却時の利益は大きくなるため、密輸の件数が増えてしまうのではないかと懸念されています。政府は取り締まりを強化していますが、それでも密輸件数は増しているため、密輸に対する罰金を上げていく予定です。

組織ぐるみで行われることの多い犯罪ですが、近年では「ちょっとした小遣い稼ぎができる」とインターネットで一般の方を誘う悪質な事例が増えています。知らないうちに密輸に加担させられ、犯罪に巻き込まれてしまうのです。絶対にこのような誘いには乗らないよう、十分に注意してください。

 

まとめ

金の取引には消費税がかかります。買取の際に消費税を受け取れることや、その消費税の申告・納税に関するルールを知らなかった方も多いのではないでしょうか。税金についての知識があれば、金の売買取引においてメリットになるでしょう。また、海外の税金事情も頭に入っていれば、ちょっとしたお小遣い稼ぎもできます。すでに金を所有している方も、これから金を購入・売却しようとお考えの方もぜひ参考にしてください。

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