金を売る際に必要な「本人確認」!必要書類や注意点を解説

銀行で新規の口座を開設する時、アプリやインターネット上で商品を買う時など、本人確認される機会が増えたと感じる人は多いのではないでしょうか。今では様々な場面で行われる本人確認ですが、金取引ではどのような本人確認が行われるのかを解説します。
Contents
なぜ金を売る際に、本人確認が求められるか?
平成20年3月に犯罪収益移転防止法が定められました。これは犯罪で得たお金をテロ行為等の資金に流れることを未然に防ぐための法律です。金が日本国内に持ち込まれる場合、密輸の危険があるため、より一層警戒を強めています。
古物営業法との関係性
古物とは中古品やリサイクル品のことで、古物の取引のことを「古物営業」と言います。そして古物営業法とは、古物取引のルールを定めた法律。買取業者はまさに古物取引にあたるので、この法律に基づいて営業しています。どうしてこの法律が必要なのか、有名画家の描いた絵画を例に挙げて説明しましょう。
有名画家の描いた絵画がネットオークションに出品される場合、その絵が本物なのか偽物なのかも重要ですが、そもそも犯罪行為によって入手されたものの可能性があります。有名な絵画はその絵画の素晴らしさを理解している人が欲しがるだけでなく、盗んだあと転売してお金に換えてしまおうと考える人にも狙われる危険性が。
そこでそもそもお金に換えること自体を困難なものとし、換金目的の犯罪を減らそうというのが古物営業法の本質です。換金するには古物営業法に定められた様々なルールをクリアしなければなりません。
本人確認がない場合、悪質な可能性も
古物営業法では、古物営業時に取引相手に対して本人確認することを義務付けています。以下の2点を除く場合、本人確認が必須です。1つ目は自分が売却したものを買い戻す場合。2つ目は取引価格の総額が1万円未満の場合です。
この2つの条件に当てはまらないにもかかわらず本人確認がなかった場合、そもそも許可を受けていない業者か届出を出していない業者かもしれません。悪質な取引に関わっている業者の可能性も考えられます。中古品を店舗等へ持ち込んだ際に、もし本人確認がなかったらどうしてしないのか聞いてみましょう。悪質な業者でなければ、上記の2つのケースに当てはまるからだと教えてくれるはずです。
必要書類は?
金取引の場合、1万円を超える金額の取引になる可能性が高いため、本人確認される場合がほとんどです。店舗に持ち込む前にホームページを確認し、必要な本人確認書類を確認しましょう。200万円を超える場合と超えない場合、あなたが個人として取引するか法人として取引するかなど、必要書類が増えるケースもあるのでそれぞれ紹介します。
取引金額の合計が200万円を超えない場合
個人でも法人でも金を購入する場合、必要書類は必要ありません。売却する場合、個人であれば本人確認書類が確認・記録され、コピーを買取業者が取得します。法人の場合は登記事項証明書のコピーが必要であったり、店舗によって異なったりするため、確認が必要です。代理人が取引を行う場合は、委任状や代理人の本人確認書類を求められますので、併せて準備しましょう。
取引金額の合計が200万円を超える場合
金額が200万円を超える場合はより本人確認が厳しくなります。もう1枚追加で本人確認書類が必要です。例えば、個人の場合なら運転免許証の他に、マイナンバーカードやパスポートなど。法人の場合なら登記事項証明書の他に印鑑登録証明書などが必要になります。さらに銀行口座の番号が分かるものが必要です。
また、法人の場合はLBMA質問書の提出を求められる場合も。国際的に権威のある協会のLBMAはマネー・ロンダリングやテロ行為へ資金流入防止のため、ガイダンスを提示しています。このガイダンスを守っている業者は、安全な取引を続けている認証を受けていることになるのです。安全な取引のために、間違いのないよう回答しましょう。
犯罪収益移転防止法とは
前述のLBMAのガイダンス然り、世界中がマネー・ロンダリングやテロ行為等への資金流入の防止へ動いています。そこで日本で施行されたのが犯罪収益移転防止法です。時代に合わせて何度か改正されています。
特定事業者が取引する際の本人確認等に関して定められた法律です。金を扱う事業者も特定事業者に含まれ、取引する際は「取引時確認」と呼ばれる手続きが義務化。金の取引には通常の特定取引とハイリスク取引があり、後者は犯罪行為を助長する可能性のある取引を意味します。
組織的な犯罪行為の拡大を防ぐのは国際的な課題ですが、取引時確認の義務化により、各取引が本当に安全な取引なのか明確にできるのです。必要書類を用意できなければ取引できないので、必要書類を確認し用意しましょう。金取引における、取引時確認が必要な取引は200万円を超える金額の取引です。
多くの店舗が200万円から対応が強化される
金の取引において事業者は、取引相手の本人特定事項等の確認が必要です。ここで本人特定事項とは、個人の場合は「氏名、住所、生年月日」のことで、法人の場合は「名称、本店又は主たる事務所の所在地」のこと。
これに加えて、個人の場合は取引する目的や職業を確認し、法人の場合は目的だけでなく、事業内容、実質的な管理者の本人特定事項、取引担当者の本人特定事項の確認が必要であることにご注意ください。
ハイリスク取引の疑いがあるケースの場合はさらに多くの書類の提出が必要。取引相手が本人になりすましている疑いがあるケースや、本人特定事項を偽っていた疑いがあるケースがハイリスク取引にあたります。200万円を超える取引は非常に大きな取引です。より厳格に確認する必要があるため、資産及び収入の状況まで確認できる書類の提出を求めるケースもあります。例えば源泉徴収票や預貯金の通帳などです。
リスクを考えれば、より大きな金額を取引するほど店舗は厳格で強固な確認手法を取ります。200万円を超えるような金を取引する予定があるならば特に、法律を遵守している店舗を選び、あなた自身も必要書類を正しく準備しましょう。
まとめ
安全な取引をこれからも続けていくため、各事業者は時に厳しい本人確認を実施します。不正な取引を減らすことは最終的に金の価値を守ることにも繋がりますので、必要書類を間違いなく準備して、気持ちの良い取引をしましょう。