金から銀、そして金本位制へと移行した世界の貨幣

人類の経済活動に欠かすことのできない貨幣。最終的には金が世界で共通の貨幣となりましたが、そこに至るまでは人類が様々なう余曲折を経てきた歴史が隠れているのです。そこで今回は、金から銀そして金本位制へと移行した世界の貨幣制度の歴史について詳しく解説していきます。
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金からはじまった貨幣制度
非常に貴重な鉱物である金は、銀や銅の後に貨幣として使われたのではと思う方も多いかもしれません。しかし実は貨幣制度のはじまりは金からだったことはご存じでしょうか。以下では世界ではじめての貨幣について詳しく解説していきます。
世界ではじめての貨幣
世界ではじめて作られた貨幣は「エレクトラム硬貨」といいます。紀元前の7世紀にアジアにあったといわれている、リディア王国で人類初の硬貨が作られました。主に使われていたのは金と銀だったそうです。
リディア王国は非常に発達していたこともあり、周辺諸国や当時世界最大の繁栄を誇っていたギリシャなどとも交易をしていました。特にギリシャなどの大国が貨幣の利便性に目をつけ、瞬く間に世界中に貨幣が広がっていくことになります。
エレクトラム硬貨の欠点
当時では画期的だった硬貨の発明でしたが、見逃すことのできない欠点がありました。それは現在でも高い価値のある金が大量に使われている点です。
そのため少額での取引には向かず、当時でも経済力のある商人や国家だけにしか使えなかったこともあり、一般庶民にはなかなか定着しませんでした。そのため少しずつではありますが、金から銀へと硬貨の主役が変わっていくことになります。実際にエレクトラム硬貨を発行したリディア王国内でも、金を使っていたのはほんの初期の間だけだったそうです。
金貨から銀貨への移行
金がふんだんに使われていたためあまりにも価値が高すぎた金貨は、一般庶民には定着せずに一部の人々のみでしか使われていませんでした。そのため徐々にではありますが、当時の国家では金貨から銀貨へ貨幣の主役が移行していくことになります。
銀貨の台頭
あまりにも価値が高いため生産量の少ない金貨と比較すると、銀のほうがある程度産出量も確保できたため少しずつ銀貨の流通が広まっていきます。
金貨を貨幣として採用した古代ギリシャなどでも、銀貨は2番目に価値が高い貨幣として多くの人々に使われはじめました。 時を同じくして銅貨も作られ、金貨は一部の層のみに使われ、銀貨や銅貨は比較的一般の人々が愛用していた特徴があります。
銀の価値の暴落と金の台頭
銀貨はその後中世ヨーロッパの時代まで貨幣の主役として使われました。しかし採掘技術などが発達しそれまで以上に銀が取れるようになったことから、銀の価値が暴落してしまいます。
銀の価値が暴落したことによって再び金に脚光が集まりましたが、銀には金とは異なる独特の特徴がありました。
それは装飾がしやすい点です。 光り輝く美しいことに加えて金よりも装飾がしやすいので、現在でも記念コインなどによく使われています。特に収集家などに向けた特殊な仕上げがされている銀貨などは非常に有名であり、一部では非常に高い値段で売買されているのも大きな特徴です。
金本位制度への移行
銀の価値が暴落してしまったことにより、世界では新しくさらなる価値がある貨幣を作らなければいけませんでした。そこで再び注目が集まったのが金です。そこで以下では、銀貨から金本位制度へ移行した歴史について詳しく解説していきます。
金本位制度への移行と終えん
長らく続いた銀貨の時代が終えんを迎え、新しく当時のイギリスによる金本位制度が世界中で採用されました。金本位制度によって世界のどこでも貨幣と金が簡単に交換され、文化が異なる国との間でも簡単に貿易が可能になったのも大きな特徴です。
金本位制度は日本でも採用されることになり、日清戦争によって勝利したことにより得られた大量の金を元手に開始されました。
しかし長く続くようにみえた金本位制度も、第1次世界大戦に伴う世界大恐慌によって終えんを迎えました。
世界中の国々が制度を維持することのできる金を保持できなくなり、戦争によって不景気が訪れてしまったからです。その後世界はアメリカ主導による金・ドル本位制、そして現在の変動相場制へと移行していくことになります。
まとめ
今回は金貨、銀貨、そして金本位制と貨幣制度の歴史について詳しく解説してきました。金は昔から常に高い価値を維持してきており、それは現在でも変わっていません。今後また金に脚光が集まり、大幅に価値を高めることも十分考えられるでしょう。