エルメスを代表するケリーバッグの話題作であるヒマラヤは、アルプスを連想させる特徴的な作品です。希少価値の高いクロコダイル素材を繊細に加工した、幻のケリーバッグと呼ばれる逸品になります。
究極のプレミアムケリーとバーキンのヒマラヤと、エルメスの歴史について迫ります。
エルメスの始まりは
馬具からでした
エルメスの歴史はまだ若い職人であったティエリ・エルメスが、1837年にフランスのパリのバス・デュ・ランパール通りに、工房兼ショップを構えたことによってスタートしました。ティエリは若い時に両親や家族を立て続けに失い、生誕地のドイツからフランスに渡り皮革工房で修業をしたのです。その技術を使い馬具を製作して、後の企業の土台を築いてゆきます。
その後成長を続け着実に製品のクオリティは上昇して行き、第2回万国博覧会がパリで開催されて、エルメスは銀メダルを授賞するのです。単身パリにやってきたティエリは、13歳からこの道一筋で自分のセンスと技術で道を開きました。
19世紀は乗馬や馬を動力にした馬車が人々の移動の手段でしたが、蒸気機関による列車がインフラになり間もなく自動車の時代が幕を開けます。馬具工房からスタートして万国博覧会を機に名声が高まり、ヨーロッパ中の貴族やロシア皇帝ニコライ二世に寵愛を受ける存在になっていたのです。馬の鞍や馬具は使いやすく美しく、そして耐久性にも優れるものでした。
1903年にエルメスは代替わりをして、アドルフとエミール・モーリスの時代になります。エルメス社の商号をエルメス兄弟社に変更し、多角化経営に乗り出してゆきました。馬具から札入れや婦人用の財布、鞄やラゲッジ類の展開へ製造を拡大していったのです。当初は苦戦をしたものの、進取なアイデアマンだったエミール・モーリス・エルメスは、当時画期的な発明だったファスナーを自社製品に使うなどして、市場へアピールをしたことが功を奏して、馬具以外でも実力が認められてゆきました。
エルメスの長所は馬具製作で培った技術であると同時に、伝統と革新を組み合わせてより良く自社製品の方向性をシフトさせてゆくことです。エミール・モーリス・エルメスは兄から会社の所有権を買い取り、商号を元のエルメスに戻します。1923年には現在のボリードの原形になったブガッティを発表し、ラゲッジブランドとしての地位を固めたのです。現在見ても古さは全く感じない名品の一つになります。歴史と共に成長をして、現在もなお伝統を守りながら挑戦を続けているのです。
クロコダイルレザーが高い理由
クロコダイルレザーは軽く頑丈で、美しい鱗模様が特徴的です。仕上げによってはマット仕様や光沢仕様があり、どちらも魅力を放っております。牛革レザーに比べると数倍の価格設定であり、最終製品はハイブランドの名に負けない高額な価格になるのです。
クロコダイルレザーが高価な理由は、その希少性にあると言われております。自然環境の野生のクロコダイルは悠然と水辺で生息する生物であり、現在は絶滅の恐れがある野生動物に指定されているのです。ワシントン条約で乱獲や捕獲に対して制限を設けられており、狩猟する場所等によっては禁止行為に該当するので法律によって罰せられてしまいます。
これらの背景から現在は保護が進み、エルメスで素材にしているクロコダイルレザーは養殖で育てられたものに切り替わっているのです。クロコダイルを養殖するには生息環境を整えて、長い年月飼育しなければなりません。成長をすることで獰猛な性質になるので、群れの中で諍いを起こしてお互いを傷付けてしまうこともあるそうです。原皮に傷がつくと製品のランクは下がります。そのためにある程度成長した段階で、群れから離して単独で育てられるようになるために、そうした環境や飼育のための人件費がより発生するようになるのです。膨大なコストは加工された後に、製品価格に転化されることになります。
エルメスは一枚の原皮を余すことなく使うわけではなく、バッグや小物類の主要な部分には、原皮の中でも一番良い部分しか使いません。力のかかる部分などにも同様のパーツ取りが行われるので、あまり効率的とは言えないのです。しかし製品に仕上がった時の美しさや、使い込んでいった時の耐久性は桁違いだと言われております。
使用しなかった部位は裏地に使われたり、職人が練習用に自分用の小物を作るなどで再利用されるのです。こうして品質に妥協せずに徹底した姿勢を貫くことで、世界一のバッグブランドとして矜持を守っております。一つの鞄が出来る過程では、こうした絶え間のない労力やコスト、さらに製造段階でのシビアな素材選びが行われているのです。だからこそエルメスは世界最高のバッグを作ることが出来ます。
クロコダイルレザーの長所
高級なクロコダイルレザーは、とても繊細なイメージがします。実際に手で触れると曇ってしまったり、小さな傷が入ることもあり、店頭では丁寧に扱われてユーザーへお届けされるのです。
製品の見映えとしては繊細な部分がありますが、耐久性としては牛革以上だと言われております。一説には数倍から十倍程度の頑強さがあり、メンテナンス次第では長く使えるだけの丈夫さを兼ね備えたのがクロコダイルレザーのメリットなのです。
牛革と比較すると軽く張り感があり、型崩れを起こし難く強いことがこのレザーの特徴になります。エルメスが素材にするクロコダイルレザーの仕上げには二つの種類があり、表面加工で磨く時に瑪瑙石を使いシャイニー仕様にすることをリセ仕上げと呼び、ウールフェルトを使い、艶を消してゆきマットな加工をすることを、その名の通りマット仕上げと呼んでおります。
この二つの仕上げは使い込んでゆくと対照的なエージングになり、リセ仕上げの製品は使い込んでゆくと光沢が落ち着いてゆきマットな雰囲気を出すようになるのです。反対にマット仕上げは使い込み表面が摩擦によって光るようになり、艶やかな印象へと変化してゆきます。耐久性の高いクロコダイルレザーは、経年によるこうした変化を楽しみながら所有する満足感を味わえるレザーなのです。
扱う上で気を付けたいのが曇りや水染みになります。油分が付いたり、水分が付着している状態で放置すると、曇りや染みの原因になってしまうのです。神経質になることはありませんが、定期的に乾拭きを行い、表面を綺麗にしておくことも大切になります。直射日光や蛍光灯の下に置いておくと、長時間光を浴びた状態になり色褪せの原因になることもあるので注意しなければなりません。風通しの良い日に光が当たらない場所で、使わない時に保管することがおすすめです。高額で貴重な商品なので、保管とメンテナンスは気を付けなくてはなりません。
しかし高額な物だからといって使わないことも良くはありません。定期的に使うことでレザーの中の油分や水分のバランスが良くなりますし、使い終わった後に乾拭きすることで光沢が出ます。保革オイルを塗り過ぎると型崩れや染みの原因になるので、通常は乾拭きだけにしておく方が良いでしょう。
エルメスがバッグに使う素材
エルメスは牛革だけではなくバイソンレザーやディアスキンなど、優れた天然素材の皮革を見事にバッグに昇華させることで知られております。レザーには独自の特徴があり、適材適所で使えば仕上がりだけではなく、見た目や耐久性を上昇させることが可能です。
柔らかくて肌に馴染みやすいディアスキンは、水に濡れても硬くなり難く揉み込めば元のソフトな状態になります。そのためにソフトな質感を重視するバッグや小物類、アパレルウェアやグローブなどではよく使われる素材の一つです。バイソンなどは分厚く摩耗に強いために、アクティブなショルダーバッグなどに加工されます。また一部内装や補強材などにして、キャラクターの強い質感を加えてデザインの一部にするケースも少なくありません。レザーの特性を熟知するエルメスだからこそ、こうしたテクニックを使い熟練したスキルで製品化出来るのです。
エルメスのハイランク商品と言えばエキゾチックレザーが有名になります。その中でも鰐革は垂涎の逸品として知られており、価格もエントリークラスの同製品の5倍から10倍する貴重なモデルです。鰐革は3種類使われております。
3種類の鰐革はクロコダイルレザーのポロサスとニロティカス、ミシシッピ原産のアリゲーターです。ポロサスクロコダイルは別名スモールクロコダイルと呼ばれており、小さな鱗の連続が特徴になります。左右対称で並び方は非常に綺麗であり、バッグだけではなく財布や小物類にも素材として使われるのです。エルメスの刻印には三角形の下が閉じていないマークが使われております。
ニロティカスクロコダイルは、ナイル川のクロコダイルという意味です。ポロサスと似た性質を持っており小判で美しい鱗模様が特徴になります。刻印には点が二つ並び、ポロサスと素材の違いが区別出来るのです。それぞれ微妙な差もありますし、個体差もありますので店頭で見比べてみることがおすすめになります。
アリゲーターは大きな鱗が特徴で、迫力がありダイナミックな印象です。鰐革の中ではリーズナブルな部類ですが、牛革などと比べると数倍の予算が必要になりますので決して安いわけではありません。
幻と呼ばれるヒマラヤバーキン
ヒマラヤと呼ばれる素材は、ニロティカスクロコダイルをマット仕上げにした素材のことです。染色は行わずにニロティカスクロコダイルの腹部分の白い部位を中央に配置して、サイドの褐色のグラデーションを強調させるデザインになっております。
世界最高の山脈が続くヒマラヤアルプスがモチーフになっており、白い部分は雪のホワイトを表現して、褐色の部分は雪解けした山脈の色合いを表現しているのです。ニロティカスクロコダイルにあえて染色しないことで、この美しいグラデーションを活用して、バッグへ昇華させたのがヒマラヤバーキンやヒマラヤケリーになります。
このヒマラヤシリーズが大変貴重なのは、中央が純白でサイド部分が褐色の原皮の採取量が少ないからです。人工的な染色ではなく個体の特徴を活用するので、製品化は素材がなければ出来ません。白い部分の均整が取れており、真っすぐに褐色のグラデーションが入らなければならないのです。そうしたレザーを使うことで、唯一無二のヒマラヤバーキンやヒマラヤケリーに仕上がることになります。
希少価値の高さと美しさにより、生産数は極めて少なく幻のバーキンと呼ばれているのです。元々ニロティカスクロコダイル素材のバッグも希少性があり、正規価格もハイランクの逸品になります。その中でもさらに厳選したヒマラヤケリーやヒマラヤバーキンは、限られた生産量で手にすることが出来る顧客もごく一部なのです。
技術力の高いエルメスの職人の中でも、この製品を作ることが許されたのはトップランクのマイスターのみになります。世界中のVIPがこのバッグを欲しがりますが、天然皮革の産物なので繰り返しになりますがお金だけでは買えません。直営店で在庫がある場合には1000万円クラスの価格設定だと言われており、二次流通ではプレミア化して2000万円や3000万円クラスで取引きが行われております。まさに珠玉の中の珠玉のエルメスと言っても過言ではありません。最高の素材を使うからこそ美しく優れた耐久性のあるエルメスのバッグは、常に新しい価値観を想像し歩みを留めず、技術に奢ることなくこうして高い山脈へと挑戦を続けているのです。
ヒマラヤバーキンの中の
至宝の逸品
希少性が高くニロティカスクロコダイルレザーを無染色で素材にしたヒマラヤシリーズは、年間生産数が限られた幻の逸品だと言われております。サイズにもよりますがケリーやバーキンで、その価格は1000万円クラスだと言われているのです。
ダイヤモンドヒマラヤバーキンは、さらにスペシャルな製品であることは間違いありません。希少なヒマラヤバーキンに輝く245個のホワイトダイヤモンドは、ダイヤモンドダストで輝くアルプスのような美しく荘厳な光景です。幻の中の幻として高い評価を持っております。
2017年にはこのダイヤモンドヒマラヤバーキンが香港のオークションに登場しました。価格は競り上がって行き、最終落札価格は驚きの4200万円まで上がったのです。このニュースはファッション関係者だけではなく、世界のニュースになって人々の関心になりました。
2014年に誕生したヒマラヤシリーズは、その希少性からエルメスファンを含めて世界中のセレブ達の話題になっております。両サイドスモーキーグレーから中央部のパールホワイトへ続く美しいグラデーション、ニロティカスクロコダイルレザー特有の美しい鱗模様のマット仕上げは、見る人を離さないだけの魅力を放っているのです。イギリスの有名サッカープレイヤーが、奥様にオーダーメイドのヒマラヤバーキンをプレゼントして話題になったこともあります。その時の価格は予想では1300万円から1500万円だったと言われているのです。
バーキンはジェーン・バーキンが偶然飛行機の機内で当時のエルメスのトップである、ジャン=ルイ・デュマに邂逅したことにより生まれた人気シリーズです。当時子育て中であったジェーン・バーキンが、世界中で活躍しながら子育てにも便利なバッグがなくて困っている声を聞いて、ジャン=ルイ・デュマがサック・ア・クロアという名品をアレンジして手持ちのフラップ式トートバッグとしてデザインしたのが、エルメスを代表する名品バーキンバッグの始まりでした。その後にさまざまなサイズ展開やカラー展開をして、2014年からは、バーキンの至宝と呼ばれるヒマラヤバーキンが発表されて現在もなお話題になっております。
まとめ
ヒマラヤバーキンは天然皮革の産物です。ニロティカスクロコダイルレザーを使い、天然の美しさを最大限に引き出して鞄へと昇華させております。天然資源だからこそ二つとない個性を持ち、生産数が限られており幻の逸品と高い評価を受けているのです。
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