サブマリーナーは、1953年に誕生した世界初のダイバーズウォッチです。サブマリーナーは、ダイビングツールとしての基本的なデザインを有している、長い歳月の中で熟成を重ねながらダイバーズウォッチの代名詞ともいえるモデルへと成長しました。
ロレックスを代表する人気モデルで、他のスポーツモデルと比べると非常に多くのリファレンス(型番)が存在している、ヴィンテージロレックスの中でも赤サブや軍サブ、Wネームなど希少性が高いモデルも多数ありますし、ロレックス初の緑色のグリーンサブ「16610lv」などのへの人気も集まっています。
Contents
1953年に登場した世界初の
ダイバーズウォッチの歴史
サブマリーナーは、1953年にロレックスが開発した世界初のダイバーズウォッチで、ロレックスを代表する人気モデルへと進化しました。
1926年にロレックスはオイスターケースを開発、これにより防水腕時計のパイオニアとなりました。1950年代には、時計本来の機能をはるかに超えるプロフェッショナル腕時計の開発が推し進められると、様々なフィールに対して異なるアプローチが展開されるようになりロレックスは水中といった過酷な環境で活躍するダイバーのための防水腕時計の開発が行われました。
水深100mといった高い防水性能を持つサブマリーナーの開発が行われましたが、これは潜水時間の計測ができる回転ベゼルを装備しているダイバーのためのツールです。
スイスのバーゼルでは、毎年3月と4月頃に1週間かけて行われる世界最大の宝飾と時計の見本市の開催されるのですが、これはバーゼルワールドと呼ぶイベントです。1954年のバーゼルワールドでは、ロレックスが世界初のダイバーズウォッチとしてサブマリーナーを発表、多くの人々から注目が集まったことはいうまでもありません。
ダイバーズウォッチの基本的なスタイルを合わせもるサブマリーナーですが、1950年代にはデザイン的な試行錯誤やムーブメントの進化などにより数多くの型番を持つサブマリーナーが誕生しています。1959年にはリューズの誤動作および破損を防止するためのリューズガードを持つモデルが誕生して、ケースの大きさも拡張されて現代まで継承されるスタイリングがこのとき完成しました。
1969年にはカレンダー搭載モデルが派生したことで、これ以降のサブマリーナーはカレンダー付のサブマリーナーデイトとカレンダー機能がないサブマリーナーの2つのバリエーションが展開されることになりました。
1980年代には、ロレックスの変革期に伴い新型ムーブメントや新素材などの開発が行われるようになり、現行モデルと同じ300m防水機能を持つサブマリーナーが誕生、2003年にはサブマリーナー誕生50周年を記念してグリーンベゼルを搭載したサブマリーナーデイトが登場しています。
「116610LV」から新たに採用
されたグリーン色の文字盤
サブマリーナーの「16610lv」は、2003年にサブマリーナー誕生50周年を記念して発表されたモデルで色合いがグリーンなどからグリーンサブの愛称で呼ばれています。
グリーンはロレックスのコーポレートカラーでもあり、これをベゼルに採用しているのが特徴です。ロレックスの記念モデルに対してグリーンを使う先駆けにもなっているなど人気があるモデルです。
同時期に生産が行われていたサブマリーナーの「16610」と基本的な仕様は同一ですが、時分針およびインデックスが大型化されているなど視認性の向上が行われているなどの特徴があります。
ちなみに、型番(リファレンス)にLVはフランス語のグリーンベゼル「Lunette Vert」の略語を意味するものです。発売当初は限定生産で進められていましたが、以降定番モデルの形で定着しています。それと、初期生産の中には通常ライムベゼルと呼ぶ淡いグリーン色のベゼル、ダイヤルの6時方向にSWISS MADEの表記が大きくなっている通称ビッグスイスと呼ぶものがあり、ロレックスコレクターの間で注目を集めているようです。
2010年になると後継モデルの「116610LV」が登場して「16610lv」は7年間の生産を終了しましたが、後継モデルの「116610LV」はダイヤルにもグリーンが採用されており、黒文字盤とグリーンベゼルの組み合わせは初代だけのカラーリングです。後継モデルの「116610LV」は、グリーンゴールドの文字盤が印象的で、「16610lv」は黒文字盤などからも知識があまりない人でも両者の判別を容易に行うことは可能です。
なお、グリーンゴールドの文字盤は「Ref.116610LV」から新しく採用されたもので、文字盤の塗料にはイエローゴールドの素材が使用されていてサンレイ仕上げが施されているため見る角度により色の濃淡の変化を楽しめる魅力もあります。サンレイ仕上げは、文字盤の中心から放射線状に細かな線が無数に広がる特徴的な仕上げ手法で、サンレイは太陽光線を意味する言葉です。
「16610lv」の買取にも役立つ
発売後のマイナーチェンジ
グリーンサブの愛称を持つ「16610lv」は、ケース素材およびブレス素材にステンレススチールが採用されており、ブレスタイプはオイスターブレスでベゼルは逆回転防止ベゼル、風防はサファイアクリスタルが採用されています。ケース径は40mmで厚みは13mm、防水機能は300mと十分な耐水性能を持ちます。
ムーブメントは自動巻きクロノメーターで、キャリバー品番はCal.3135です。製造期間は2003年から2010年までの7年間、2010年には後継モデルの「116610LV」が誕生しました。
生産期間が7年間などからもマイナーチェンジはそれほど多くはない、「16610lv」の主なマイナーチェンジは2003年と2007年に実施された2つが代表的です。2003年のマイナーチェンジは発売して直ぐのもの、初期生産分はケースサイドの時計本体およびブレスレットを繋いでいる横穴がありましたが、直ぐにそれが塞がれました。2007年のマイナーチェンジでは、インナーリング(インナーサークルとも呼ばれるダイヤル外周の立ち上がりの部分もしくはダイヤル外周部分の淵)にROLEXの文字が刻印されるなどルーレット刻印が施されるようになりました。
ルーレット刻印は、文字盤と風防の間にある外周の立ち上がり部分(インナーリング)の刻印であり、ロレックスは偽造防止の目的で2004年以降に製造された新作モデル、Z.Mシリーズより、インナーリングにROLEXのロゴと6時側にシリアル番号が刻印されています。中古で購入したサブマリーナの「16610lv」をみたとき、ルーレット刻印があるものは2007年以降の生産品であり、刻印がないものはそれ以前の生産品などが分かります。
マイナーチェンジによる買取価格の影響の有無ですが、基本的に通称グリーンサブの「16610lv」は年式相応で、仕様が新しい方が価値が高くなります。それと、搭載されているCal.3135ムーブメントも後期の方が品質に優れているので新しい個体ほど査定評価が上がります。
グリーンサブ「16610lv」の
レア個体
「16610lv」の初期モデルの中には、オンリースイス・ライムグリーンベゼル・ファット4・ワイドスイスなど、個体ごとに名付けられたレアバージョンが存在します。レアバージョンは生産数量が少ないため、通常のものよりも高価な値段で買取して貰える可能性が高まります。
文字盤の6時の位置にはSWISS MADEの文字が記載してあるのですが、この記載がSWISSだけのものをオンリースイスと呼びます。表記はSWISS MADEになるけれどもこの部分の文字が大きくなっているものがビッグスイスで、いずれもコレクターを中心に注目が集まりやすい要素です。
ライムグリーンのベゼルはライムベゼルとも呼ばれるもので、ベゼルの色が淡い緑色をしているそれがライムグリーンのような色合いからライムグリーンベゼルの名が付けられているわけです。これらは初期生産分に見られるものなので、買取時に評価が高まります。
SWISS MADEは、ロレックスの製造場所を示す表記ですが、蛍光塗料のトリチウムの使用で安全な基準値を満たしていることを示す目的で「SWISS-T<25」の表記に変更されましたが、トリチウムの使用が禁止されたことでこのような表記が要らなくなり、現在のSWISS MADEの表記に変更されています。「SWISS-T<25」は限られた期間だけで存在していたものなので、デザインにシンプル性を求めるファンからの人気が集まります。
初期生産品のみに見受けられるライムグリーンベゼルやファット4も買取評価を高める部分です。
ファット4は、ベゼルの40の数字が横方向に広がっているもので、2つを比較しないと見分けが難しいものです。ただ、ファット4は通常の40の数字と比べると文字が細くなっているのが特徴で、初期生産品で他の数字よりも細いものはファット4になります。
グリーンサブでもある「16610lv」の中でも、2003年から2004年の初期(Y品番やF品番)に見受けられるディテールでファット4になっている、さらにファット4でも細分化されていて、ビッグスイス・ライムグリーン・ワイドスイスなどによりプレミア度が変わります。
グリーンサブ「16610lv」の
プレミア度は4つに細分化
グリーンサブ「16610lv」は、ファット4とビッグスイスやワイドスイス、そしてベゼルカラーがライムグリーンなどの組み合わせでプレミア度は4つに分類されます。
この分類はマーク1からマーク4までの4種類になるのですが、マーク1はファット4とライムグリーンベゼル、ビッグスイス3つの特徴を持つ個体です。4つの中ではマーク1は最もプレミア度が高いとされます。ちなみに、ビッグスイスは文字サイズが大きいのではなく、SWISSとMADEの間にあるスペースが大きいものを指します。両者を比べると、ビッグスイスのスペースは文字盤に刻まれている秒間で1.5秒分くらいの幅になり、通常のものは0.5秒くらいの幅です。
マーク2とマーク4はファット4ではなく、マーク2はライムグリーンベゼルとビッグスイスの組わせ、マーク4はライムグリーンベゼルの個体です。マーク3は、ファット4とライムグリーンベゼルの個体になります。このようなグリーンサブ「16610lv」をお持ちの場合は高価買取のチャンスがあります。
ファット4は、生産中止になる以前から認識はありましたが、目立った付加価値は存在していませんでした。それと、当時は奇抜な色付のデザインよりもシーンを選ばない黒単色の腕時計が好まれていたので、ロレックスのGMTマスターⅡにおいてもペプシ(赤色と青色のベゼル)やコーク(赤色と黒色のベゼル)よりも黒色ベゼルの方に人気が集まっていた、サブマリーナーにおいてもグリーベゼルよりも黒色の方に人気が集まっていたなどからも、グリーンサブの人気はそれほど高いものではなかったといえます。
通常モデルと一線を画すようになったのは、生産終了後の2015年から2016年頃からで、このころから少しずつグリーンサブへの人気が高くなる、業者間で行われるオークションで高値が付くようになりました。そのため、ファット4の個体は組み合わせ次第で高額になる可能性があるなど買取への期待が高まります。
グリーンサブ「16610lv」の
中古価格と高く売るためコツ
グリーンサブ「16610lv」は、2011年頃までは60万円前後で購入することが出来ましたが、現代においては200万円台を超えるモデルになっているので、買取において昔購入したときよりも高値で売れる可能性が高まります。
ちなみに、ファット4はプレミアがつく条件になりますが、購入するときには注意が必要です。個人オークションや海外サイトなど悪質な出品者に出会う可能性を持つ購入方法では、専門店で働く人々もリスクがあると言います。
ファット4のベゼルだけを交換した年式が合わないもの、時計本体は本物だけれどもベゼルだけが偽物などのケースもありますし、悪質なケースでは元のシリアル番号を削って適当なFやYなどの高価査定になりやすいシリアル番号に打ち変えるなどのケースも考えられるわけです。
そのため、購入するときには製造年度とマーク1~マーク4までのいずれの仕様にマッチしているのか、保証書および時計本体に刻まれているシリアル番号が一致しているのかなど、ディテールを丁寧に確認しなければならないことを把握しておきましょう。
「16610lv」は、安定的な価値を持つモデルで、ここ1~2年での中古価格は230万円~280万円前後です。2000年代はロレックスが高騰していない時期などからも、個体により買取価格が購入したときの値段を大きく上回る可能性も少なくありません。
今後も高騰する可能性を持つモデルですが、「16610lv」は生産が終わってから時間が経過しているモデルであり、ロレックス全体の相場に連動する買取価格も変動します。再びピークが訪れることを期待するべきか、比較的高値で売れる今売却すべきか判断に迷う人は多いといえましょう。
なお、少しでも高く売るためには付属品を全て揃えて買取査定に出すこと、時計の状態を最善な状態にしてお店に持ち込むことなど、時計買取の基本を抑えることが大切です。それと、買取価格はお店ごとに異なるので数社に見積もり査定依頼を行うことも「16610lv」を高く売るコツに繋がりますが、買取店を選ぶ際にはロレックスの買取実績が豊富にある専門店を使うことも重要です。
まとめ
グリーンサブの愛称でも認知されているサブマリーナ「16610lv」の特徴や買取におけるポイントなどご紹介しましたが、腕時計の状態が良くて比較的新しい個体とプレミアが付いている個体に高価査定が付きやすくなっています。
高級ブランド時計の多くは価格改定がされており、新品・中古問わず需要が高まり買取価格も上昇傾向にありますので、売却にはベストなタイミングといえます。
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