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歴代の手巻きモデルとその特徴
パーペチュアル以前は手巻き
ロレックスは、1926年にオイスターケースを発表し、時計の歴史に大きな一歩を刻んだ腕時計ブランドです。特殊工具で全体を抑え込みながらねじ込みを行い、裏蓋やねじ込み式のリュウズを採用したオイスターケースは、腕時計ケースの堅牢性や気密性を向上させ、初めて腕時計への実用性を与えた大発明と言っても過言ではありません。ロレックスは、その5年後に世界初の全回転式ローターのパーペチュアルを開発し、手巻きから自動巻きへの世代交代のときを迎えることになります。パーペチュアルの開発以前のロレックス・オイスターは、すべて手巻きモデルです。
手巻きの生産を打ち切るのは半世紀以上
経過した時代
全回転式ローターの自動巻きが誕生すると、それまで手動で巻いていたものから自動へと推移するイメージもありますが、1930年代は腕時計のゼンマイは手巻きが当然の時代でもあり、初期のパーペチュアルは巻き上げの効率が十分ではなく、今まで手動でゼンマイを巻いていたユーザーの多くは、自分でやらないとゼンマイがしっかり巻かれているのか否か不安を感じるなどの声も多かったようです。その後パーペチュアルは度重なる改良を行い信頼性を高めて行きましたが、ロレックスが手巻きオイスターの生産を終了させたのは、世界初の全回転式ローターの開発から半世紀が経過した1980年代です。
デイトナやチェリーニは歴代の手巻き
モデルの代表機種
現行品のロレックスは大半が自動巻きやクォーツ時計になっていますが、モデルにより手巻きと自動巻きタイプが混在している機種もあります。その代表とも言えるものが、スポーツタイプのデイトナやドレスウォッチのチェリーニです。自動巻きに切り替わったのは1980年代ですから、基本的にそれ以前に製造されていたものの多くは手巻き自動巻きが混在しており、全回転式ローターが開発され腕時計に装備される以前はすべてが手巻きです。デイトナはロレックスの中でも人気を持つ機種であり、チェリーニはロレックスのドレスウォッチの中でもオシャレさをアピールするといった特徴を持っています。
手巻きモデルのお手入れや
取り扱い方
自動巻きと手巻きの仕組みを理解しよう
機械式時計は、自動巻きと手巻きの2つに分けることができますが、自動巻きは時計内部にあるローターが腕の動きで回転運動を行い、ゼンマイを巻き上げる仕組みです。そのため、腕に装着しておけば常に巻き上げの動作を可能にします。これに対して、手巻きは文字通り持ち主がリュウズを使いゼンマイを巻いていかなければ時計は動きを止めてしまいますので、しまったままにしているときなどは注意が必要です。金属製の板バネのようなゼンマイは、巻き上げると元に戻ろうとする性質があり、この特性を利用したものが機械式時計で、定期的に巻かれた状態を維持することで正確な時刻を刻むようになります。なお、手巻き時計は毎日同じ時刻にゼンマイを巻き上げるといった癖(くせ)を付けることで、腕時計の性能を一定に保ち長く使い続けることができます。
3~4年に1度はオーバーホール
機械式時計の内部は小さな歯車が無数に収まっていて、これはゼンマイが戻ろうとする力で常に回転を続けます。歯車には摩耗や摩擦を減らす目的で潤滑油でもあるグリスが塗布されているところもありますが、グリスは経年劣化で本来の機能を損なわせてしまうこともあります。さらに、各部品はグリスで摩耗などを最小限に抑えてはいますが、時計は1日24時間、1年365日休むことなく動いている精密機器でもあり、摩耗したものをそのまま使っていると正しい時刻を表示できなくなってしまい、症状がひどいときには故障の原因につながることもあるのです。そのため一般的には、3~4年に1度はオーバーホールに出すことが良いといわれています。分解洗浄を含め内部を綺麗な状態にして貰えますし、劣化しているパーツが見つかったときには新しいものに交換してもらうこともできます。これにより、機械式時計の性能を維持し使い続けることができるようになるなど、オーバーホールは欠かすことができないものです。ベルトや本体の裏蓋といった金属部分などは汗により劣化することもありますので、使い終えた後は乾いた柔らかい布を使って汚れを拭き取る、これも大切なメンテナンスの一つです。
手巻きモデルの
査定のポイントと価格相場
ロレックスの手巻きモデルはアンティークの位置づけ
ロレックスの腕時計は、現行品の大半が自動巻きやクォーツ時計で手巻きモデルは中古品を除くとほとんどないといわれています。しかも、1980年代になると自動巻き時計が主流になり手巻きの生産そのものが終了しています。現在から40年以上前の腕時計で半世紀近いものあるわけですから、手巻きモデルはアンティーク時計の位置づけでもあり、状態に応じて高額な値段で売買されることも少なくありません。
中古価格相場は新品価格からほとんど
値下がりしない状況
ロレックスブランドの腕時計は、正規店などでも品薄の状態が続いていると言います。特に、デイトジャストやサブマリーナーなど人気機種は在庫がないケースも多くあり、人気機種の中でも色や文字盤デザインなどによっては在庫がないものもあることから、中古品を求める人も多くなっているという現状です。一般的に、中古品と聞くと新品よりも3割から5割くらい安くなるイメージを持つ人も多いと思いますが、ロレックスの腕時計については中古価格と新品価格がほとんど変わらない、値下がり率そのものが低い傾向にあります。
年代により情報が少ないものもある
ロレックスは、1950年代頃までのモデルの時計に関する資料が少なく、文字盤を始め外装部やムーブメントなどのオリジナリティ判別に関しては、豊富な知識および経験が求められます。さらに、メンテナンスそのものも困難になることが多いため、店舗により取り扱い方での差が生じるケースもあります。
一方、1950年代以降の手巻き時計モデルなどの場合は、時計に関する情報もある程度そろっていますので、そういった情報が時計の特徴などを掴むときに役立つことでしょう。ただし、ロレックスの知識や経験は、手巻き時計の価値を最大限に引き出すために欠かすことのできない存在ですので、実績を多く持つ専門店を利用することが重要です。
クラシックな手巻きモデルで
しか味わえない魅力
ロングパワーリザーブの流行は手巻き時計にどのような変化を与えたのか
機械式時計を選ぶときの目安にすることが多いパワーリザーブ、これはゼンマイをフルに巻き上げたときに時計をそのままにしていても動作するエネルギー量を示すもので、カタログなどでは50~70時間などの表記になっています
。最近は、ロングパワーリザーブが流行(はや)っていますので自動巻きを選択される人も多いのですが、ロレックスのアンティークモデルの手巻きタイプはクラッシックさやアンティークさを与えてくれるものです。古い時代に製造されていたものであり、自分がまだ生まれていない時代に誕生したものでも、どこか懐かしさを与えてくれるといった魅力を味わえます。
1日に1回必ずゼンマイを巻く習慣
手巻き時計は、ゼンマイを巻き上げなければ止まってしまう機械式時計の一つです。これを面倒に感じる人は自動巻き時計を選択するケースが多いと思います。しかし、リュウズを引っ張ってからそれを回してゼンマイを巻く動作はメカを触っていることと同じものであり、それがアンティーク時計を所有する楽しみにもつながってきます。
現在、50代後半以上の人の多くは、子供や学生の頃腕にしていた時計は手巻きだったり、子供の頃に両親や祖父母などから譲り受けたものが手巻き機だったりするケースが多いといえます。大人になって自動巻きやクォーツ時計を使うようになり、ゼンマイを巻くなどの習慣はなくなったけれども、アンティーク時計を手に入れた瞬間その時代のことが頭に蘇(よみがえ)るといった魅力もあるのです。
便宜上1970年代以前に作られた時計は
アンティーク
一般的にアンティークと聞くと100年以上経過しているものを対象にします。しかし腕時計の歴史は100年と少しくらいしかありませんので、古いものと区別するため、便宜上1970年代よりも前に作られた腕時計をアンティーク時計と呼ぶことが一般的です。なお、自動巻き時計はローターをケース内に内蔵している関係からケースが厚みを持ちますが、手巻きはコンパクトで薄いタイプが多いです。これも小さな腕時計を利用したい人が味わえる魅力と言えます。
手巻きモデルの第一歩・
オイスターケースを
採用したモデル
創業から21年目にオイスターケースの
発表
ロレックスは、イギリスに本社を置く世界的にも有名な腕時計ブランドです。1905年創業の腕時計メーカーであり、その歴史は100年を超えるものが存在します。創業から21年目に当たる1926年にはオイスターケースを発表し時計の歴史に大きな一歩を刻みました。オイスターは海産物の牡蠣(かき)を意味する英語で、ロレックスの防水ケースの総称です。
ねじ込み式のリュウズとケースを1920年代に導入した先見性、およびそれを可能にした高い技術力はロレックスブランドの凄みを伝えるものです。オイスター(牡蠣)の2枚貝に由来するケースに防水性能を与えたねじ込み式のリュウズは、スイスで1926年10月18日、イギリスでは同年10月30日にそれぞれ特許申請が受理されました。ねじ込み式ケースは当時すでに特許保護の対象になっていたようです。
1926年初の防水腕時計オイスターの誕生
1920年代の後半、多くの人々は懐中時計の丸型ケースに飽きてしまっていました。これに対してロレックスの創業者のハンス・ウィルスドルフは、オイスター・コレゴールドやシルバー、ニッケルメッキ仕上げの真鍮など、幅広い素材を使用してサイズの異なるクッション型や八角形のケースを幅広く取りそろえます。1933年、モータースポーツ界において時速437.91kmという衝撃的な速度記録を樹立した、イギリスのレーサーでもあるマルコム・キャンベル卿は、初期のオイスターを愛用していた著名人のひとりでした。
1933年にエベレスト初登頂を競っていた2つのヒマラヤ遠征隊の隊員も、ロレックス・オイスターのダイヤルを眺めながら登頂に失敗した原因は時計ではなかったと伝えました。このようにさまざまな物語が残されているオイスターには、ロレックスを代表する手巻きモデルの元祖といえる品格があります。他にも、1928年には量産された初代プリンスのノーブレス・オブリージュが登場するなど、今ではあまり目にすることのできない名機が多数存在しています。
まとめ
ロレックスの手巻き時計の中でも代表的なものをご紹介しましたが、手巻き時計にはゼンマイを巻く楽しみや魅力があります。手巻き時計は、子供の頃や学生の頃に使っていた腕時計と同じく毎日ゼンマイを巻くといった習慣が蘇るなど、どこか懐かしさを与えてくれる機械式時計なのです。ロレックスの手巻き時計は1980年代になると製造を終了しており現行品では目にすることはありませんが、こちらで紹介を行ったモデルを含め、中古市場などで入手できるものも存在しています。
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