50年以上前に誕生して以来、高い注目を集め、近年も右肩上がりに需要が伸びているコスモグラフ デイトナ。有名人にも愛好家が多く、その人気はとどまるところを知りません。
近年では、投資目的で購入する方も増え、新品での購入が難しくなるなど、デイトナの資産価値は高騰しています。そのため、購入時よりも高く売却できることもあるでしょう。
将来売却を考えている方は、売り時を見極めるために、デイトナの価格推移から資産価値を把握しておくことも大切です。
今回は、デイトナの特徴や歴代モデル、今後の価格推移などについて詳しく解説します。
Contents
ロレックス「デイトナ」とはどのようなモデル?
デイトナは、ロレックスのなかで最も人気があるとされるモデルの一つです。発売当初から現在まで人気が衰えておらず、多くの時計愛好家を魅了してきました。
デイトナの誕生は1963年で、正式には「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」という名前で発表されました。ロレックスの「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」の公式タイムキーパー就任がデイトナ誕生のきっかけとなりました。
デイトナでは、従来のクロノグラフでは文字盤上にあったタキメーターの印字をベゼルに移すことで、優れた視認性を確保しています。レーシングカーなどの速度の測定に役立つだけではなく、デザイン性の良さも高く評価されました。
なお、タキメーターとは、1kmを走破したタイムを計って平均時速を求める機能のことです。
文字盤上に3つ配置されたインダイヤルは反転カラーで、デイトナのフェイスデザインを印象的なものにしています。こうしたデザイン性の良さに加え、デイトナのようなスポーツウォッチは耐久性や防水性に優れており、デイリーユースにも便利です。
「ロレックスの王様」とも呼ばれるデイトナは、試行錯誤を繰り返してきたブランドの努力が結実した、傑作コレクションといえるでしょう。
デイトナの価格推移は近年右肩上がり!
基本的にデイトナはどのモデルも非常に人気が高く、多く出回っているデイトナRef.16520の通常個体でも、400万円近い金額で取引されています。
なかでも、文字盤の6時位置にある積算計の6の表記が反転している「逆6」、経年劣化によって変色したアイボリーダイヤルやブラウンアイといった個体は、同じモデルでも一気に価値が上がります。
デザイン性や機能性だけでなく、資産価値の高さもデイトナの魅力です。ロレックスには時間が経つほど価値も増す特徴があり、デイトナには1,000万円を超える値段で取引される人気モデルも存在します。
ヴィンテージロレックスに分類される古いモデルのデイトナは、市場で非常に高い人気を誇っているのです。
近年、ロレックスの相場が右肩上がりなのは、デイトナに限った話ではありません。もともとロレックスの腕時計は生産本数が少なく、発売されて間もないモデルでもプレミアム価格で取引される状況でした。
近年では、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの影響もあり、原料価格が高騰したり、国内に入荷するロレックスの数が減ったりする状況が続きました。こうした背景からもロレックスは現在手に入りにくく、プレミアム価格で取引されている状態です。
デイトナの歴代モデルの価格推移をチェック
1963年の登場以来、デイトナはモデルチェンジを繰り返して、現在のスタイルへとたどり着きます。
ここからは、時系列に沿ってデイトナの歴代モデルとその価格相場を紹介します。
デイトナRef.6239
こちらのモデルは、1963年に初代デイトナとして登場しました。このモデルは、1950年代に誕生したクロノグラフ、いわゆる「プレデイトナ」をベースにしており、現行モデルまで受け継がれるデイトナ独自のデザインを確立しました。
Ref.6239は1965年頃に生産が終了しており、その希少性が高いことで知られています。
特に、俳優でありレーサーでもあるポール・ニューマンが着用していたモデルは、長いロレックスの歴史においても別格の価値の高さを誇ります。
このモデル最大の特徴は、シンプルな白のエキゾチックダイヤル、通称「ポール・ニューマンダイヤル」です。インダイヤルでは丸みのあるアラビア数字が採用されており、角張ったスクエアインデックスも独特の魅力を漂わせています。
なお、ポール・ニューマンが実際に愛用していた個体は2017年のオークションに出品され、ロレックスとしては史上最高額の約20億円で落札されました。
デイトナRef.6263
1970年から1988年にかけて製造されたRef.6263は、最後の手巻きクロノグラフモデルです。
一般的に、ヴィンテージロレックスはオリジナルのパーツを維持しているものほど価値が高くなります。オーバーホールなどでパーツが交換されると価値が下がる可能性もあるので注意が必要です。
Ref.6263には、スモールセコンド上部の「DAYTONA」表記が大きい通称「ビッグデイトナ」と、その表記自体のないものが存在します。
また、文字が小さくなった通称「スモールデイトナ」がありますが、これは基本的に交換用ダイヤルのデザインです。オリジナルではないため、ビッグデイトナと表記なしのほうが高値で取引される傾向があります。
デイトナRef.16520
1988年にリリースされ、2000年のモデルチェンジまで長らくファンを魅了してきたのがこのRef.16520です。それまでのモデルでは手巻き式を採用していましたが、このモデルから自動巻きに変更されています。
デイトナ16520では、エルプリメロというゼニス社のムーブメントが搭載されています。エルプリメロは世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントとして有名で、その性能の高さでも知られる伝説的な存在です。
他社製のムーブメントを搭載したロレックスの最後のモデルであることも、デイトナ16520に特別な価値を与えています。
Ref.16520は、新しい品番ほど性能が向上しており、2000年代のP番や1999年代のA番は特に注目されています。コンディションが良く、付属品もそろっていれば、相場を上回る高価買取が期待できるでしょう。
ただし、古いモデルには、レアな個体が数多く存在しています。
注目すべきは、インダイヤルのオーナメント部分が年月を経て美しいブラウンに変化した「ブラウンアイ」と呼ばれるモデルです。ブラウンアイの色がより鮮やかで濃いものほど、高く評価される傾向にあります。
また、初期のデイトナ Ref.16520は逆6文字盤で、積算計の6部分が逆向きに表記されています。
さらに珍しいモデルも存在し、タキメーターの目盛りが200km/hまでのものは、1988年から1989年のわずか1年しか製造されていません。こうした希少価値の高いモデルは、年代が古くても相場以上の値が付く可能性があります。
デイトナRef.116520
Ref.116520は、Ref.16520に次いで2000年に登場したモデルです。2016年のモデルチェンジまで、約16年にわたって製造されていたことからも、その人気の高さがうかがえます。
このモデルからロレックスは、デイトナに自社製ムーブメントを搭載するようになりました。パワーリザーブが約54時間から約72時間に強化されただけでなく、耐磁性や耐衝撃性といった性能面でも機能向上が図られています。
Ref.116520は2020年以降、価格上昇率が高くなっています。特に、シリアルナンバーがランダムに配置された、2011年頃に製造された個体は高値が付きやすいでしょう。
このモデルには黒文字盤と白文字盤があります。初期の白文字盤のなかには、経年変化で色がアイボリーに変わった通称「クリームダイヤル」が存在し、特に価格が高騰しています。
デイトナRef.116506
Ref.116506は、デイトナ生誕50周年を記念して2013年に発売されました。製造本数が限られており、もともと希少性の高いモデルでしたが、2019年以降はさらに価格が上昇しています。
文字盤は爽やかなアイスブルーで、プラチナを使用したケースの上品な輝きも多くのファンを魅了してきました。超ハイグレードモデルとして登場し、発売当初の定価は約800万円です。
Ref.116506に採用されているアイスブルーの文字盤は、ロレックスにおいてプラチナモデルでしか使われていません。プラチナ独特の優しい色合いにマッチしたアイスブルーは、どのロレックスでも人気が高いカラーです。
Ref.116506の爽やかなデザインにアクセントを与えているのが、深みがある栗色のセラクロムベゼルです。アイスブルーカラーがより美しく見える配色で、デイトナ全体の高級感を引き出しています。
ロレックスが独自に開発した素材であるセラクロムは、耐久性が高く、デイリーユースに適していることも魅力の一つ。約284gの重さがあり、プラチナ製ならではの重量感を楽しみたい方に、おすすめのモデルです。
デイトナRef.116500LN
2016年に発表されたRef.116500LNは、デイトナのなかでも価格上昇が著しいモデルとして注目を集めています。先代のRef.116520と同じムーブメントを搭載しており、ベゼルの素材にはセラクロムを採用しています。光沢感のあるブラックのベゼルを取り入れることで、より引き締まった精悍な印象となりました。
なお、2023年3月には、現行モデルのRef.126500LNが登場し、Ref.116500LNは生産終了となりました。
Ref.116500LNの文字盤カラーは、黒と白の2種類があります。特に白文字盤は人気が高く、2016年の発売時点ですでにプレミアム価格で取引されていました。2020年3月に、相場価格は落ち着きを見せたものの、経済の回復とともに再び価格が上昇していきます。
デイトナ Ref.116518LN
2017年に登場したRef.116518LNは、金無垢のケースが華やかなモデルです。使用素材が高価であることから、発売当時の定価も300万円を上回っていました。文字盤のカラーには黒・白・シャンパンの3種類があり、高級感が漂うシャンパンカラーは特に人気があります。
ロレックス独自のラバーベルトである「オイスターフレックス」が採用されているのも、Ref.116518LNの特徴の一つ。もともとヨットマスターにのみ使われていたベルトですが、近年はデイトナにも取り入れられています。
ベルト内側に縦方向のクッションを入れることで、ラバー特有のかゆみや硬さを軽減し、高いフィット感を実現しています。ラバー素材ならではのマットな質感が、イエローゴールドのラグジュアリーな雰囲気を引き立てる組み合わせです。
デイトナの今後の価格推移は?
現時点ではっきりとしたことはいえませんが、デイトナの価格は今後も上がっていくのではないかと予想されています。デイトナはロレックスのなかでも特に人気が高く、新品で購入するのが非常に難しいシリーズです。
近年では時計愛好家以外にも、将来的に売却することを考えて資産としてロレックスを購入する層も増えてきています。コロナショックで一度下がった相場は、その後急騰しており、市場におけるデイトナの需要はさらに高まっています。
ロレックスが定価の改定を繰り返していることも、デイトナの相場が上がっている理由の一つです。ロレックスでは、2019年から2024年の6年間で7回も定価の値上げを行なっています。デイトナは通常は定価での入手が難しいですが、定価が上昇すれば市場価値にも影響をおよぼすため、取引相場も上がりやすくなるのです。
デイトナに限らず、ロレックスの時計は優れた堅牢性や防水性、耐磁性を備えており、その実用性が高く評価されています。定期的なメンテナンスを怠らなければ、いつまでも使用可能であり、投資に適した商品だといえるでしょう。
デイトナは、その人気に支えられて中古市場でも活発に取引されており、価格相場も今後さらに上がることが予想されます。
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まとめ
デイトナの人気は世界中で高まっており、今も時計愛好者やロレックスファンが熱い視線を送っています。その背景には、スタイリッシュなデザイン性だけでなく、高い視認性や実用性など、機械式時計としての揺るぎない実力があります。
デイトナの完成度の高さは世間でも定評があり、資産として手もとに置いておきたいと考える方も少なくありません。世界的に高い需要があることから、デイトナの価格相場は今後も上がっていくのではないかと予想されています。
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