金属アレルギーから
身を守るには?
原因と対策を解説します!
Contents
金属アレルギーはなぜ起きる?
ネックレスやピアスなどを初めて使用した時に、皮膚が赤くただれてしまったという方も居るでしょう。自分も体験したことがあるという場合には金属アレルギーの可能性があります。
ちなみにこれらの症状は成人してから現れることもあり、日本人の罹患率は約1割程度というポピュラーなアレルギー症状となります。金属アレルギーの概要と、どんな症状があるのかご紹介させていただきます。
そもそも金属アレルギーとは?
そもそも金属アレルギーとはどのようなものであるか、考えてみましょう。金属アレルギーとは金属が体に入る、あるいは触れることにより生じるアレルギー性接触皮膚炎です。これは金属の成分である金属イオンが私たちの体内のタンパク質と結び付くことで、全く新型のタンパク質を作り出す過程により発症します。
よくある例としては、ピアスや指輪・ベルトなどによる皮膚炎があげられます。ピアスなどの装飾品の金属イオンと、もともと存在していた体内のタンパク質によってできた新型のタンパク質に対して、私たちの体が「異物」という認識をすることになりアレルギー症状へと導くわけです。
それではこのような金属アレルギーを引き起こしやすい、金属の種類についてはどうでしょうか?普段の生活の中でよく目にする物の中で、いくつか存在するようです。もしかしたら金属アレルギーの可能性がある場合には、なるべく避けるように留意すると良いでしょう。
まずアレルゲンとなりそうな可能性が非常に高い金属として、ニッケル・クロム・コバルト、それからパラジウム・スズ・アマルガムなどがあげられます。これらは一般的に歯科治療の際に使用されている金属です。次に紹介するのは逆にアレルゲンとなりにくい種類の、金・鉄・プラチナ、そしてマンガン・亜鉛など。アレルギー症状がさらにひどくなるケースとして、合金成分のアクセサリーなどがありますので、皮膚のかぶれなど持病のある方は、より一層注意が必要でしょう。
どんな症状が出るのか?
金属アレルギーを発症するとどのような状態になるのか、いくつか具体例をあげてみましょう。まず始めにアクセサリーやピアスなどを装着した場合に、その皮膚の箇所が局所的なかぶれを起こすという症状があります。これは皮膚が金属に直接触れることで起こる接触性の皮膚炎です。
次にあげるのは全身性の金属皮膚炎ですが、こちらの症状としては、汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などがあります。歯科治療で一般的に用いられることが多い銀歯に含まれる金属の成分が、口腔内の粘膜を通じて体内に吸収されることで、全身に引き起こされる症状です。
例えば、先ほどの汗疱状湿疹になると手足に水疱などの症状が現れ、また掌蹠膿疱症の症状としては手足にうみが現れることもあります。それから歯科治療だけでなく、食品内の金属成分でもアレルギー症状の原因となる可能性がありますので、日常的な食材選びでも注意が必要です。あわせて虫歯などがすでにあって歯科治療が必須な方の場合には、もし不安でしたら一度デンタルクリニックなどで相談されるのも一案でしょう。
アレルギーの分類
一般的に外部から異物が混入してくると、私たちの体にはそれをガードする働きがあります。これを免疫機能と言いますが、ほとんどの場合は健康維持のために役立つ働きとなるのです。まれにこの機能が働くことにより、様々な体調不良を引き起こすことがあり、これをアレルギー症状と言います。その中のひとつが金属アレルギーになりますが、この症状はいくつかの種類に分類されますので以下でご紹介していきましょう。
I型アレルギー
一つ目はⅠ型アレルギーですが、こちらはアナフィラキシー型アレルギーとも呼ばれ、アレルゲンとなるものが私たちの体に取り込まれた時に、瞬間的に症状となって現れるタイプのものです。I型アレルギーの抗体になるのはIgE抗体であると考えられていますが、これは別名を免疫グロブリンEと呼ばれます。さらに金属アレルギーを引き起こす要因として、好塩基球とマスト細胞の関わりも否定できません。
II型アレルギー
2つ目はII型アレルギーです。細胞傷害型アレルギーという別名があります。これは私たちの体内の組織細胞で、抗体が作られていく過程において、丈夫なナチュラルキラー細胞から攻撃を受けて、体内の組織細胞が侵されてしまうメカニズムのことです。このような状態に陥る症状を細胞傷害型アレルギー(II型アレルギー)と総称されています。
II型アレルギーに分類される疾患の具体例としては、血小板減少症や不適合輸血などが挙げられます。
III型アレルギー
3つ目は型アレルギーです。免疫複合体型アレルギーとも呼ばれます。抗原と抗体がくっついた状態になると、それは免疫複合体というものへ変化をし、この免疫複合体によって引き起こされる症状をⅢ型アレルギーといいます。免疫複合体はそれが合成されると、組織沈着を引き起こす要因となりますので、これによって様々な皮膚疾患を誘発するきっかけとなるわけです。
具体的な病名としては、慢性関節リウマチや薬剤アレルギー、アレルギー性気管支炎などが挙げられます。
Ⅳ型アレルギー
次にあげるのはⅣ型アレルギーです。こちらは遅延型アレルギーという別称があります。例えば、アレルゲンとなる金属の成分に接触してから数日後に、皮膚疾患などの症状が現れることがあり、これが遅延型と呼ばれる所以です。
アクセサリーやピアスなどを装着することで引き起こされる症状は、Ⅳ型アレルギーの分類です。他にも具体的な病名としては、アトピー性皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎があります。
Ⅴ型アレルギー
最後にあげるのはⅤ型アレルギー。刺激型アレルギーという別称があります。こちらはII型アレルギーから派生して枝分かれしたもので、抗体が作られることにより細胞の機能がより活発に働くことで起こる症状です。
このⅤ型アレルギーに分類される代表的な症状として、バセドウ病(グレーブス病)という病気があります。この病気は、甲状腺刺激ホルモンの受容体に立ち向かう抗体が生成されることで、発症すると考えられます。Ⅴ型アレルギーに罹患すると、抗体の力で甲状腺が刺激され続ける状態が繰り返されてしまい、その結果、一例としてバセドウ病などの具体的な体調不良へ誘導されていくのです。
金属自体は原因ではない
皮膚トラブルなどを起こした場合に金属アレルギーを疑われる方は多いかもしれませんが、このような症状の原因となるのが金属の成分とは一概に言えないこともあります。金属アレルギーはⅣ型に含まれる点と、金属の成分以外も原因になる可能性を以下でご紹介します。
金属アレルギーはⅣ型
金属アレルギーというのはⅣ型アレルギーに分類されていますが、アレルゲンとなるのが実際に金属の成分なのかどうか、それを判別するための工程としてパッチテストを行ないます。具体的な方法としては約48時間に渡って、アレルゲンとなりそうな金属を皮膚に貼付し判定していうものです。その判定結果として皮膚トラブルを起こした金属の成分が、アレルゲンということで絞り込まれていきます。
パッチテストなどで金属アレルギーと判明した後は、日常生活の中でできる限りその対象となる金属を避けることが最善の方法でしょう。ちなみにですが、アクセサリーなどの原材料にニッケルが用いられるケースも多いので、ニッケルがアレルゲンならアクセサリーを買う時には要注意です。またこれまで微塵も症状がなかったのに突然アレルギーを発症することもあります。
金属が原因で起こしてしまった皮膚トラブルには、軟膏や内服薬が処方されます。ひどいかゆみがあるなら抗ヒスタミン薬も適用されています。いったん発症すると完治するのが難しいという声も聞かれますので、いずれにしても何らかの皮膚トラブルがある場合には専門的なクリニックなどで一度相談してみて下さい。
汗に含まれる金属イオン
以上のような症例とは違って、金属とは関係なく自分の体から排出される汗によって、様々な皮膚トラブルを引き起こしてしまうこともあります。そのことを証明する一つの具体例になりますが、Bさんという女性は日常的に仕事がらゴム手袋をいつも使用されていました。ある時期からBさんの指に皮膚トラブルが起こり始めて、ひどい症状に悩み皮膚科を受診されたのです。
そしてゴム手袋の材料となるゴムやビニールには陽性反応がなく、アレルゲンはニッケルという金属の成分であることが判明したのです。夏などの暑い季節にはニッケルを含む食品を取り込むことが多くなるため、その結果として皮膚トラブルを起こしやすい汗を排出することになります。
Bさんの症例はゴム手袋が原因ではなく自分の体から排出される汗が要因となっていました。このような症例は全身型金属アレルギーに分類され、その皮膚トラブルの症状から「内因性アトピー性皮膚炎」としても認知されています。この症状は例にすぎませんが、食生活の乱れなどが原因となり私たちの体内で金属イオンのバランスが維持できなくなることにより、皮膚疾患などを引き起こすメカニズムになります。
この症状が現れる具体的な箇所として、足の付け根や脇の下などがあり、直接的に金属と触れることがなくても自分の汗によって皮膚トラブルを起こしていきます。こちらが原因の場合には金属アレルギーと立て分けて治療をすすめていきましょう。
金属アレルギー対策方法8選
アクセサリーやピアスなどのように目に見えて誰もが金属と認識できる製品以外でも、金属アレルギーのアレルゲンになりそうなものが、世の中にはたくさん存在しています。それほど金属というものが私たちの日常と切り離せない場所にあるということでしょう。一例として、人気の高い某飲食店へランチを食べに行ったとします。
その店内にはテーブルや椅子が設置されています。それらの素材にはもしかしたら、アレルゲンとなる金属素材が使用されている場合もあるでしょう。
金属を日常から遠ざけることが無理であるなら、アレルギーにならないための対策を8項目お伝えさせていただきます。
金属の種類を認識する
たくさん存在する製品の中から金属の種類を正しく認識することが、まず始めに大事なポイントとなります。ニッケルなどが多く含まれるものは高い確率で金属アレルギーを引き起こします。逆に、純金など素材となる金属の純度が高いほどアレルギーも回避しやすいということです。
好きな金属製品の代替品を見つける
アクセサリーにしても時計にしても、その素材自体が好みのタイプでリピーターとなっている場合もありますが、ある時点からでも金属アレルギーの症状が出てくるようなら工夫をする必要があります。アレルゲンとなりそうなパラジウムの代替金属としてルテニウムなどが使用されています。
外観がそっくりな別素材で代替する
近年において金属アレルギー対策の製品を開発している企業も多数ありますが、その中でも注目されている金属代替素材として、チタン・樹脂・セラミックなどがあげられます。またサージカルステンレスを素材としたピアスなども、金属アレルギー対策として起用されています。
金メッキを避けるようにする
貴金属のショップなどで買い物をする際に、金張りと金メッキ製品の2択で悩んでしまったとしたら、その場合には迷わず金張り製品を選択するようにしましょう。それは2つを比較すると製品の表面の部分が、より分厚い層で覆われているのが金張りだからです。金属アレルギー対策が可能でしょう。
アクセサリーの装着方法に留意する
自分自身が金属アレルギーかもしれないという自覚があっても、アクセサリーやピアスをどうしても使用したいという方は世の中におられるでしょう。そういう場合にはアクセサリーの装着方法を変えてみるだけでも、アレルギーを遠ざけることができます。
例えば、アクセサリーと肌の間に、薄い服を挟むことは効果的でしょう。金属アレルギーは、金属が直に肌に触れてしまうことで起こりやすくなります。したがって、金属を含んだアクセサリーとの接触をなくすことで、アレルギーの可能性を低くすることができます。
アレルギー回避に効果的な装着方法
アレルギーを回避するために大事なアクセサリーの装着方法として、まずは、汗をかくような場所での使用を控えるようにすることです。そして、アクセサリーをつけたまま終日過ごすというのも避けるようにしましょう。数時間ではずすようにすると皮膚トラブルも回避できます。
金属製品をきれいにキープする
アクセサリー自体が雑菌だらけの汚い状態であれば、金属アレルギーを引き起こしやすい状態を作ってしまうことになります。アクセサリーでも時計でも使用後に清潔な状態を維持するように、丁寧なふき取りなどを心掛けましょう。
装着する皮膚状態もきれいにキープする
最後はアクセサリーではなく使用者側の留意点になります。私たちの皮膚状態を清潔で健康な状態にキープすることも大事なポイントです。例えば、歯科治療を受診する際でも銀歯を詰めた後に、口腔内を清潔に維持することで金属アレルギーを防ぐことが可能です。
また、汗をかきやすい夏には、痒くなった身体をかいてしまうことが多くなります。皮膚のバリアが壊れると、金属が皮膚に吸収されやすくなります。同時に夏は細菌感染しやすい季節なので、金属アレルギーになりやすいのです。
金属アレルギーに
なりやすい素材は?
金属アレルギーを発症してしまうと好きな種類のアクセサリーなどを、自由に選ぶことができなくなることもあります。万一このような状態になったとしても、それを受け入れた上で金属アレルギーに対して正しく理解を深めることが大事な捉え方になります。また金属といっても、アレルゲンとなりやすい素材から、なりにくい素材まで、いくつかの種類があるということです。
例えば、虫歯ができてしまい歯科治療を受けなければならないとしましょう。歯医者さんへ金属アレルギーのことを伝えた上で、治療を進める中で完全に金属素材を避けるのは難しい現実があります。自分のアレルゲンがどの種類なのかをまず知るようにしましょう。以下に金属アレルギーを起こしやすいものを紹介します。
ニッケル
まず始めにニッケルですが、こちらは金属素材の中でもアレルゲンとなりやすい金属になります。パッチテストの陽性率をみても他の素材と比べて高めの値が出ています。加工が安易にできるという利点から、アクセサリー以外でも調理器具やベルトのバックル部分など、製品化されているものが多数存在します。アクセサリーの中でもニッケル素材のピアスがたくさんありますが、ピアスの場合は特に皮膚表面だけでなく皮膚組織を貫通しているという観点から、使用の際はアレルギー対策として注意した方がいいということです。
クロム
次にあげるのはクロムです。こちらも金属アレルギーを引き起こしやすい金属素材です。光沢が特徴的なその外見によって、メッキとしての利用価値も高いと評価されております。例えば、ハンドバッグや革製品の部品の一部に、また調理をする時に必要な包丁などにもクロムが含まれるということです。
以上のような製品以外にもクロムは食品の中にも含まれるものがあり、ホタテやエビなど貝類の他に、大豆製品にも素材として含有されています。金属アレルギーを起こしやすい方は、できれば避けたいクロムですが、私たち人間にとって実は不可欠となる必須の元素になります。
コバルト
最後にコバルトですが、こちらもアレルゲンとなる確率の高い金属素材で、アクセサリーやピアスなどに含まれる可能性が高い金属になります。コバルトも先ほどのクロム同様、私たちの健康に欠かせない元素のひとつです。
このコバルトが一定量まで足りていないと、視力の悪化や神経障害へと誘発されることもあります。また汗をかきやすい夏場などに長時間に渡って、コバルト素材のアクセサリーを使用することで、皮膚トラブルを起こしてしまう可能性も高いということです。いつもと違う皮膚状態に気が付いたら、まずは皮膚科専門のクリニックなどで受診されるといいでしょう。
金属アレルギーに
なりにくい素材は?
ここまで金属アレルギーになりやすい金属素材についてご紹介しましたが、それでは逆に金属アレルギーを引き起こしにくい素材とは、一体どのような種類の金属になるのでしょうか?以下にお伝えをさせていただきます。参考になさってください。
プラチナ・ゴールドは優秀な金属素材
エンゲージリングなどで一般的によく購入されるプラチナやゴールドは、金属アレルギーのアレルゲンとなりにくい、どちらかというと優秀な金属素材であると考えられています。これらを使用してきた方たちの中で、皮膚トラブルを起こしたという声がそれほど多くはないからでしょう。しかしながらこれらの金属素材は、それだけ単独で素材として使用しても、あのようにきらびやかなリングの仕上がりにはならないという点も否めません。
プラチナやゴールド以外のニッケルやパラジウムなども取り込むことで、美しく完璧なジュエリーの完成となっています。こういったプラチナやゴールド以外のものが多く含まれることで、金属アレルギーを引き起こす原因となります。外観だけを見るとプラチナやゴールドにしか見えない製品でも、他の金属素材がどれくらい含有するのかを見極めることが大事でしょう。
金属の配合を正確に知ることが大事
金属アレルギーで困っている方にとっては頼みの綱となりそうなプラチナやゴールドなのですが、パラジウムやニッケルなどをどれくらいの比率で配合しているか、それは製作を進めるブランドやメーカーによって、それぞれバラツキもあるということです。またゴールドの中でもピンクゴールドなどは、ブランドごとのオリジナリティが反映されやすいジュエリーでもあるので、その内情について手の内を明かさないところも多いでしょう。
例えばエンゲージリングを買う際に、金属アレルギーである場合にはその点を来店時にお伝えした上で、大丈夫そうなリングを選ぶのも一案でしょう。また購入後に皮膚トラブルを起こさないためにも、どの種類の金属をどれだけ配合してリングが作られているのか、はっきりと明記されている製品を選ぶことも大切なポイントになります。
あわせてエンゲージリングというのは長い年数に渡り使用する可能性があるので、今はアレルギー症状などを発症していなくても将来的に悩む確率はあります。その観点からも配合されている金属素材が、明記されているブランドのリングを選ぶことがより安心な選択になってくるでしょう。
プラチナのアレルギー耐性が高いと言われる理由
それではここから金属素材の中でも、プラチナのアレルギー耐性が高いと考えられる理由を探ってみましょう。まず始めにプラチナ製品は他の金属素材と比べて、その素材の純度という観点からみると配合率が高いという結果になります。エンゲージリングなどでよく選択されるゴールドリングの場合、金の配合率は75%程度ですが、プラチナリングなら90%~95%程度までとなっています。
それからプラチナは元々白みがかったような輝きを持ち、その持続力は高く評価されていますが、ホワイトゴールドなどはコーティング加工をしているため、将来的に劣化が進む可能性も高いということです。こういった金属の劣化によって皮膚トラブルを招くケースも多いので、アレルギー耐性が高いプラチナはエンゲージリングなどでお勧めジュエリーでしょう。
日頃から金属アレルギーの
悪化を防ごう
それではここから、普段の日常生活の中で金属アレルギーの悪化を防ぐことができるように、夏冬の季節別に分けた項目をご紹介させていただきます。
夏特有の金属アレルギー
日頃の生活を送る中で特に顕著なアレルギー症状がないということから、金属アレルギーとも無縁の生涯であると思いこまれている方は多数おられますが、実はある日突然に症状が現れることもあります。私たちの日常というのは金属製品と切っても切れない関係にあり、例えばその外観だけでは金属と認識できないものもたくさんあるでしょう。自分で理由を自覚できないままに金属アレルギーを起こしているケースも多いです。
それでは金属に触れてどんな症状が現れるのでしょう。特に夏場とかの汗をかきやすい季節にはピアスの使用など要注意です。ピアスを付けている部位から汗と共に金属イオンが流出することで皮膚トラブルを引き起こしていきます。
このような状態はアレルギー性接触皮膚炎とも呼ばれ、金属の接触箇所だけがかぶれる状態になります。この症状が現れるのはピアスの装着部位だけでなく腕時計などの装着した箇所にも現れることがありますので、普段から皮膚トラブルを引き起こしやすい方は特に注意が必要でしょう。
冬特有の金属アレルギー
それでは次に冬などの寒い季節に起こりやすい金属アレルギーの状態をご紹介させていただきます。その前に確認をしますが、一般的に金属アレルギーのアレルゲンとなりそうな金属素材は、ニッケルやコバルトがあります。これらの金属素材は私たちの体内で一定のキャパシティーを超えた時に、皮膚トラブルなどの症状が現れることになります。
これは花粉症で置き換えて説明するなら、花粉を体内に取り込む量がどの程度になると花粉症になるのか、これとよく似たメカニズムがあるということです。ここでひとつ補足として、ゴールドが金属アレルギーを引き起こすことは多くありませんが、アクセサリーの部品などにニッケルが使用されると、アレルギー発症率が高くなるでしょう。あわせて冬の季節になるとバレンタインデーのシーズン到来で、チョコレートやスイーツなどが巷にあふれてきますが、こういったお菓子の存在も実は金属アレルギーの要因となります。
このような状態を引き起こす理由として、チョコレートやナッツに含まれる金属の成分があげられます。この季節に限定してもらうことになる、チョコレートを過剰摂取することで、男性たちの中でアレルギー症状を起こしてしまうということでしょう。
その結果としてバレンタイン直後に皮膚トラブルなどを起こし病院へ駆け込む男性もおられます。金属が原因となってこのような体調不良を起こすのは、実は外部から侵入しようとする有害なものを、私たちの体内へ侵入させないための自然なメカニズムであるとする見解もあります。いずれにしてもチョコレートの過剰摂取にはご注意ください。
金属アレルギーには
個人差がある
当然ですが、金属アレルギーは人それぞれ症状が異なります。なかでもどのような差異が出るかをここでは紹介していきます。
金属アレルギーには個人差があるもの
現代社会においては様々なストレスを抱えながら生活している人が多いため、それに比例して金属アレルギーを発症している人も増加傾向にあるということです。ストレス以外にも免疫機能の低下や食事の乱れなども、何らかの影響を与えていると考えられています。
ここでひとつ確認ですが、金属アレルギーというのは個人によってそれぞれ違いがあるという点です。このことを正しく理解し金属アレルギーと上手に付き合っていくことで、誰でもアクセサリーやピアスを楽しむことができます。アレルギーを恐れずに理解することから始めて下さい。
アレルギーフリーの金属の種類とは
金属アレルギーであってもオシャレな種類のアクセサリーや時計を、身につけたいと思う人は多数おられるでしょう。そういう場合にはアレルギーフリーの金属の種類を正しく認知しておくと良いです。プラチナやチタン、そしてサージカルステンレスなどがアレルギーを起こしにくいでしょう。
それから金属の成分が溶け出しにくいゴールドも、金属アレルギー対策に有効な金属の種類になります。ただしゴールドでも金メッキのような製品はメッキの部分が剥がれた時に、アレルギーを起こす要因となります。値段の安さに飛びつくのではなく慎重に判断しましょう。
金属アレルギーになりやすい人の特徴は?
金属アレルギーになりやすい人の特徴に、「汗っかき」が挙げられます。これは汗がイオン化を促す分泌液だからであり、金属アレルギーのメカニズムからも推測できます。
例えば、身近な周囲の人を観察した場合に日常生活の中で自分よりも大量に汗かきな人が存在しますが、このような汗かきの人は他の人と比べると、金属アレルギーになりやすい条件を備えているとされています。
汗っかきの方は特に、金属製アクセサリーを日常的に身につけることは避けた方が良いと言えるでしょう。しかし、例えばめでたくウエディングが決まり、結婚準備のためにエンゲージリングを選ぶことになったとします。皮膚科などで金属アレルギーと知ってしまったら、せっかくの結婚指輪も付けられるかどうか不安になりますよね。
そのようなケースでは、プラチナやゴールドなどがアレルゲンとなりにくい金属素材ということを思い出しましょう。それからジルコニウムやチタンなども、金属アレルギー対策におすすめのエンゲージリングになります。
これらの金属素材は表面が酸化被膜になるため、オリジナリティあふれる自分たちだけのエンゲージリングが出来るということです。グリーンなどの色仕上げも可能です。以上のように、金属アレルギーだからといって、アクセサリーやピアスをあきらめる必要はありません。またおめでたいウエディングでも、素敵なエンゲージリングをつけて式を満喫することができるでしょう。
あわせてどんなに汗をかきやすい体質だとしても、アクセサリーなどを楽しむことは可能です。金属アレルギーになることを恐れないで、様々な場面を楽しくクリアしていきましょう。
病院で金属アレルギーを
特定できる
自分が金属アレルギーかどうか判別できない人のために、病院で検査をして特定することができます。その具体的な方法を以下に解説します。
パッチテスト
皮膚トラブルなどを起こした時に皮膚科ではパッチテストを実施したりされますが、こういうトラブルはアクセサリーだけが原因となるわけではありません。また金属アレルギーによる皮膚疾患の場合でもアクセサリーではなく食品などがアレルゲンとなることもあります。金属アレルギーの検査にはパッチテストが有効という観点から、外来などへ行くと検査をされることが多いでしょう。もしも手荒れなどの原因が不明ということならパッチテストはおすすめです
それから金属アレルギーは食品に含まれる金属素材がきっかけになることもありますので、そのような食品を避ける努力も日常生活の中で必要となります。そういう積み重ねの中で皮膚状態がよくなるケースも多いでしょう。皮膚科などでパッチテストを受けるにはそれほど面倒な準備は不要になります。リラックスした状態でパッチテストにのぞんでください。
ここでひとつ確認になりますが、パッチテストの検査結果は即日で分かるものではなく、約48時間後に病院で教えてもらえるということです。このように約2日間に渡りテスト用シールを貼付した状態になりますので、それは事前に理解しておいてください。またこの期間に汗が流れやすい状況も避ける必要がありますので、この点も留意しなければなりません。シールを除去した後も数回受診があるため、仕事などの調整がつく期間を選びましょう。
金属アレルギーの症状がある人は昨今増加傾向も見られるということです。市販の軟膏などを使用してもよくならない実感がある人は、一度パッチテストを試してみるといいでしょう。皮膚トラブルなどを起こす原因がはっきり分かれば、心身ともに軽くなって今後の治療にも力が入るのではないでしょうか?例えば、手荒れの原因がハンドソープなどではなく、金属アレルギーだったというケースもありますので、思いあたる方はパッチテストを活用下さい。
血液検査
以上のようなパッチテスト以外にも血液検査で金属アレルギーの判定を行う皮膚科があります。血液検査によって血液中のIgEを測定し、金属アレルギーの判定を実施するという仕組みです。この場合に花粉症の人の数値をみると高い値が出るということですが、金属アレルギーの場合には人によって数値が不明瞭なこともあり、こういう時にはパッチテストを併用するといいです。
それから血液検査の一種としてリンパ球幼若化試験というのがあり、これを実施することでアレルギー反応が測定できるということです。いったいどの金属素材が原因なのかを突きとめることで、きっとアレルギー症状の改善も進めやすいでしょう。このような検査を受けることにより歯科治療にも役立つ可能性がありますので、パッチテストと一緒に受診してみて下さい。
経口負荷試験
続いて紹介する検査方法は、経口負荷試験です。経口負荷試験とは、アレルギーが疑われるものを単回または複数回に分けて試すことで、症状の有無を確認する検査です。金属アレルギーの有無を確認する場合は、疑いのあるごく少量の金属を飲み込み、その後体がどう反応するかを確かめるという検査となります。
診断してもらう際の注意点
ここではパッチテストを実際に体験した人の具体例をもとに、診断時の注意点について紹介していきます。
パッチテストで診断してもらう際の注意点
この方の場合、テストシールを貼付してから48時間後と72時間後の2回に渡り、皮膚科クリニックで受診をして皮膚の状態をチェックされました。シール貼付後に初回の受診で、17個のチェック項目の中でも2個の箇所にアレルギー反応が確認されたということです。そのあと72時間後の受診時には、初回受診時のアレルギー反応のうち1つが消えていました。
しかしそれらとは別の金属アレルギー反応が新たにわかり、それがニッケルであると判明したのです。それらをすべて足し算すると3つのアレルゲンになったわけです。「やっぱり金属アレルギーだったのね!」と思わず叫んでしまいそうになられましたが、皮膚トラブルの元凶が判明したので逆にすっきりしたとのことです。またアレルギー反応が現れるのが検査の直後ではないということも、パッチテストの体験を通して理解できたそうです。
テストシールを貼付して赤みを帯びた箇所には、皮膚科のドクターがステロイド剤をぬってくれて検査完了となりました。そのドクターのアドバイスとしては、アレルゲンがニッケルになるのでそれを避けるようにとのことでした。金属アレルギーの疑いがある方は以上のような内容を理解されて上で、パッチテストの診断にのぞんで下さい。
金属アレルギー全般の注意点
まず始めに先ほどのパッチテストの補足をさせていただきますが、金属アレルギーの原因が判定できるとはいえ、人によっては検査を辛いと感じられる場合もあります。例えば、テストシールを貼付した箇所が熱を帯びて、かゆみにも悩まされることがまれに起こります。こういった辛い体験を乗り越えてでも金属アレルギーかどうかを判別できることが、皮膚トラブルなどの改善にきっと役立つことは間違いないでしょう。
パッチテストで赤みを帯びた皮膚の部分も1ヶ月以内には消えていくということです。心配することはありません。ただここでひとつ確認させていただくと、金属アレルギーの検査が引き金となり、結果的に金属アレルギーを発症してしまうということが、ごくまれに起こると考えられています。あまり神経質にとらえる必要はありませんが、すべてのことに様々な可能性があるということです。
それから歯科治療を受ける予定のある人なら、事前に金属アレルギーかどうか判明しているとスムーズに治療が進められるでしょう。すでに口腔内で使用している銀歯などがアレルゲンとなるなら、それらを除去する必要もありますので、歯科医に相談をして下さい。
あわせて一例として金属アレルギーの原因がニッケルであれば、毎日の生活からそれを遠ざける努力も求められます。
ステンレス製のものなどニッケルが含まれることもあるので要注意でしょう。また食品にも含まれていますのでチェックを怠らないで下さい。
全身型金属アレルギーとは?
ここからは、全身型金属アレルギーについてご紹介いたします。あまり聞き慣れない病名ですが、金属アレルギーは大きく2つに分類されることを認識しながら読み進めてください。
全身型金属アレルギーのメカニズム
歯科治療などでよく見られる金属アレルギーの中には、大きくわけて2種類あり、それは局所型金属アレルギーと全身型金属アレルギーの2つになります。例えばアクセサリーなどが肌に触れることで引き起こす皮膚トラブルなどは、局所型金属アレルギーに分けられます。そうではない種類のアレルギー症状が全身型金属アレルギーに入ってきます。
この全身型金属アレルギーのメカニズムを考えてみると、歯科治療で銀歯などの金属部品が使用された時に、それがイオン化した状態で溶け出した結果、口腔内から体内へ吸収されることにより発症します。この状態を一般的にはアレルギー反応と総称しますが、それではなぜ口腔内とは距離の離れた手足の皮膚トラブルなどを起こすのでしょう?
これは例えば、歯の噛み合わせに問題があったり口腔内が酸性化したりすると、金属がイオン化状態に変化し体内へと吸収されるということです。あわせて手足という箇所はいつも空気にさらされやすく、汗腺がたくさん存在する場所になることも皮膚トラブルが出やすいメカニズムとなっています。また足の場合なら水虫などと混同しないよう注意が必要です。
実際に皮膚科専門のクリニックを受診しても、上記のような皮膚トラブルがどうして起こるのか、すぐには判明しない場合もあります。水虫なのか、季節性の皮膚トラブルなのかと、様々な検査をしても答えが出ないこともあるということです。そのような場合には金属アレルギーもひとつの要因として、検査や治療を進めることが大事なポイントでしょう。
ステロイド剤がダメなら金属アレルギー
それでは以上のような全身型金属アレルギーを発症した時、どのように治療を進めればいいのでしょうか?現時点での効果的な手段としてステロイド剤での治療法がポピュラーな方法になります。ある程度の皮膚トラブルならステロイド剤でかなり改善されますが、それも徐々に効かなくなるというケースもあります。その場合には金属アレルギーの可能性が高いということになります。
このような全身型金属アレルギーと気付いた時点から、歯医者さんで銀歯などの金属部品を除去してもらうと、皮膚トラブルがかなり改善される場合もあります。それとは逆にパッチテストなどで陽性が出た人でも、金属を取り除いただけでは症状が変化しないという話も聞かれます。それほど金属アレルギーのメカニズムは単純ではないということでしょう。
ここで補足としての情報になりますが、全身型金属アレルギーの場合に起こしやすい皮膚トラブルは、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などがあげられます。もしも長年にわたって皮膚トラブルと格闘し続けているなら、あなた自身も金属アレルギーの可能性が高いでしょう。思い切って皮膚科クリニックを一度受診されると、新しい道が開けることもあります。
歯科金属アレルギーとは?
最近マスコミでも取り上げられることが多いアレルギーの話題ですが、その中でも歯科金属アレルギーの話もよく耳にします。歯科金属アレルギーについてご紹介いたします。
歯科金属アレルギーとは?
ひと昔前までは歯科金属アレルギーという単語を、ほとんど聞いたことがない程度の認知度でしたが、最近になってアレルギーのジャンルの話題になると、この言葉がよく登場します。それほど世間の関心が高まっているということです。
例えば、歯医者さんで詰めてもらった銀歯などが口腔内にあっても、長年にわたって何ともない場合でも、ある時点から急にアレルギーの症状が見られるケースも耳にします。補足として日本人全体の30%が金属アレルギーという統計もあります。
歯科金属アレルギーの具体的な事例
某歯科クリニックの営業マンの話になりますが、この方は口腔内に1ヶ所だけ銀歯がありました。銀歯を入れてからなぜか足に不具合が起こり、その時から正座ができなくなってしまったのです。そして銀歯を除去すると不思議なことに正座ができるようになりました。
別の方は長年にわたって手の皮膚トラブルで悩んでおられましたが、皮膚科クリニックを数件はしごしても一向に改善が見られなかったのです。その方も歯医者へ行き銀歯をメタルフリーの素材に変えると、皮膚症状が改善されました。
金属アレルギーになりにくい
食事を心がけよう
金属アレルギーを発症しないために毎日の食生活も大事になります。以下に金属アレルギーを抑制できるような食事をご紹介いたします。
金属を含む代表的な食品
少しの量ではありますが食事を摂る際に、金属を体内に取り込んでいる可能性があります。それがアレルギーのきっかけになる場合もあるので注意が必要でしょう。例えば、チョコレートや大豆製品以外でも、嗜好品としてのタバコにも含まれています。
またスーパーでよく目にする果物の缶詰めなどの場合、シロップ漬け状態の中で缶から金属が溶け出していくことで、それが染み込んだ果物を口にすることになります。缶ジュースにしても缶コーヒーにしても同じ状態が起こるというわけです。
こういった食品に関する金属アレルギーの判定をする手段として、チャレンジテストというものがあります。これはアレルゲンとなりそうな食品を大量に摂取することにより、金属アレルギーの原因を絞り込んでいくテストになります。皮膚トラブルが起きた食品がアレルゲンでしょう。
一例として、チョコレートが大好きで毎日のように大量摂取する人は、その成分であるニッケルが金属アレルギーのアレルゲンとなります。極端な食事制限は必要ありませんが、バランスの取れた食生活を送ることが、金属アレルギー対策にも効果的というわけです。
アレルギーはアレルゲン以外の発症要素もある
アレルギー症状を発症する要素には大きく3つあると言われています。当然ですがアレルギーの元となるアレルゲンに加え、気象状況やストレス、食生活の乱れや自律神経の状態なども関わってきます。アレルギーの元となる物質に注意するのももちろんですが、心身ともに健康的な生活を心がけることが、よりアレルギーへの対策となるでしょう。
まとめ
金属アレルギーから身を守るための方法と、原因や対策について、様々な角度からご紹介いたしました。アクセサリーやピアス以外にも金属アレルギーを引き起こす要因がいくつかありましたが、心配な症状が少しでもある方は皮膚科などでご相談下さい。
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