金を作る?賢者の石に挑み続けてきた化学者たちの歴史

金は採掘されるものという認識は、現代社会では当たり前です。しかし人間の長い歴史の中には、金を作りだそうとした化学者も多数存在します。特にファンタジーでもよく目にする「賢者の石」を作りだそうとした人も。今回は金を作りだそうと奇跡に挑み続けてきた化学者の歴史を詳しく解説していきます。
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金を作りだそうとした人たち
富の象徴でもある金は、時の権力者たちが追い求めたものでした。その思いの強さから1から作りだそうとする人も多かったようです。また金には不老不死の力があるとも信じられており、人類にとって金を作りだすことは常に夢でした。
金を作りだすための錬金術
誰もが一度は聞いたことがある錬金術ですが、実はこれは時の権力者や化学者たちが金を生み出そうとして行われていた学問でもありました。
現在でも金を人工的に作る方法はあみだされていませんが、過去には鉄や銅を金に変えられると本気で信じられており、何度も実験が行われていたのです。
実際にこの実験は世界各地で時代を問わずに行われており、ファラオが統治していた古代エジプト、天子が支配していた中国、ヨーロッパ諸国など場所を問わず錬金術は行われています。
有名な化学者
錬金術という学問の中で最も有名なのが、パラケルススという化学者です。
彼は様々な鉱物や薬物を混ぜ合わせて、人工的に金を作りだそうとしていました。また錬金術は不老不死の妙薬を生み出すことも目的としていたので、実際に実験の中で医薬品も作られていたようです。
彼が作った医薬品の中には、現在麻薬として扱われているアヘンの成分が含まれているものもあったようで、実際に死にかけた人に投薬することで蘇生した記録なども残されています。
錬金術と賢者の石の関係
様々なファンタジー作品やゲームなどで出てくる賢者の石ですが、実は現代に至るまで様々な化学者たちが作ろうと試みていました。なぜ賢者の石のような存在しないものを作ろうとしたのでしょうか。以下でその理由について詳しく解説していきます。
金を生み出すと考えられていた?
ファンタジー作品でもおなじみですが、賢者の石は金を生み出すものだと考えられていました。実際に存在しないにもかかわらず、なぜ金を生み出すと考えられていたかは謎ですが、実際に長い歴史の中で有名な化学者達があらゆる方法を試みていたようです。
もっとも存在しないことは間違いないので、金を生み出すような賢者の石はどのような優秀な化学者でも生み出すことはできませんでした。むしろ人体に有害なものを生み出してしまった、という真逆の結果に終わってしまった実験も多いようです。
万有引力で有名なあの人も錬金術を学んでいた?
現在では眉唾物の賢者の石ですが、万有引力で有名なニュートンも賢者の石を作りだすために錬金術を学んでいたことが分かっています。実際にニュートンが残した伝記にも、直筆で賢者の石を作りだすためのレシピが残されており本気で実験をしていたことはほぼ間違いないようです。
もっとも実験自体は無駄に終わったわけではなく、賢者の石を生み出す実験の過程でニュートンの光学に関する研究に影響を与えたのではないかという意見もあります。
ただニュートンほどの天才がファンタジー要素の塊である賢者の石を作りだそうとしていたということは、それほど金を生み出すことや不老不死に魅力があるからでしょう。
不老不死の妙薬?
賢者の石は不老不死の妙薬だと多くの人に考えられていました。
賢者の石ではないですが、不老不死を追い求めて金属から抽出された液体を飲んだ権力者や歴史上の有名人も多数います。
実際に古代中国の始皇帝は、賢者の石と同じような丹薬という秘薬を不老不死の薬と信じて飲んでいました。現在では始皇帝が飲んでいた薬は水銀であったことが分かっており、水銀には不老不死の効果はもちろんありません。
またアメリカ大統領のリンカーンやナポレオンなども、健康の秘薬だと信じて水銀を飲んでいた記録が残っています。
まとめ
今回は金を作ろうとした化学者達と、その目的でもあった賢者の石について詳しく解説してきました。現在でも金を人工的に作る「賢者の石」は発明されていません。もっとももしかしたら新しい技術によって、人工的に金を生み出す賢者の石が生まれる可能性はあります。現代で賢者の石を生み出そうというロマン溢れる化学者達の奮闘に期待しましょう。