マニッシュな魅力を持つボーイシャネルは、
多彩なアイテムを発表してきたシャネルの中でも珍しいメンズライクな雰囲気を持つアイコンバッグです。
その名の由来には、創業者ココ・シャネルの恋人であったアーサー・カペルが関係しています。
ここではボーイシャネルについて紹介していきます。

カール・ラガーフェルドとボーイシャネル

1983年、ココ・シャネルの意思を引き継いだカール・ラガーフェルドがシャネルのアーティスティック・ディレクターに就任しました。カール・ラガーフェルドは当時低迷していたシャネルの立て直しを行い、新たに発表したアイテムは再び世界中の女性を虜にし、シャネルを再び人気ブランドとして返り咲かせました。

そんなカール・ラガーフェルドが2011-2012年クルーズコレクションにおいて発表した新作がボーイシャネルです。
ボーイシャネルはその名の通りマニッシュなアイコンバッグで、ボーイッシュな魅力を持ちます。実はボーイシャネルは創業者ココ・シャネルの恋人だったアーサー・カペルことアーサー・エドワード・ボーイ・カペルにちなんで名付けられました。
アーサー・カペルの思い出にちなんだアイコンバッグは、それまでのシャネルのエレガントな印象をがらりと変えることに成功しました。
マニッシュでメンズライクなこのバッグは、ココ・シャネルの意思を受け継ぎモードの帝王とも呼ばれるカール・ラガーフェルドだからこそ実現した逸品です。

アーサー・カペル

ボーイシャネルの名前の元となったアーサー・カペルはココ・シャネルの最愛の恋人で、2人は資産家エティエンヌ・バルサンを通じて知り合いました。エティエンヌ・バルサン自身もまた、ココ・シャネルの恋人として知られていた人物です。

イギリス人のアーサー・カペルは裕福な実業家でもあり、恋人になったココ・シャネルの実力を認めて様々な援助を行っています。例えば1910年には帽子専門店シャネル・モードの出店のため出資や、1913年には2号店のオープンを援助しています。1号店はパリのカンボン通り、2号店はリゾート地ドーヴィルに出店されました。帽子店をココ・シャネルがオープンさせるためには、恋人アーサー・カペルの惜しみのない援助と協力が必要不可欠でした。

また、アーサー・カペルは恋人の店に出資するだけでなく、彼女に詩や哲学を教え、カメリアの花を送って愛し続けました。白のカメリアはココ・シャネルにとって大切なものになり、やがてはブランド全体のモチーフとしても取り入れられた花です。

アーサー・カペルの存在は、シャネルというブランドにとっても欠かすことができない支援者と言えるでしょう。アーサー・カペルの愛情と献身がシャネルを育て、世界に向けて成長していくための土壌を築いたことは事実です。

アーサー・カペルは他の相手と結婚しましたが、それでもココ・シャネルとの関係は続き彼女にとって良き理解者であり続けました。
恋人兼支援者として関係を続けていた2人ですが、1919年12月12日、アーサー・カペルは自動車事故によって突然この世を去ります。クリスマス休暇をココ・シャネルと過ごすために移動していた最中の事故でした。

そんなアーサー・カペルの思い出を残すのがボーイシャネルです。

ハンターのバッグから
着想を得たボーイシャネル

実のところボーイシャネルのデザイン自体はハンター用のバッグをモチーフにしており、アーサー・カペルとは関係がありません。
ボーイシャネルのモチーフのもとになったのは、ハンターが使用している弾丸爆薬用のバッグで機能性が高く実用が重視されるアイテムです。おしゃれでエレガントなシャネルのイメージとは対照的なデザインになります。

定番のクラシックチェーンバッグと比べると、ボーイシャネルはマチが広く作られています。クラシックチェーンバッグのサイズは横幅が25㎝、高さ15.5㎝、マチ6.5㎝に対して、ボーイシャネルは横幅25㎝に高さ15㎝、マチには9㎝が確保されています。縦横は同じ大きさでありながらマチを広くした作りは弾丸爆薬用のバッグから着想を得た影響でしょう。

全体で目立つのはオーバーステッチです。長方形のフラップを縁取るように配置されており、中央にはブランドマークがしっかりと飾られています。アンティーク調でまとめられたデザインはクラシックでありながらどこか辛さもあり、甘すぎず大人びた雰囲気が魅力です。
また、金具にはつや消しのガンメタを採用しているのも特徴の一つです。シャネルの金具といえば従来は金か銀が中心でしたが、ここでは重厚な雰囲気のガンメタが使われています。周囲の人の視線を集めるつや消しのガンメタが置かれることで、よりマニッシュな空気を醸し出しています。全体から見ると金具が占める割合はごく小さな一部に過ぎませんが、細部までこだわることでモチーフである弾丸弾幕用バッグを再現していることが判るでしょう。
ショルダーチェーンにも太めのガンメタカラーチェーンが使われ、男性的な雰囲気をプラスしています。ボーイシャネルのショルダーチェーンはマトラッセよりも太く、ハードな印象です。一方で女性が使っても違和感がないように細部まで調整がされており、メンズライクでありながら使いやすいアイテムとして多くの女性に愛されています。

ボーイシャネルで
人気のバリエーション展開

ボーイシャネルの定番といえばハンドバッグですが、ほかにも多数のバリエーションが発売されています。サイズ展開も豊富なため、お気に入りを見つけることができるでしょう。

ボーイシャネルハンドバッグは揺るぎない人気を誇る定番です。素材にはグレインドカーフスキンを使用しており、高級感を存分に楽しめます。ボーイシャネルといえばまずはこのハンドバッグを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
スモール、ミディアム、ラージの3サイズが展開されており、それぞれ異なる使いやすさと魅力を持っています。収納力があるミディアム、ラージサイズには長財布も入り、幅広い服装に合わせることができます。

シャネルスモールバケットバッグはバケット型のボーイシャネルです。独自の留具はハードな雰囲気を持ち、女性らしさのあるバケット型とメンズライクな留具のバランスが絶妙です。

ロングフラップウォレットは収納力のある長財布です。ラムスキンを使用し、12枚分のカードポケットが付いています。現金もカードも持ち歩きたい、おしゃれな長財布を使いたいという人にも最適なボーイシャネルです。

コーディネートにスパイスを加えるボーイシャネル

アーサー・カペルに因んで名付けられたボーイシャネルは、男性的な要素を取り入れたデザインが特徴です。ただメンズライクなだけではなくエレガントな雰囲気を合わせ持ち、様々なコーディネートに活用することができます。

直線的なフォルムを活かせば、いつものコーディネートを押し上げることが可能でしょう。
太めのチェーンやハードな金具が印象的なボーイシャネルは、パンツスタイルによく合います。例えばデニムパンツやシンプルなシャツなども合わせやすく、さらにシャネルのジャケットを羽織ることでぴったりのスタイルを完成させることができるでしょう。足元は少し甘さのあるパンプスで飾れば、男性的なボーイシャネルとシンプルな服装に女性らしさを加えることができます。

優雅で女性らしいコーディネートに、ボーイシャネルのスパイスを加えても良いでしょう。ワンピースをはじめとした女性的なコーディネートは甘くなりがちですが、ボーイシャネルによって引き締めることができます。
ワンピースにはシャネルのジャケットを羽織り、足元はブーツで引き締めても良いでしょう。甘さと辛さが絶妙なバランスを作り出し、誰もが目を惹かれるコーディネートになるはずです。

なお、ボーイシャネルのチェーンストラップは太めに作られていますが、重さは一般的なハンドバッグとそれほど違いはありません。人気のミディアムサイズの場合、チェーンストラップの重量は約700gから800g程度となっています。
重さ自体はそれほど気にすることなく、通常のハンドバッグと同様に扱うことができます。自分のスタイルと合わせて活用することで、他にはないとっておきのアイテムになってくれるのがボーイシャネルです。直線的な印象を持つハンドバッグであり、使い方次第で様々な変化を見せてくれるでしょう。男性的な要素も積極的に取り入れて自分のものにしていったココ・シャネルのように、ボーイシャネルの力を借りて自分だけのスタイルを自由自在に作り上げていくことができます。

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