エルメスの腕時計「クリッパー」は長年多くの人に愛されてきた人気モデルです。しかし、一部では「ダサい」と評価されることも見受けられます。実際は、エルメスらしい洗練されたデザインと高い品質が魅力的な時計です。

この記事では、エルメスのクリッパーの特徴や廃盤になった理由、さらになぜ「ダサい」と言われることがあるのかについて解説します。また、エルメスの腕時計が支持される理由や代表的な人気モデル、選び方のポイントや購入時の注意点についてもご紹介します。

エルメスのクリッパーの特徴

1981年に登場したエルメスのクリッパーは、19世紀の高速帆船「クリッパー号」の名を冠した腕時計で、船の舷窓を模した丸いケースとベゼルにあしらわれたビスが特徴です。文字盤は飾り気のないシンプルなデザインで視認性が高く、エレガントさと実用性を兼ね備えています。

クロノグラフ搭載の「クリッパー クロノグラフ」や、高い防水性能を備えた「クリッパー ダイバー」など多彩なモデルが展開されており、選べるラインナップがあります。

クリッパーが廃盤になった理由とは

絶大な人気を誇ったエルメスのクリッパーですが、2018年に生産終了（廃盤）となりました。

廃盤の理由についてはいくつかの説がありますが、市場の変化や素材調達の問題など主な要因が指摘されています。

素材の確保が難しい

クリッパーでは白蝶貝（マザーオブパール）の文字盤が採用されていましたが、この白蝶貝の減少と価格高騰も廃盤の一因となりました。

乱獲により素材の確保が難しくなり、原材料費の高騰で販売価格も跳ね上がったためです。

Apple Watch Hermèsの登場による需要の変化

2015年に登場したエルメスとアップルのコラボであるApple Watch Hermèsは、スマートウォッチの便利さと、エルメスならではのデザイン性を兼ね備えている製品です。

この登場も、従来のクリッパーなどアナログ時計の需要を減少させる要因となりました。

トレンドの変化

腕時計を取り巻くファッションのトレンドは常に移り変わります。シンプルでエレガントなクリッパーのデザインは、多くの人に支持されました。

しかし、長年の間に市場のニーズが変化し、新たなデザインや機能を求める声が高まっていったと考えられます。その結果、時代の流れに合わせたモデルチェンジが図られ、クリッパーは役目を終えた形となったのでしょう。

なぜクリッパーが「ダサい」と言われることがあるのか

エルメスらしい魅力が詰まったクリッパーですが、「ダサい」と評価されてしまうこともあります。

なぜそのように言われるのか、主な理由を見ていきましょう。

女性向けのイメージが強い

エルメス自体に「女性向けブランド」のイメージがあるため、男性がクリッパーを着けるとダサいと思われてしまう場合があります。

実際、エルメスは高級バッグのバーキンやケリーなどで有名で、「エルメス＝女性のブランド」という印象を持つ人も少なくありません。しかし、エルメスは1927年から、性別を問わず使える腕時計を製造し、メンズ向けのバッグや財布なども豊富に展開しています。

コーディネートしづらいことがある

どんなに高級な腕時計でも、自分の服装に調和していなければコーディネートの中で浮いてしまい、ダサく見られてしまうことがあります。

クリッパー自体はシンプルで基本的にさまざまな服装に合わせやすいデザインですが、身に付ける際には、他のファッションアイテムとのバランスに気を配った方が良いでしょう。

お金持ちアピールをしていると思われる

エルメスは世界的な高級ブランドであり、身に着けていると「お金持ちアピールをしている」と受け取られてしまう場合があります。

特にブランドを強調しすぎると自慢に見える恐れがあるため、クリッパーを着用する際はあまりひけらかさないようにすることが大切です。

時計の内部機構が自社開発ではない

クリッパーを含むエルメスの腕時計は、ムーブメント（内部機構）を自社で開発・製造していません。

時計愛好家の中にはムーブメントまで自社製にこだわる層も多く、他社製ムーブメントを搭載したエルメスの腕時計を敬遠して「ダサい」と評価する声につながることがあります。

アパレルブランドの印象が強い

エルメスは高級ファッションブランドとして有名ですが、「腕時計の専門メーカーではない」というイメージが強く、高級時計としての印象が薄い点も敬遠される理由です。

実際、ロレックスなど時計専門メーカーの方が時計ブランドとしての評価が高いため、時計愛好家からはエルメスの時計が「所詮ファッションブランドの時計」と見られ、ダサいと評価されてしまうことがあります。

エルメスの時計が人気の理由

では反対に、エルメスの腕時計が多くの人に支持されているのはなぜでしょうか。

その主な理由を見ていきましょう。

ブランド力が高い

エルメスは1837年創業の老舗高級ブランドであり、その長い歴史と伝統に裏打ちされたブランド力の高さが時計にも反映されています。

エルメスの時計を身に着けることは単に時刻を知る道具を得るだけでなく、エルメスというブランドのステータスと、卓越したクラフトマンシップを身にまとうことを意味します。こうしたブランドが持つ信頼感やステータス性が支持される大きな理由です。

時計好きからも評価が高い

ファッションブランドの時計だからといって、品質が劣るわけではありません。エルメスの腕時計は時計メーカーにも引けを取らない高いクオリティを備えており、クリッパーにも日常使いに十分な5気圧防水や、正確なクォーツ式ムーブメントが搭載されるなど機能面でも優れています。

こうした確かな品質と実用性は、時計愛好家からも評価されています。

デザインが魅力的

エルメスの時計は洗練されたデザイン性も大きな魅力です。派手すぎず上品なデザインはシーンを選ばず使え、多くの人を惹きつけます。

さらに、ケース自体が「H」の形をしたHウォッチや、クラシカルな丸型文字盤を持つアルソーなど、独創的なモデルも揃っています。

クリッパーの代表的な人気モデル

エルメスのクリッパーには多彩なモデルが存在しますが、中でも代表的な人気モデルをいくつかご紹介します。

CL4.210

「CL4.210」は直径約24mmの小ぶりなケースが特徴で、細い腕にも上品に馴染む可愛らしいデザインのモデルです。

シルバーカラーのケースに、文字盤カラーはピンク、ブラック、ホワイトなどがあり、中にはシェル（白蝶貝）素材の文字盤を採用したタイプも存在します。

シンプルながらさりげないおしゃれを演出できるため、フェミニンな雰囲気の時計を身に着けたい方におすすめのモデルです。

CL4.230

「CL4.230」は通称“クリッパー ナクレ”とも呼ばれるモデルです。文字盤に数字を配置しない代わりに、ベゼルに12個のダイヤモンドを配した華やかなデザインが特徴です。

文字盤には白蝶貝が使用されており、高級感あふれる仕上がりとなっています。クリッパーの中でも、一味違ったデザインを求める方に適したエレガントでスマートなモデルです。

CP1.210

「CP1.210」はクリッパーSMとも呼ばれる小型モデルで、シルバーを基調にしたシンプルなデザインが魅力です。

文字盤カラーはホワイト、ブラック、ピンクが揃っており、シェル文字盤のタイプもあります。オーソドックスで飽きの来ないデザインのため年代問わず身に着けられ、一度購入したら長く使い続けられるでしょう。

• おたからや査定員のコメント

エルメスの腕時計を選ぶ際のポイント

最後に、エルメスの腕時計を選ぶ際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

形状で選ぶ

まず、時計の顔であるケースの形状に注目して選んでみましょう。ケースの形は時計の印象を大きく左右します。例えば、一目でエルメスと分かる個性的なデザインなら、エルメスならではの「H」型ケース（Hウォッチ）がおすすめです。

一方、正方形のケースはクラシックでエレガントな印象を与え、長方形のケースは知的で大人っぽい印象を与えます。丸型ケースは視認性が高く、ビジネスシーンにも適しています。

ベルトの素材で選ぶ

次に、ベルト（ストラップ）の素材も重要なポイントです。ベルトの種類は見た目の印象だけでなく、着け心地にも影響します。エルメスのレザーベルトには上質なカーフ（牛革）はもちろん、さまざまな革素材が使用されており、ベーシックな色から鮮やかな色までカラーバリエーションも豊富です。

一方、エルメスのステンレス製ブレスレットにはブランドを象徴する「H」型パーツが連なったデザインのものや、フラットでシンプルなデザインのものがあります。素材や色の違いで時計の印象も大きく変わるため、自分の好みに合ったベルト素材を選びましょう。

自身の服装に合わせて選ぶ

自分の普段の服装や使用シーンに合わせて時計を選ぶことも大切です。例えば、ビジネスやフォーマルな場では、光沢が強く音の鳴る金属ブレスレットより、落ち着いた印象の革ベルトの方が好まれる傾向があります。

一方で、本革ベルトは汗や雨で傷みやすく消耗も早いため、スポーツやアウトドアで使用する場合はステンレスブレスレットの方が適しています。シーンに応じてベルト素材やデザインを選ぶと良いでしょう。

クリッパーを購入する際の注意点

クリッパーは2018年に生産が終了しているため、新品を正規店で購入することはできず、中古市場で探すことになります。購入の際には信頼できる専門店を利用し、状態の良いものを選ぶことが大切です。

耐久性が高く長年愛用できる時計とはいえ、電池式モデルが多いため、購入後に電池交換が必要になる場合もあります。また、後述するように、真贋の確認や動作状態のチェックなども怠らないようにしましょう。

真贋の判断で注意するポイント

中古市場には正規品を装った偽造品や、状態の悪いものが流通していることもあるため、購入先が信頼できる店舗かどうかを見極めることが大前提です。

そのうえで、購入前には真贋の確認と、時計自体のコンディションチェックをしっかり行いましょう。

付属品の有無を確認する

中古で購入する際は、時計に付属する箱や保証書、説明書、余りコマなどが揃っているかを確認しましょう。

特に保証書があれば本物であることの裏付けにもなりますし、後々のメンテナンスや将来的に手放す際にも役立ちます。付属品がすべて揃っている個体は、そうでないものに比べて信頼性が高い傾向があります。

動作は正常かを確認する

見た目が綺麗でも、内部の機械が劣化しているケースもあります。購入前にムーブメントが正常に動いているか（秒針の動きや時刻合わせがスムーズかなど）を確認しましょう。

クォーツ式であれば電池切れで止まっていないか、液漏れがないかをチェックし、自動巻きであればゼンマイを巻いたときにきちんと動作するか確かめると安心です。

また、可能であれば過去のオーバーホール履歴やメンテナンス状況も確認して、異常がないことを確かめてから購入するようにしましょう。

エルメスのクリッパーに関するよくある質問

エルメスのクリッパーに関するよくある質問をまとめましたので、疑問が残っている方はぜひご覧ください。

Q.クリッパーの主な特徴は何ですか？

A.クリッパーは、19世紀の大型帆船「クリッパー号」にちなみ、船の舷窓から着想を得た丸型ケースとベゼルのビスが特徴の腕時計です。

シンプルで視認性の高いエレガントな文字盤デザインに、クロノグラフモデルやダイバーズモデルなど多彩なバリエーションも展開され、高い機能性とデザイン性を兼ね備えています。

Q.クリッパーが廃盤になった理由は何ですか？

A.2018年に生産終了となった主な理由は、Apple Watch Hermèsの登場による需要変化と、白蝶貝など素材の供給難によるものです。

スマートウォッチ人気で従来の需要が減少し、さらに、文字盤に使われていた白蝶貝の資源減少による原材料高騰で採算が悪化したことが廃盤の要因となりました。

Q.素材の確保が難しいとは具体的にどういうことですか？

A.クリッパー ナクレなどに使われていた、白蝶貝（シェル素材）の供給が困難になったことを指します。

白蝶貝の乱獲によって資源が減少し価格が高騰したため、必要な素材を安定して確保できなくなりました。その結果、原材料コストの上昇が製造継続の障害となったのです。

Q.Apple Watchの登場はどのような影響を与えましたか？

A.2015年に登場したApple Watch Hermèsにより、多くの人がスマートウォッチを使うようになったため、クリッパーなど従来型腕時計の需要は減少しました。

Q.ファッショントレンドの変化はクリッパーの評価にどう影響しましたか？

A.時代のファッショントレンドが変化する中で、クリッパーのデザインやコンセプトが徐々に古く感じられるようになり、一部で評価が下がった面があります。

時計市場では新しいデザインや機能を求める声が高まり、長年続いたクリッパーはトレンドの変化に合わせて役目を終えたと見なされました。

流行の変化がクリッパー離れを生み、エルメスが新たなモデルに注力するきっかけになったといえます。

Q.なぜクリッパーが「ダサい」と言われることがあるのでしょうか？

A.1つは、エルメスが時計専門ブランドではなくファッションブランドであるため、時計愛好家から評価が低くなりがちなことです。

もう1つは、エルメス＝女性的・高級なブランドという印象から、男性が着けると違和感を持たれたり、富のひけらかしと捉えられてしまうことです。これらにより、一部でクリッパーが「ダサい」と言われてしまうことがあります。

Q.クリッパーは女性向けのモデルですか？

A.クリッパーはもともと、女性向けモデルを中心に展開されてきましたが、女性専用というわけではありません。

ケースサイズも複数用意されており、メンズ向けのクリッパー クロノグラフや、クリッパー ダイバーといった男性にも人気のモデルも存在します。

現在では男女問わず愛用されており、サイズやデザインを選べば男性でも違和感なく身につけられるユニセックスなモデルと言えます。

Q.クリッパーが合わせにくい服装はありますか？

A.クリッパーはシンプルでベーシックなデザインのため、基本的にはカジュアルからビジネスまで幅広い服装に合わせやすい時計です。

他のアイテムとのバランスにさえ気を付ければ、クリッパー自体が特定の服装に合わないということはほとんどありません。

Q.クリッパーのメンテナンスの頻度はどれくらいですか？

A.クォーツ式（電池式）のモデルの場合、2〜3年に一度の電池交換が基本的なメンテナンスとなります。

電池交換時にはパッキンの交換や防水チェックなどを行うと安心です。機械式モデルの場合は、4〜5年に一度を目安にオーバーホール（分解掃除）を行うことが推奨されます。

Q.ムーブメントが他社製でも品質に問題はありませんか？

A.問題ありません。エルメスの時計に搭載されているムーブメントには、高品質で定評のあるスイス製の機構が採用されています。

他社製とはいえ、ETA社などの信頼性の高いムーブメントであり、精度や耐久性は十分に確保されています。また、エルメスも出荷前に品質管理を徹底しているため、安心して使用できます。

Q.アパレルブランドの腕時計でも資産価値はありますか？

A.程度によりますが、一定の資産価値はあります。ロレックスなど時計専門ブランドのように大幅な価値上昇が見込めるケースは少ないものの、エルメスは世界的な高級ブランドで知名度も高いため中古市場でも一定の需要があります。

特に、状態が良く付属品が揃った個体や、生産終了後の希少モデルであれば高値で取引されることもあります。

エルメスの時計は実用品としての魅力が中心ですが、ブランドの信頼性に支えられたリセールバリューも持ち合わせています。

Q.エルメスの時計全体が支持される理由は何ですか？

A.デザインの良さと品質の高さに加え、ブランドとしての信頼感が支持の理由です。エルメスらしい洗練されたデザインはファッション性が高く、時計としてのクオリティも非常に優れています。

さらに、長い歴史に裏打ちされたブランド力とステータス性が加わり、多くの人から支持されています。

Q.代表的なクリッパーモデルの違いは何ですか？

A.CL4.210は小ぶりなケースと可愛らしいデザインが特徴です。

CL4.230はベゼルにダイヤを配し白蝶貝文字盤を採用した華やかなモデル。CP1.210は、シルバー基調のシンプルで汎用性の高い万能モデルです。

Q.クリッパー以外で人気のあるエルメス時計モデルはどれですか？

A.クリッパー以外では、ケースが「H」字のHウォッチ、錨チェーンから着想を得たケープコッド、ケリーバッグの南京錠をモチーフにしたケリーウォッチなどが人気です。

いずれもエルメスらしい独創的なデザインと魅力を備え、高い人気を博しています。

Q.クリッパーを購入する際に確認すべきポイントは具体的に何ですか？

A.主に以下の3点を確認しましょう。

• 本物かどうか
• ムーブメントが正常に動作しているか
• 箱や保証書など付属品が揃っているか

これらをチェックすれば安心です。

まとめ

エルメスのクリッパーは2018年に生産が終了しましたが、今でも中古市場で多くのファンに愛されています。廃盤の背景には市場の変化や素材調達の問題がありましたが、クリッパー自体の洗練されたデザインと高品質は今なお色あせていません。

クリッパーは、日常使いに十分な機能性と、上品なデザイン性を兼ね備えた時計です。購入を検討する際は、信頼できる店舗で真贋や状態を確認し、自分のスタイルに合ったモデルを選ぶことで末永く愛用できる一本となってくれます。

「おたからや」での「クリッパー」の参考買取価格

「おたからや」での「クリッパー」の参考買取価格をご紹介します。

画像	商品名	参考買取価格
	エルメス クリッパー ダイバーズクロノ CP2.941	218,900円
	エルメス クリッパー CP1.222	192,500円
	エルメス クリッパー SS オレンジ	116,000円
	エルメス クリッパーオーバル SS/GP ホワイトシェル文字盤	91,300円
	エルメス クリッパー SS ブラック	77,000円

※状態や付属品の有無、時期によって買取価格が異なりますので詳細はお問い合わせください。

クリッパーを手放すときは、ガラスの傷やブレスのゆるみを軽く点検し、箱や保証書など付属品をそろえておくと査定が安定しやすいです。

購入当時のストーリーを添えると、買取価格が上がることもあります。普段からケースを柔らかい布で拭き、湿気を避けて保管すれば、次の持ち主にも自信を持って渡せる状態を保てます。

• おたからや査定員のコメント

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