金をめぐる大航海時代で滅亡の危機にひんしたアラワク族とは

今でも多くの人々が資産として保有している金は、歴史的にみても常に高い価値を有していました。特に世界が大きく発展した大航海時代には、金をめぐり様々な闘争が繰り広げられるほど。今回は金をめぐる闘争に巻き込まれ滅亡の危機にまでひんしたアラワク族について詳しく解説していきます。
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大航海時代と金の深い関係
15~17世紀にかけて、ヨーロッパの列強諸国は世界中へとその支配を広げていました。特にその中でも金は大航海時代を語る上で欠かすことのできないキーワードです。以下では、大航海時代と金にどのような深い関係があったのか詳しく解説していきます。
金があれば天国に行ける
大航海時代の発端となった人物は、新大陸を発見したコロンブスです。実はコロンブスは当時のスペイン国王に対して「黄金があれば何でもでき、これを持っているものは死後天国へと行ける」と報告しています。
その後コロンブスは世界各地へと旅をしながら、黄金を探し続けます。実際に降り立った大陸の原住民から黄金を略奪した記録もあり、大航海時代の目的の1つが黄金を手に入れることだったのは間違いないようです。
黄金を求めジパングを探す
そんなコロンブスはマルコ・ポーロが著した「東方見聞録」を読んで、ジパングを探し続けていました。
ジパングとは現在の日本のことであり、過去に金を大量に使った建造物である中尊寺金色堂や当時の中国への貢ぎ物に金が多かったことでこのように呼ばれていたのです。
実際にコロンブスはジパングと間違えて降り立ったハイチの島で、原住民から金を略奪した記録が残っています。 このように大航海時代の引き金となったのか金であり、思わぬところに日本も関係していたことは歴史の面白さではないでしょうか。
大航海時代の被害者?アラワク族とは?
このように大航海時代とは、西洋の国々が金を求めて世界中に勢力を伸ばし略奪を繰り返していった歴史でもあります。そんな大航海時代の被害者ともいえるアラワク族とは、いったいどのような民族だったのでしょうか。
アラワク族とは
アラワク族は、コロンブスが大冒険の上にたどり着いたサン・サルバドル島に住んでいた先住民族だったといわれています。
黄金を求めて世界中を航海していたコロンブスは、たどり着いたアラワク族が住む場所でも略奪をしたそうです。また全く文化圏が異なる人々が持ち込んだウイルスによって、アラワク族が住んでいた地域にはウイルス性の感染症が拡大してしまいました。
その後コロンブスから得た情報をもとに、当時のスペイン政府は先住民たちを奴隷として働かせるために島から連行します。
結果、現在ではアラワク族はコロンブスがたどり着いたといわれている西インド諸島には存在しておらずほんのわずかな数しか生き残っていないそうです。
アラワク族は金を持っていたのか?
実は後に残された文献によると、アラワク族はさほど財産となる金を持っていなかったようです。しかし航海によって得られた成果を出資者に分配しなければいけなかったコロンブスは、執ように略奪をしたのではないかともいわれています。
ただ黄金を求めてやってきた強欲な人たちによって、略奪やウイルス性の感染症が流行してしまい1つの民族が滅亡の危機にまでひんしたことはあまりにも救いがない話といわざるを得ません。
現在のアラワク族
略奪やウイルス性の感染症によって滅亡に近い状態まで追い詰められたアラワク族。
現在では小さな集落を作り、南米ボリビアの北西部やアマゾン下流域なのに定住しているといわれています。民族の中でもいくつかのコミュニティに分かれており、共通している言語や習慣などでかろうじて親族関係が結ばれ統合されているそうです。
狩猟や食物の採集をして過ごしているアラワク族ですが、コロンブスを始めとしたヨーロッパ諸国の略奪がなければどのように過ごせていたのでしょうか。
まとめ
今回は金をめぐる大航海時代とその被害者であるアラワク族について詳しく解説していました。現在残されている記録は大航海時代の華やかなものばかりですが、こういった歴史の裏に略奪され滅亡の危機にひんしてしまった民族が存在していたことを忘れてはいけないでしょう。