歴史的なインフレと物価上昇に関わる国民心理

経済にまつわる話は未来のことについての答えは多数推測が可能ですが、正確な答えは誰も持ちあわせておらず、過去にある歴史からのみ学ぶことしかできません。今回は歴史的なインフレやインフレとは異なる物価上昇に着目し、日本の現状や深く関わる国民心理と照らし合わせていきます。
そもそもインフレとは何か
インフレ(インフレーション)とは物価が上がり続ける現象のことですが、言い換えると紙幣価値が下がる現象でもあります。日本でインフレ現象が起こると円安と呼ばれ、輸出業や海外観光客が増加し観光業が潤うなどと一般的には言われているのです。また物の需要が供給量を上回ることで、企業収益が高まり賃金の上昇や消費が活性化するため好景気となりやすく、金利も上昇していきます。
またインフレが進み過ぎるとハイパーインフレと呼ばれる現象が起き、この状態の場合は3年で物価が約2倍以上にもなります。広く知られた事例では敗戦後のドイツや、ロシアの経済改革などが挙げられます。
歴史的なインフレ現象と、インフレとは異なる物価上昇
日本でも敗戦直後、高度経済成長期とされる1960~70年代などでインフレ現象が起き、消費者物価指数が大きく上昇しました。その背景には、国民の豊かになりたいといった世間の雰囲気や景気の過熱があるとされています。
またこれら以外にもインフレに似た現象は起こりましたが、大半は世界的な原材料の高騰が起因なためコストプッシュ型と呼ばれる物価上昇を招き、賃金の上昇はなく消費も停滞し景気の悪循環となりました。現在の日本はこの状況が続いているとされており、金利の水準からも国民の心理的にも将来への不安が強いと言えます。この日本の低インフレ・低成長の状況はどうなっていくのかを様々な議論がなされていますが、世界的にも所得の倍増・雇用の安定などが課題の先進国も多く各国ともインフレ水準を適正値にしたい思惑は強くあると言えるのです。
今後の日本ではインフレとは異なる物価上昇に対する国民の不安解消が非常に重要で、賃金の上昇・雇用の安定化を急ピッチで図る必要があるでしょう。更に消費を促進させるためにも出世率の向上など、次の好循環となる適正なインフレ現象が起こるように次世代までを見据えた世間の高揚感が必須になってくると考えられます。
まとめ
インフレは日本においても戦後起きていた現象で、この状況下の国民心理は非常に高揚感に溢れていました。一般的にはインフレの定義を物価上昇が続く状態と習った方が多く、専門性が無い方などには物価が上昇する背景によって引き起こされる不均衡な状況の要因まで深く把握されておらず、賃金が上昇されれば嬉しいと感じておられた方も多いのではないでしょうか。
実社会に生きる私たちの何気なく感じるこの感覚は非常に重要で、生活状況が変わらないのに物価の上昇を感じることは不健全な経済状況とも言えるでしょう。歴史的なインフレ現象と大きく異なっている現状の国民心理を、今後は日本全体で盛り上げられるようにする必要がありそうです。