【ペリドット-Peridot】

8月の誕生石であるペリドットは、心を落ち着かせてくれる優しいグリーンの輝きが印象的な宝石です。優しい輝きと、神秘的な魅力で、古き時代から「太陽の石」「イブニングエメラルド」などと呼ばれ、多くの人々に愛されてきました。
ペリドットの特徴と宝石言葉
ペリドットの石言葉は「夫婦の愛・幸福・希望・平和」
8月の誕生石として有名なペリドットの石言葉には、夫婦の愛や幸福、希望、平和などがあります。美しく輝くオリーブグリーンの色合いには、気持ちを穏やかにする癒やされるパワーを持ちます。ジュエリーとして身につけると自然と前向きな気持ちになり、背中をそっと押してくれるような希望に満ちています。また、夫婦の愛や幸福、平和などの石言葉も持っているので、恋人やパートナーとお揃いで身に着けると夫婦円満に導いてくれます。日本では、結婚2周年の宝石とされているので、結婚記念日にパートナーへペリドットのジュエリーの贈り物をする人も多いです。実は、ペリドットには情欲を抑えこむ、つまり浮気防止の力があると信じている人もいるくらいパワーのある宝石なので、いつまでも仲良く幸福な家庭を築くことができます。
ペリドットは宇宙からやってくることもある神秘的な宝石
ペリドットは基本的に地中深く地下60kmあたりで生成されています。地球の地下深くに生成されたペリドットは、マグマの噴火などによって地表に運ばれますが、その時に急激に冷やされて結晶化します。したがって、通常はマントルや溶岩の中から発見されています。しかし、まれにペリドットが宇宙からやってくるパラサイト隕石から発見されることがあります。2005年には宇宙からスターダストロボットが持ち帰ってきた彗星塵の中からも発見されたことで知られています。パラサイト隕石自体が珍しいうえ、地球に落ちる際の衝撃や熱を受けて溶けてしまうので宇宙からやってくるもののほとんどが変色していますが、非常にまれに美しいオリーブグリーンカラーを保ったままのペリドットが発見されるものがあり、パラサイティックペリドットとよばれ、貴重なものとして扱われています。
ペリドットの色と魅力
黄緑からオリーブグリーンの輝きが美しいペリドット
ペリドットは、見ているだけで心が癒やされ、前向きな気持になれるようなグリーンの輝きが印象的です。実は、ペリドットの本来の色は無色透明です。結晶が生成される過程で、鉄分やニッケル、マグネシウムを含むことによって、黄緑からオリーブグリーンの色に変化します。鉄分の含有量が多いと緑が濃くなり、マグネシウムが多いと黄色が強くなります。決して派手な色ではないですが、他の宝石に劣らない上品なグリーンカラーの輝きがあり、暗くても自然と発光して周囲の人の目を楽しませます。
世界中の多くの人を魅了してきたペリドットの魅力
ペリドットは、とても神秘的な宝石として古き時代から多くのエジプト人やローマ人を中心に世界中の多くの人を魅了してきた歴史の深い宝石です。ペリドットとの関わりが深い地域では、「太陽の石」「イブニングエメラルド」などの異名をもっています。古代エジプトでは、太陽の石と呼ばれ、太陽神ラーの化身として崇められてきました。太陽神が暗闇の恐怖から守ってくれるような、いわゆる魔除けの効果があるとされてきました。クレオパトラもその美しさに魅せられた1人と言われており、クレオパトラがコレクションしていたエメラルドは、ほとんどペリドットだったと言われているほどです。また、古代ローマでは小さなろうそくの火でもエメラルドのように輝くさまからイブニングエメラルドと呼ばれていたそうです。十字軍遠征の際にペリドットに魅了されて持ち帰ったローマ人は、中世の教会の装飾にペリドットを使いました。ドイツのケルン大聖堂には、現在でも200カラット以上ある大きなペリドットが飾られています。
ペリドットの産出国
最高品質のペリドットが採れるミャンマー
ミャンマー産のペリドットは、色や輝き、大きさなど石の品質のよいものが多いことで知られています。グリーンの色味が強いものが多く採掘されていて、他の産地と比べて透明度が高いことも特徴です。あまり大きなものが採掘されることはないペリドットですが、ミャンマーでは10カラット以上の大粒の結晶も産出されることがあります。
小粒が多くとにかく産出量が多いアメリカ・アリゾナ産
アリゾナ産の特徴は、小粒の結晶がまとまって産出されることが多いのでとにかく産出量が多いことです。5カラット以下の小粒のペリドットは、指輪などに加工されて市場に流通しているようです。ミャンマー産と比べると、グリーンよりも茶色や黒が入っているものが多いので、どうしても低品質の石が多い傾向があります。しかし、美しいグリーンの輝きを持つ結晶が採掘されることもあるので、アリゾナ産だからといって、品質が低いというわけではありません。実は、アメリカ産のペリドットはハワイのものも有名です。ハワイのグリーンサンドビーチは観光地としても有名です。この緑色の正体は実はマグマと一緒に地表にではペリドットが長い時間をかけて波に削られて砂状になったものです。過去にはハワイ産のペリドットが採掘されていましたが、残念ながら現在は採掘されていません。
色味が均一で透明感のある濃いグリーンが特徴のノルウェー産
ノルウェー産のペリドットの特徴は、透明感のある濃いグリーンの結晶が多く産出されることです。たまに石の透明度が高く、品質が高いと言われるミャンマー産を凌駕するものも採掘されています。また、グリーンの色味自体が淡くても、色が均一で美しい結晶が多いのも特徴のひとつです。大きめのペリドットが産出されることも多いので、大きさを活かしたカットを施して宝飾品に加工されて利用されています。
ペリドットのお手入れと保管方法
ペリドットの基本的なお手入れ方法
ジュエリーを使用していると、どうしても皮脂や汗、ほこりなどが付着してしまいます。特にペリドットは、鉄分を含有しているので汗に含まれる塩分に弱い性質があります。使用時にペリドットが素肌になるべくつかないようにコーディネートする服などを工夫することも効果がありますが、使用した後に柔らかい布でしっかりと汚れを取り除くことが大切です。汚れを拭く時に注意したいポイントは、必ず柔らかい布を使用することです。それは、ほこりには水晶の粒子が含まれているため、硬い布で拭くと水晶の粒子がペリドットの表面を傷つけてしまうことがあるからです。ジュエリーのお手入れをするときには、宝石部分だけでなく、周りの装飾や細工部分も丁寧に拭くと、いつまでも美しい状態で保管することができます。
汚れが気になった時の特別なお手入れ
ペリドットは使用後に布で拭いてお手入れしますが、汚れが気になるときや、より細かいお手入れをしたいと考えた時には、石鹸水とぬるま湯で洗浄することをおすすめします。容器にぬるま湯を入れて、中性洗剤を溶かします。この時使用するお湯は熱すぎないように、お湯を腕にかけた時に冷たいと感じる温度が目安です。ぬるま湯と洗剤を入れた容器にペリドットを浸し、3〜5分程度漬けて汚れを浮かせます。その後、浮かせた汚れを優しく取り除くイメージで、柔らかいブラシや筆で磨きます。この時、表だけでなく、裏も綺麗に磨くようにしましょう。磨き終わったら、ぬるま湯でしっかり洗い流していきますが、この時にも容器の中で作業を行うと謝って排水口に宝石を紛失するという事故を防ぐことができるのでおすすめです。
ペリドットの保管の仕方
使用後にお手入れしたペリドットは、他のジュエリーと一緒にならないように宝石箱や小袋にいれて、個別に保管しておきましょう。
ペリドットの市場価値
ペリドットの市場価値は控えめ
古代エジプト人やローマ人をはじめ、多くの人々を魅了してきたペリドットですが、市場価値は全体的に控えめな傾向があります。市場価値は控えめですが、色や透明度、大きさなどペリドットの中にも比較的高価に取引されるものも存在しています。
純粋なグリーンに近いほど市場価値が上がる
ペリドットは基本的にグリーンの輝きを持っていますが、生成時に含有した成分によって色味が微妙に異なります。純粋なグリーンに近いほど価値が高いと言われていて、イエローやブラウン、黒みを帯びていると価値が下がってしまいます。また、透明度の高さも価値を大きく左右していて、高品質と名高いほどの透明感を持つペリドットがノルウェーから産出されることがあります。ノルウェー産のペリドットは、宝石を見た人が息を飲むほどの透明感ある濃いグリーンが特徴ですが、あまり市場に出回ることがないので、市場に出回ると高値で取引されます。ペリドットは、火山の噴火などでマグマに含まれることが多いので、地球上で冷やされて結晶ができる際にほとんどが割れてしまいます。したがって、大きいサイズの傷がないキレイな結晶はあまり産出されないので、5カラットを超えるものは流通量が少なく、市場価格も跳ね上がります。
宇宙からやってきたパラサイティックペリドットは市場価値が高い
隕石の中でペリドットが含まれている可能性がある石鉄隕石は、全体の約1%です。更にその中から、ペリドットが発見されるのも珍しいので、宇宙から降ってきたペリドットは地球産のものと分けて市場に流通しています。パラサイティックペリドットは非常に大切な存在として扱われていて、原石のまま、市場では高値で取引されています。
ペリドットの値段と価格相場
ペリドットの価格相場の目安
ペリドットは、比較的手頃な値段で流通しています。もちろん、ペリドットの色味や品質や大きさなどによっても左右されますが、小粒サイズの宝石は数千円からと価格相場も控えめです。8月生まれの守護石であり、また結婚2周年の記念石でもあるので、大切なパートナーへの贈り物として手の届きやすい宝石と言えそうです。ペリドットは5カラット以上の大きいサイズの産出量が少なく、希少性が高いです。したがって、5カラットを超える大きさのものは100万円以上で取引されているものもあります。また、ペリドットは、地球上で作られたものだけではなく、宇宙から隕石に混ざってやってきたパラサイティックペリドットと呼ばれるものが存在します。パラサイティックペリドットは非常に神秘的で貴重品として扱われていて、原石のまま、また大きすぎるものはカットを施して市場に出回っています。宇宙空間から飛来したことに悠久のロマンを感じ、パラサイティックペリドットをコレクションしている人もいて、ペリドットでは高値の数万円以上の価格相場で取引されています。
ジュエリーは組み合わせによって価格相場が変わる
ペリドットは、昔からゴールドと合わせると魔除けの効果が増すと言われている宝石です。恋人や夫婦間で贈り物として指輪やネックレス、ブレスレットなどのジュエリーを贈る場合も多く、ジュエリーとして加工されたペリドットはゴールドの細工やプラチナなどと合わせることが一般的です。また、ルビーやダイヤモンドとの相性も高く、一緒に装飾されていることも多いので、ペリドット自体の価値相場は控えめですが、ジュエリー自体の値段で考えると価値が高いこともあります。
まとめ
落ち着きのあるグリーンの輝きが印象的なペリドットは、古代エジプトやローマなど世界中で愛されてきました。8月の誕生石なので守護石として身につけている人も多いですが、結婚2年目の記念に夫婦円満を願ってかけがえのないパートナーにプレゼントする人も多い宝石です。他の宝石と比べるとペリドットの価値は控えめですが、まれに希少性の高い結晶が産出されることもあり、透明度が高い結晶やサイズの大きいペリドット、宇宙からやってきたパラサイティックペリドットなどは市場で高値で取引されています。