金1キロはいくらくらい?価格の決まり方を解説します

一般的に金は有事に強いと言われ、その価格は世界経済の情勢や世界中での取引量と変動して決まります。昨今、新型コロナウイルスの感染拡大により、金の価格は基本的に上昇傾向です。本記事では、金価格の決まり方を中心に解説していきます。
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金の価格はどのように決まるか?
日本市場の金取引価格も、基本的に海外市場と連動して価格変動が起こります。したがって、日本市場の取引価格をチェックするだけでなく、海外市場の値動きにも注視する必要があるのです。近年世界の大きな出来事と共に金がどのような値動きをしてきたのかを振り返ってみましょう。
1kgあたりの相場はどのように変化してきたか
2021年9月現在の日本における金の小売価格相場は1gあたり7,000円前後、1kgあたり700万円前後で推移していますが、過去を見ていくと大きく価格が変動しています。1970年代以前における金の価格は、1kgあたりの金価格は100万円を少し超える程度でした。現在価格の7分の1程度です。
それが1970年代から1980年にかけて、1kgあたり650万円まで高騰しました。この時代にはまず、国際的な通貨システムの崩壊、俗に言うニクソンショックです。金本位制が崩壊し、それまで通貨の王様だった金が、それ以降通貨としてみなされないことになり、外国為替相場はドルを基軸として固定相場から変動相場へと移行しました。
それを起因として起こった中東戦争の影響で、オイルショックが起き、金の価格が一気に高騰したのです。その後、金の価格はイランイラク戦争やベルリンの壁崩壊など、世界情勢が変化した時に多少価格を上昇させることもありましたが、基本的には価格を下げていき、1990年代に入る頃には1970年代以前の1kgあたり100万円台の水準まで落ち込みました。
しかし、アメリカ同時多発テロが発生した頃から金の価格が上がっていきます。実物取引であるが故の安定性が再評価され始め、リーマンショック、そして新型コロナウイルスの感染拡大で2020年8月に過去最高値の1gあたり7,769円、1kgあたり770万円を超えました。さらに今後も上がり続けていくことが予想されます。
「今日」の金価格はどのように決まるか
日本にも金の取引市場がありますが、世界中で24時間金取引が行われており、欧米やアジアの主要都市など数多くの都市に取引市場があります。その中でも、最も金の価格決定に強い影響力を持っているといわれているのがロンドンの金市場。そういった取引市場での販売価格や買取価格によって、私達が金購入する小売市場での価格が決定しているのです。
また、金の国際価格は米ドル建てで表示されるので、ドルの為替相場によって、価格も変動します。金を買う際には、ドルの価値が下がり円の価値が上がっている円高の方が有利で、金を売るならドルの価値が上がり、円の価値が下がっている円安の方が有利です。金の価格相場は、経済紙や経済ニュース等、色々な媒体で確認できます。金を取り扱う企業がホームページで取引価格を提示しているので確認しましょう。
【2021年】金の価格の動向は?
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、金価格は上昇傾向に。経済に対する先行きが見えないこともあり、実物資産で価値がゼロになることがない金の需要は高まっています。
2021年の9月現在までにおける金相場の動向をまず確認しましょう。2020年8月に最高値を付けた金でしたが、それ以降は7,000円前後で推移しました。2021年1月から3月にかけて1gあたり200円〜300円の下落があり、6月には約7,400円の2021年の最高値を付けましたが、その後は大体7000円前後で推移しています。2020年初頭に約6,000円前後で推移していたことを考えると、2021年全体で見ると7,000円前後で安定していることから、全体的には上昇傾向であると言えるでしょう。
近頃における金価格上昇の背景は、新型コロナウイルスの感染拡大です。一般的な金の性質として、経済の状況が悪化した時に需要が高まり、価格は上昇傾向に。コロナウイルスは新たな変異株の発見も続いており、今後も金の需要が高まっていくことが予想されます。このまましばらくは漠然とした経済への不安がなくなる可能性は低いでしょう。先々のことを考えて今のうちに金の保有を検討することをおすすめします。
金の売買におすすめのタイミングとは?
実物資産としての安定性を評価されている金は、頻繁に売買取引するのではなく、中・長期的な目線を持って投資していくものです。既に金投資を始めている人でも、普段は引き出しの奥に仕舞い込んでいる人がほとんどでしょう。日々その価格が変化する金はどういったタイミングで売れば良いのか。それにはいくつかポイントがあります。
インフレのタイミング
インフレとは物価が上がること。例えば、現在1000円で買えるものが将来的には1200円になるといった状態のことであり、インフレが起こると同じものを買うためによりお金がかかってしまう、つまり貨幣の価値が下がると言えます。
今後、貨幣のまま持っていると価値が下がってしまう状況であれば、金に投資するのがおすすめです。また金を購入した後に、インフレが起こると金の価値も上がります。価値が上がればさらに金の需要が高まり、ますます価格の上昇も起こり得るでしょう。
円安ドル高のタイミング
為替相場の状況も金を売却するタイミングを見極めるのに重要です。金はドル建てで価格が決まります。例えば、純金が1gあたり100ドルで取引されているケースを考えてみましょう。1ドルが100円だった場合、1gあたりの金価格は1万円です。円安ドル高が進み、1ドルが110になると1gあたりの金価格は1万1,000円となり、1,000円高く売れます。
基本的には円安が進むほど、金の価格は上がると言えますが、その傾向が強くなるほど円を手放して、金に乗り換えようという動きも活発化する傾向に。すぐに金相場が上昇し、そこまで価格差が出ないこともあるので注意が必要です。
世界情勢が不安定なタイミング
世界情勢に不安がある時も、金の価格が上がる時期です。例えば、リーマンショックは世界の人々に大きな不安を与えました。将来的に不安を感じる時、実物資産である金の人気は高まる傾向に。当時このアメリカでの危機に人々のドル不安が高まり、ドルを手放して金を保有しようという動きが活発化しました。
需要が増えれば、さらに価格が上がることが見込めるため、このタイミングで金を購入するのも良いでしょう。そのためには世界情勢に常にアンテナを張っておくことが重要です。
まとめ
金の購入は、安い買い物ではありません。大切な資産であるからこそ、予備知識を蓄えタイミングを見極めて取引したいものです。事前にできる限り利益をあげられるポイントを理解して、売却の決断をするのが良いでしょう。