本物の金か確かめるなら「密度」に注目!密度の調べ方を解説

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本物の金か確かめるなら「密度」に注目!密度の調べ方を解説

「金」は、装飾品や服飾小物をはじめとするさまざまなものに広く用いられている貴金属です。金の相場価格は徐々に上がり続けており、2021年9月時点では1g7000円前後の高額で取引されています。そんな金には、残念なことに「偽物」も多く存在しているのが現状です。本物の金かどうかを確かめる際に参考となるのが「密度」。金の密度は、実は自宅でも手軽に調べられるのです。密度とは何か、どうやって計測するのかを解説していきます。

密度とは

密度は、「物質の単位体積あたりの質量」と定義されています。少し分かりにくいかもしれませんが、金の場合通常「1cm3あたり何グラムか」を示すのが密度です。この場合、単位は「g/cm3」で表記します。

「人口密度」という言葉がありますが、これは「単位面積あたりに居住している人の数(人/km2)」です。人口密度が大きい地域には人が密集していて、小さい地域では点在しているのがイメージできるでしょうか。同じように、密度が大きい物体はぎゅっと詰まっており、密度が小さいものは詰まっていないと言えます。

よく密度と一緒に使われる言葉が「比重」です。比重は、その物質の密度と基準物質の密度との比を表します。単位はありません。通常、金のような固体の場合は4℃の水を基準物質として計算されます。混同されやすいのですが、比重と密度は別の概念です。

水の密度は約1.0g/cm3ですから、比重は密度とほぼ同じ数字となります。例えば密度が10g/cm3の物体であれば、比重は「10g/cm3÷1g/cm3=10」となるわけです。比重が1よりも大きいものは水に沈み、小さいものは浮きます。

比重≒密度は、固体か液体かといった状態が同じで、かつ同じ環境下であれば物質ごとに固有の数値を示しますので、金属固体の比重や密度を調べればその金属が何であるかを推測できるのです。

金の密度はどれくらい?

金の密度は、19.32g/cm3です。比重にすると19.32ですね。いきなりこの数字を聞いてもイメージしにくいかと思いますが、水の密度は1.0g/cm3ですので、金は水のおよそ19倍ぎゅっと詰まった物質であると言えます。比重が1よりもかなり大きいので、水に沈むことも容易に想像できるでしょう。

もしも手元に何の金属なのか分からないもの、もしくは偽物かもしれないと思う金があった場合、その物質の密度または比重が19.32に近いかどうかを調べることで種類の推測ができるのです。ただし、比重や密度が金と近いタングステン(比重19.30)などに金メッキ加工を施し、金と偽った例も報告されています。このようなケースは、密度や比重だけで見分けるのは難しいと言えるでしょう。

 

自宅でできる金の密度計測方法

通常金製品には、密度や比重がそのまま刻印されているわけではありません。正確な数値を知るためには、買取店などで専門の測定器等を使って調べるのが一般的です。

しかし、「わざわざ専門家に鑑定してもらわなくても、自分で調べる方法はないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。金の密度(比重)は、以下の方法で自宅でも簡単に計測できます。

事前に用意するもの

自宅で密度(比重)を調べる際に必要なものは、以下の通りです。

  • はかり
  • 水を入れる容器
  • 適量の水

はかりはキッチンスケールなどで構いません。小数点以下まで計測できるものが良いでしょう。0点補正機能がついているスケールだと便利です。

糸は、対象となる金属に結んで使用します。水を入れる容器は、コップやボウルなど調べたい金属を入れたときに底や側面につかない大きさのものを用意しましょう。水は金属を入れたときに容器からあふれない程度、また金属が完全に水中に入るぐらいの深さまで入れます。

このほか、測定した数値をメモするための筆記用具やメモ帳、計算に使用する電卓なども用意しておくと良いでしょう。

計測手順

計測手順を見ていきましょう。

①対象となる金属をはかりに乗せて重さを計測し、その数字をメモする(重さA)

②水を適量入れたコップをはかりに乗せる

③はかりにコップを乗せたまま、メモリを0に調節する

※0に設定できないはかりの場合は、このときの重さをメモしておきます。(重さC)

④対象となる金属に糸を結び、糸を持ちながらコップの中入れる

※金属が水中にあり、コップの底や側面には触れていないように注意してください。

※可能ならばコップの上に箸などを置き、そこに糸を結んでコップ内部に触れないように調整するとより正確です。この場合、水を入れたコップに箸を乗せてからメモリを0にします。

⑤このときはかりに示された重さをメモする(重さB)

⑥はじめに計測した金属の重さ(重さA)÷金属が水中にあるときの重さ(重さB)が密度(≒比重)となる

※0に設定できないはかりの場合は、(重さA)÷(重さB-重さC)で計算します。

なぜこの方法で密度(比重)が計算できるのかと思われるかもしれませんが、これはアルキメデスの原理を応用した方法です。アルキメデスの原理とは「流体(ここでは水)中の物体(ここでは金)が受ける浮力は、その物体(金)が押しのけている流体(水)の重さと等しい」というもの。水中で金が受ける浮力は、はかりに重さの増加分として表示されます(作用反作用の法則)。水は1cm3あたり1gですから、「押しのけている水の重さ」=「押しのけている水の体積」=「金の体積」となり、「金が受ける浮力」=「金を入れたときの重さの増加分」ですから、「金を入れたときの重さの増加分」=「金の体積」となるわけです。「金の重さ」÷「金の体積」=密度(≒比重)となります。

ただし、水中の金に付着する気泡や吊るす糸の体積、水の温度など、ちょっとしたことで数値が変わってきてしまいますので、この方法で導かれる数値はあくまでも参考値と理解しておきましょう。

正確な数値を知りたい場合には、やはり信頼できる買取店などで調べてもらうのが安心です。専門店には密度や比重を求めるための設備が整っていますので、正確な結果を得られるでしょう。

金の密度を知れば純度も推測できる

金はそのままでは柔らかくてアクセサリー等に向かないため、通常は銀や銅、パラジウムなど他の金属と混ぜ合わせて合金として使用されています。また、鉱山などで採掘される金には通常10%程度の銀が含まれており、「自然金」の純度は実はそれほど高くありません。そこから精錬を繰り返して純度を高めていくのです。純度100%の金であれば前述の通り比重≒密度は19.32となりますが、実際には純金と呼ばれる純度99.9%以上のK24であっても比重「19.13~19.51」と幅があります。よく見られる金の純度別比重は、以下の通りです。

  • K24:19.13~19.51
  • K22:17.45~18.24
  • K20:16.03~17.11
  • K18:14.84~16.12
  • K14:12.91~14.44

金の純度が低いものほど数値に幅がありますが、これは混ぜられている金属の種類や割合によって数値が異なってくるため。お手元の金製品の密度や比重が分かれば、どの純度の合金なのかが推測できることになります。金製のアクセサリーなどには「K24」「K18」などと純度が刻印されたものが多いのですが、純度が分からないものでも密度を調べることで推測できるのです。

まとめ

金の密度や比重について解説してきました。自宅で手軽に調べられるのなら、一度試してみても良いのではないでしょうか。あくまでも参考値にはなりますが、偽物かもしれないと不安だった製品や純度が分からなくなってしまったアイテムをお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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