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    ありふれた宝石なのか?
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ダイヤモンドは今の時代
ありふれた宝石なのか?
真実に迫っていく!

ダイヤモンドは珍しい宝石?

宝石の中で人気があるのはどの種類なのかを調査すると、1位はダイヤモンドであることが2017年の調査で分かっています。採掘できる宝石のほとんどはダイヤモンドであり、2012年にはロシア国内で「世界が欲しがる約3000年分のダイヤモンドが眠っている」という内容のニュースが発表されました。その一方では、ダイヤモンドより価値があると考えられている色付きのカラーストーンと呼ばれる宝石が存在します。中にはダイヤモンドより手に入りにくく、10年ほどの間で価格が急激に高騰したと言われている宝石もあります。その1つは、タンザナイトです。この石はダイヤモンドより1000倍希少と言われており、青紫色の美しい石には23カラットで500万円から600万円、加工をすると一千万円以上の値段になるといわれています。タンザナイトの結晶には内包物がない場合がほとんどで、基準としては15cm離したところから裸眼で見て何も含まれていないと判断される状態が標準レベルとなっています。アフリカのタンザニアで発見されたことが語源となり、この名前が付けられました。そして2021年まで、タンザニアのメレニア鉱山以外で発見されたという報告がありません。一方、ダイヤモンドの場合はインドのマジカワン鉱山や南アフリカ共和国のカリナン鉱山など世界に数カ所の有名な鉱山があります。このように採掘できる場所や希少性を比較してしまうと、ダイヤモンドは圧倒的に採れる量が多くてどこにでも存在している宝石であると言われ、有名ではあっても珍しい宝石とはいえないとの評価が出てきた理由が見えてきます。

 

数が少ないことで
価値があるもの!

ダイヤモンドはこれまで天然石の中で最も固く、加工にも手間がかかること、採掘も難しく費用がかかることなどから、美しく、希少価値の高い石と言われてきました。この石の採掘から流通に関しては、南アフリカ共和国のデビアス社が1888年の創立から長い間支配していました。ダイヤモンドの鉱山が発見されるとすぐに買収したりして、生産調整から販売まで、すべてにおいてデビアス社が独占していました。しかしデビアス社の力が及ばないオーストラリアやロシア、カナダや中国でダイヤモンドの採掘がはじまり、制御できない状態になっており、同社のシェアも減少傾向にあります。さらにダイヤモンドは人工的にも生み出されており、人工ダイヤまたは合成ダイヤとして現在生産されています。人工的に作られた石のほうが強度があり、熱や電気の伝導性や電子の移動度など優れている物性があるため、研磨材や切削工具に多く用いられています。加えて人工的に作られた石は天然の石と比べると30%以上も安く売られているため、その価値が下がりつつあります。また、ダイヤモンドは宝石の中で一番硬い石なので、原石を加工、カッティングするにも高度な技術が必要とされてきました。しかし美しく加工できる機械が発明され、産出量についても1870年代には100万カラットにも達しなかったものが1990年代になると1年間で1億カラット以上の採掘ができるようになりました。採れる量や加工技術が過去と比較するとかなり変化してしまい、ダイヤモンドの価値が以前より下がりつつあるのも事実のようです。

 

なぜありふれた宝石と
言われるのか?

近年、地球以外の星についての研究がさかんに行われています。その中でアメリカのアリゾナ州立大学とシカゴ大学は鉱物に関して共同研究を行い、2020年に結果を報告しています。それは地球と同様に炭素と水が豊富で、中心部が高温で高圧の環境下の星であればダイヤモンドは形成されている可能性があること、そのような星が宇宙には存在しているであろうという内容です。しかし携わった研究者は、もしそのような星が数多く存在したとしても、実際に発見することは難しいのではないかとも考えているようです。2018年のマサチューセッツ工科大学やハーバード大学などの共同研究によれば、ダイヤモンドは地球規模で考えると珍しい宝石とは言えず、比較的ありふれていてどこにでもある鉱物であることが判明し、報告されています。宝石店では貴重な石として扱われていますが、実は地球にはまだ埋まっているダイヤモンドが多く存在していて、採掘されている量がわずかなだけだというのです。しかし今後新たな鉱脈が発見されたり、過去に起きたようなダイヤモンドラッシュは期待できないであろうと言われています。その理由としては、ダイヤモンドは地球の表面下から145km~245kmの位置に埋蔵されていて、過去に採掘された場所よりも深く埋まっており、掘り出すことが難しいと考えられているためです。つまり地上へ掘り出すことはできないものの、地球規模で鉱物として考えた場合においては多数存在していると判明し、それは「ありふれた宝石」とも解釈できるため、そのように言われはじめたのでしょう。

 

数が増えれば希少性は
低下するのか?

ダイヤモンドは単一元素から成り立っていて、99.95%が炭素でできています。炭素は地球に非常に多く存在しており、条件が整えばダイヤモンドとして結晶化しやすいこと、そのため地球にはまだたくさんのダイヤモンドが埋蔵されている可能性があることが研究の結果として報告されています。しかし掘り出された石もすべて店頭に並んでいるわけではありません。採掘されたダイヤモンドは約80%が工業用、残りの15%から20%程度が宝石として流通します。また、ダイヤモンドには4Cという厳しい評価基準があります。原石をカットして重さを量り、内包物はないか、透明度が高く美しく輝くかどうかなどを判断して初めてジュエリーと認められて店に並べられます。そして宝石に値する品質を持つ巨大なダイヤモンドの原石は、歴史上ほとんど発見されたことがありません。そもそもダイヤモンドは採掘できる場所のほとんどが辺境地にあり、採掘をするための費用はかなり高額になるため、簡単に掘り起こせる鉱物ではないと言えます。そのためダイヤモンドは地球にたくさんあるのだとしても、発見してジュエリーとして加工し評価した後、ジュエリーであると認められる石となるのはほんのわずかです。工業用のダイヤモンドは宝石用と比較すると美しさがあるとは言い難く、希少性が高いとは言えません。一方、宝石用に使えるダイヤモンド、特にグレードの高い石は希少性が高いと考えられます。また、ダイヤモンドは白く光る宝石のイメージがありますが、中には色のあるダイヤモンドも存在しており、その場合は無色透明な石より価値があると言われています。

 

圧倒的な存在感は薄れない!

このように、ダイヤモンドは近年の研究結果から学術的にはどこにでも存在していて埋蔵量が豊富な鉱物である、との評価も受けていますが、実際のところ宝石としては現在でも大変価値があります。例えば調査結果によると、結婚指輪に関しては多くの女性がダイヤモンドの付いている指輪を希望していることが分かります。はめることで手元が美しく見えることや、華やかな衣装とともに身に着けることでより一層美しく演出することができるためです。ダイヤモンドには付ける人を美しくするだけではなく、身に着ける人に「この宝石に負けない自分でありたい」という気持ちにさせてくれる力があります。自分に自信があってどんな時にでも堂々としていることができる女性ほど魅力的に見えます。また「ダイヤモンド」は「何ものにも征服されない強さ」というギリシア語のアダマスが語源となっています。身に着ける人に危機が訪れた時、それを乗り越えることができるようにと力を与えてくれるともいわれています。宝石が持っている言葉としては永遠の愛、不変、純潔というものがあります。婚約や結婚時に男性から女性へダイヤモンドが贈られるのは、永遠の愛を誓うという意味があるためです。ダイヤモンドは特別な贈り物であり、渡された女性は男性を信頼すると同時に、男性がいつまでも自分を愛してくれていると自信を持つことができます。宝石としてのダイヤモンドには圧倒的な存在感があり、それは時間が経っても薄れることはありません。それはどんな大きさや形に加工しても光を失わないこと、また傷が付きにくくていつまでも輝いている宝石であることも大きいでしょう。

 

まとめ

ダイヤモンドは現在、いろいろな国で採掘されていることもあり、簡単に手に入るのではないかという考えを持つ人もいるようです。しかし実際に宝石として店頭にならぶことができるダイヤモンドは採れた原石の量の2割程度で、鉱物としての価値はあっても、ジュエリーになる可能性があるとは言えない石がほとんどです。人工的に作ることはできるものの、自然で美しい輝きのある石は簡単には作り出せません。天然のダイヤモンドは光の波長の具合で虹色の光を放つといわれています。手に入りやすくはなっても、やはりありふれている石とは言いにくいようです。

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