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硬度と靭性の大きさで
ダイヤモンドにかなう
宝石はない
ダイヤモンドが持つ物性の中でも、特に優れているのは硬度です。モース硬度という鉱物の硬さを表す基準では、最も硬い硬度10の鉱物に位置づけられています。硬度が高い物質ほど、ひっかかったりこすったりした場合でも表面に傷がつきにくいです。硬度は人間の体と比較するとわかりやすいでしょう。人間の爪の硬度は2.5程度です。爪よりも大幅に高い硬度を持っているダイヤモンドは、人間が爪でひっかいても傷がつく可能性は低いでしょう。ダイヤモンドについで硬度が高い鉱物として知られているのはコランダムですが、サファイアやルビーなどの宝石がコランダムに含まれます。赤い色のコランダムがルビーで、それ以外の色のものがサファイアです。しかし、高度が1違うだけでもダイヤモンドとルビーは硬さが大きく違い、硬さを数値に換算すると5000程度の差があります。ダイヤモンドは靭性が優れていることでも有名な宝石ですが、靭性とは物質の割れにくさのことです。鉱物を硬いハンマーで打ち付けた場合、硬度のない鉱物は簡単に割れてしまいますが、靭性が硬い鉱物は、ハンマーで打ち付けても簡単には割れたりしません。ダイヤモンドの靭性は7.5で、これは水晶などと同じレベルです。エメラルドよりも靭性が高く、宝石の中でも高度の靭性を持っています。
宝石の中で
一番硬いと言われている
ダイヤモンドにも弱点がある?
宝石の中で最も硬いと言われるダイヤモンドにも弱点があることが知られています。ダイヤモンドの弱点として有名なのは、意外に割れやすいことです。硬度が高いためひっかき傷や摩擦には非常に強いのですが、その反面硬いもので叩かれた時の耐久度はあまり高くないことが知られています。鉱物の割れやすさの基準となっているのが靭性という基準です。ダイヤモンドは鉱物の中ではそれなりに高い靭性を持っています。しかし、硬度と比較するとそれほどレベルが高くなく、固いもので強い力を入れて叩かれた場合には、簡単に割れてしまう可能性も高いです。そのため、ダイヤモンドを扱うときにはできるだけ硬いものにぶつけないように注意しましょう。過剰な力がダイヤモンドの表面に加わると、欠損してしまう場合があるためです。ダイヤモンドが衝撃に対して強くない理由には、内部の構造が大きく関係しています。ダイヤモンドは元素同士というほぼ一つの物質で結びつくことによって形作られています。そのダイヤモンドが割れやすいのは、この元素の結びつきの強さが違っていることが原因です。元素同士の結びつきが強いところでは簡単に割れたりしないのですが、弱いところを叩いてしまうと簡単に割れてしまうことがあります。
欠けたダイヤモンドは、
宝石と呼べる?
ダイヤモンドのついたアクセサリーを日常的に使用している場合、ちょっとした原因で表面の一部が欠けてしまうことがあります。ダイヤモンドは美しい輝きを放つように繊細なカットがされているため、一部が欠けてしまうと完全な輝きも失われてしまうのです。実際にダイヤモンドのアクセサリーを愛用している人の中にも、何らかの原因により割ってしまった経験を持っている人が少なくありません。慎重に取り扱っていても偶然衝撃が加えられたことにより割れてしまうことがあるため、注意が必要になる宝石です。ダイヤモンドが欠けた場合に真っ先に持ち主が考えうる事は、欠けた状態のものを宝石と呼べるのかという心配でしょう。宝石は原石を綺麗にカッティングして作り上げるものであるため、せっかく綺麗にカットされたダイヤモンドでも、一部が欠けると宝石と呼びにくくなるのも当然のことです。ダイヤモンドの買取をしている専門店などに欠けてしまった宝石が持ち込まれることもありますが、こうした専門店でも欠けた状態のダイヤモンドの価値は非常に低くなっています。欠けた状態のダイヤモンドを買い取っているお店でも、通常の買取価格よりも大幅に低い価格で買い取られることが多いようです。状態がひどい場合には買取自体を拒否されることもあります。
優れた物性があるのには
訳がある?
ダイヤモンドの原料と
構造はどのようなものなのか
ダイヤモンドが優れた物性を持っているのには、しっかりとした理由があります。ダイヤモンドの大きな特徴としてあげられるのは一つの元素のみによって作られていることです。ダイヤモンドを作っているのは炭素という元素で、Cという元素記号で表記されます。原子量およそ12の比較的小さい元素で、原子番号は6番です。非金属元素に分類され、第14族元素や第2周期元素にも含まれています。4つの外殻電子を持っている物質で、価電子数も4であることから、4つの共有結合をすることが可能です。そのために炭素が他の元素と結びつくことにより作られる物質も多く、その数は数千万種類にも及びます。ダイヤモンドはこの炭素が99.9パーセント以上の割合を占めていて、内部に含まれるそれぞれの元素が互いに結びついているのです。同一の元素である炭素が大量に結びついている構造がダイヤモンドの特徴になっていますが、元素同士の結びつきは場所によって違いがあります。規則性を持って元素が並んでいるため、炭素同士の結びつきの強い部分と弱い部分が存在し、これがダイヤモンドの割れやすい理由です。ダイヤモンドが非常に硬い性質を持っているのは、炭素同士が共有結合していることが理由になっており、それぞれの原子は非常に理想的な角度で結合しています。
ダイヤモンドの価値を
損なわないようにする方法
ダイヤモンドは非常に高い硬度を持っていますが、割れやすい性質のため取り扱いには細心の注意を払う必要があります。手持ちのダイヤモンドを将来買取に出すことを考えている人は、価値をできるだけ損なわないようにしっかりとケアすることが必要です。ダイヤモンドは丁寧に扱っていれば長期間使用しても表面に傷一つ付けないようにすることができます。ただし乱暴に扱っていると簡単に欠損してしまうことがあるのです。外部から強い力が加わる割れることもありますが、アクセサリーの構造によって割れやすくなる場合もあります。ダイヤモンドを数本の爪で留めた立て爪というタイプのアクセサリーは、宝石が目立ちやすくなる点がメリットです。しかしダイヤが他の部分よりも突出しやすくなる分、硬いものにぶつけてしまう可能性も高くなります。そのために、ダイヤモンドの価値を損なわないようにするためには、割れ難くなるような構造のセッティングを採用した商品を選ぶとよいでしょう。またダイヤモンドの価値を下げにくいセッティングの一つが、周囲を地金で取り囲む方法です。この方法でセッティングをするとダイヤモンドに衝撃が加わりにくくなるため、価値が損なわれる可能性を減らせます。2本の金属を使用してダイヤモンドを挟むセッティングも、過剰な力がかかりにくくなる方法です。
まとめ
ダイヤモンドの持つ物性について紹介してきました。ダイヤモンドの持つ物性の中でも特に優れているのは硬度で、爪でひっかいたり摩擦したりしても簡単には傷が付きません。その一方で硬度と比較して靭性はそれほど高くないため、一定の方向から強い力が加わった場合、簡単に割れてしまうことがあります。これはダイヤモンドの構造が原因です。元素の結びつきが弱いところに衝撃を加えると割れやすい性質を持っています。ダイヤモンドの価値を損なわないようにするためには、割れやすいことに十分注意して取り扱いましょう。
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