日本の金相場はどうなる?今後のトレンドを詳しく解説

為替相場と同様に、金相場も日々さまざまな要素で値動きをしています。単純に相場の値動きだけを見ていても、次にどのように動くのかは推測できません。相場をつかむためには社会情勢や経済状況を、毎日のように詳しくチェックする必要があります。そこで今回は、今後金相場がどのような値動きを示すのか、その推測の方法の基礎について詳しく考えていきます。
金相場はどのような要素が影響して値動きするのか
為替と同じようにさまざまな要素が影響する金相場ですが、これまでの歴史をよく分析すると1つの傾向が浮かび上がってきます。
それは、世界中を巻き込むような社会的な変動が起きると、金相場は値上がりの傾向を示すケースが多いということです。例えば、アメリカと世界を巻き込んだ9.11同時多発テロの際には、為替市場に不安を感じた世界の国々や投資家たちが、安定資産である金へと投資を集中させました。
また、日本も巻き込まれたリーマンショックの際には、アメリカの為替市場は大きく下降傾向を見せた一方、金相場は大きく値上がりを示しました。
また、古くは世界大恐慌が起きた時代にも、社会体制と経済への不安から世界中の国々や著名な投資家たちが、金へと投資対象を移しているという事実もあります。
このように、インフレや金融恐慌など、世界中の人々に不安を与えて、社会体制にも大きな影響を与えるであろう出来事が起きると、金相場は値上がり傾向を示します。
これは、「株式や貨幣が紙切れ同然になってしまうかもしれない。」といった不安が、現物である金へと投資することで、「安心感を得たい」という、心理的な影響が働いているためです。
今後、同様にこういった経済的な不安がでた場合、逆に金相場は値上がりを見せると知っていれば、投資の際に有利な動きができるでしょう。
日本における金相場のトレンドはどうなのか?
これまでの歴史を振り返ると、日本において金相場のトレンドは値上がりの傾向を示しています。
ただし、もちろん例外はあります。それは日本がバブルを迎えていた高度経済成長期です。この時期には、金の価格は値下がり傾向にありました。日本は経済成長を見せており、国としても安定している状態だったためでしょう。そのため、金よりも株式や債券、不動産など、さまざまな投資対象が金よりも魅力的だったのです。
実際に世界中の国々でも、経済が安定的に成長を迎えている時代には、金よりも株式や債券、不動産など、他の金融商品が人気となる傾向にあります。
また、高度経済成長の時代を終えた日本では、引き続き長い不況が続いており、経済的にも安定した状況とは言えません。そのため、1980年当時には、金の価格が1000円を下回っていましたが、2020年頃には7000円を超えるなど、毎年のように価格を上げているのが現在のトレンドと言えるでしょう。
実際に、アメリカだけではなく日本においても、リーマンショックや9.11世界同時多発テロの際に、金価格の大幅な上昇が目立っていました。他にも大震災や大雨などによる災害の際にも、価格を上げるという日本特有の特徴もあります。
今後も、現在続いている不況が劇的に改善されるという可能性は低いため、金相場が今のまま高止まりする可能性は十分にあるでしょう。一方で、金の価値が高い状況を維持しているということは、安いときに買って高いときに売るという、投資の最も簡単な利益を得る方法が実行しづらいのも事実です。
しかし、そもそも金は株式や仮想通貨などとは異なり、頻繁に売り買いをする性質のものではありません。金以外の投資をしている人にとっては、リスクヘッジ目的の分散投資対象として、金はベストな金融商品と言えるでしょう。
日本と世界の金相場の未来はどうなる?
今もなお、さまざまな要因で値上がり傾向を示している金相場ですが、今後日本と世界ではどのような値動きを見せていくのでしょうか。
もちろん今回ご紹介したように、金はさまざまな要素に影響されて値動きする特徴があるため、確実にこのように動きますと断言することはできません。
もっとも、2021年現在、未だ世界中の国々は、新型コロナウイルス感染拡大に対する対応に追われています。そのため各国での経済活動が頻繁に行われているというわけではなく、まだまだ為替相場に対する不安は取り除かれていないのです。そういった背景もあるため、金相場においても大きな変化は生じない可能性が高いでしょう。
実際に新型コロナが感染拡大したときに、一時的に大きな値上がりを見せた後には、値崩れをすることなく微増・微減を繰り返しながら一定の価格を保っています。
そのため、今後大きく値崩れをするということは考えにくく、現在の状況を鑑みると分散投資対象として、かなり適していると言えるでしょう。
今回ご紹介したように、有事のときに力を発するのが金です。そのため、将来に備えて少しずつでも買い足していくと、今後大きな変化があったときに利益を得ることができる可能性も高いです。
金投資を考えている方、実行している方は、今後も世界の状況を注視しながら、どのように値動きをしていくのか、しっかりと見守っていく必要があるでしょう。
まとめ
今回は日本の金相場のトレンドについて改めて詳しく考えてきました。現在のトレンドは上昇傾向にあり、今後も大きく値崩れを起こすことは考えにくいでしょう。もっとも社会情勢の変化によっては、激しい変化が生じる恐れもあるため、常に最新の情報を追い続ける必要があります。