【オニキス(オニックス)-Onyx】

オニキス(onyx)は、平行な縞を持っているメノウです。オニキスの縞模様が爪に似ているので、ギリシャ語の「爪」を意味する言葉が由来になっています。現在オニキスは、黒一色のものを指すことが一般化しています。
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オニキス(オニックス)の特徴と宝石言葉
オニキスはカルセドニーの一種で、モース硬度は6.5から7になります。鉱物名は「石英」です。オニキスは、縞模様があるものと無いものがあり、縞模様がはっきり出ているものを「縞メノウ」と言いますが、平行に縞模様が現れるものだけを「オニキス」と言います。本来は縞模様があるものはオニキスですが、一般的に黒一色ものが今では通称でオニキスと呼ばれ、この正式名称は「ブラックカルセドニー」です。オニキスは半透明から不透明のものまでさまざまで、オニキスの縞の色は黒色や白色だけでなく、様々な色があります。きれいな黒色と白色の層になっている石は、カメオの材料として古くから利用されていました。
オニキスの石言葉は、「潜在能力の開花」「遠くない成功」「集中力」「運動能力を高める力」などがあります。もともと持ち主が持っている能力に働きかけて、成功に導くという効果があります。冷静に物事に向き合える正しい判断力や決断力を高めてくれます。また、パワーストーンとしても有名で、マイナスの波動や悪霊から身を守ってくれる、魔除けの石として知られています。歴史的にも、インドでは修行僧が悪いものから退けるために身につけていましたし、キリスト教ではロザリオの石として、魔除け用に使われていました。
サードニクス(赤縞メノウ)の石言葉は、「幸せな結婚」です。
オニキス(オニックス)の色と魅力
オニキスとは、本来は平行する白い縞模様があるものを指します。黒と白の縞模様のものがよく知られていますが、赤からオレンジと、黄色から白の縞模様があるサードニクス、赤と白の縞模様がはっきりしないオレンジ色に近いカーネリアンオニキス、水色と白の縞模様のブルーレースアゲートなどもあります。黒白の縞の部分から、白い部分を取り出したものはホワイトオニキスで、黒白の縞模様を利用して、眼のように見せる天眼石も仲間です。
しかし現在は一般的に「オニキス」と言えば、縞模様がない真っ黒なものの通称になっています(正式名称は「ブラックカルセドニー」)。ブラックオニキスは輝きやツヤがあるものの価値が高くなります。黒一色のオニキスは珍しく、古代より人工処理をされており、市場のほとんどのブラックオニキスは人工的に染色しています。砂糖に浸して煮沸して、硫酸につけることで炭素化し、黒色のツヤのあるオニキスになります。サードニクスは鉄が含まれているので加熱して濃い赤色に、クロム酸塩を使うことで緑に色を変えることも可能です。
オニキスは石の性質から染色しやすく、ブルーやグリーンのオニキスも流通しています。身近な鉱物で染色を楽しめるので、古くから幅広い範囲で装飾品などとして様々に使われてきました。
オニキス(オニックス)の産出国
オニキスは世界各地から広範囲に渡って産出されています。代表的な産地としては、ブラジル・インド・ウルグアイですが、他にもアルゼンチン・アメリカ・オーストラリア・サウジアラビア・トルコ・チェコ・南アフリカ・中国・ドイツ・モロッコ・ペルーなどがあります。ブラックオニキスは、特にアメリカのアリゾナ州セブンスプリングス鉱山が良質なものが出てくるので有名です。ホワイトオニキスは古くはシチリア島で採掘され、今ではチェコが有名です。
インダス文明の遺跡からはサードニクスの装飾品がたくさん発見されており、メソポタミアに輸出されていました。紀元前2500年以前からすでに採掘を行なっていたほど、古くから馴染みのある石だったことがわかります。古代ローマでは印章に使われましたし、層によって色が違うことから、カメオの材料としても重宝されました。
また、世界各地で採掘されることから、色々な逸話があります。ペルシャでは、この石を焼いた煙で台風の進路をそらし川の流れを止めると伝えられています。ヨーロッパでは悪魔の石とされていましたが、その後、カトリックの聖職者たちが、誘惑から身を守るために守護石として身につけました。キリスト教ではロザリオの材料として使われています。インドでも修行僧が誘惑を断ち切るようにオニキスを身につけていたそうです
オニキス(オニックス)のお手入れと保管方法
お手入れについては、使うことでホコリや皮脂が付着しますので、普段は柔らかい布などで拭きます。出来るだけこの方法で、普段から汚れを落とすことを意識するのが重要です。汚れが目立つときは、中性洗剤数滴を溶かした水で、軟らかい歯ブラシなどを使って優しくこすって汚れを取ります。汚れを落としたら、水分を必ず拭き取ってください。オニキスは多孔質で水分が染み込みやすい性質があり、退色を避けるためにも、つけ置き洗いはやめてください。アルコール消毒については、オニキス自体が人工着色されているものが多いので、やらない方が無難と言えます。
また、オニキスと金属を組み合わせたアクセサリーの場合は、金属を磨く布でオニキスも一緒に拭かないように気をつけてください。せっかくのオニキスの光沢に傷がついて、良さが半減してしまいます。
紫外線に弱いので、太陽光が届かないところで保管します。石としては丈夫な方なので、神経質になる必要はありませんが、強い衝撃を与えたり他の硬い石と重ねたり隣り合わせにすると、傷がつく可能性があるので、個別の袋に入れるなど別に保管すると良いでしょう。
このように、オニキスの色とツヤを長く楽しむのに大事なポイントは、余計な水分を避けることと、いかに傷をつけないかになります。
オニキス(オニックス)の市場価値
オニキスはその美しいツヤ感や色から、世界的にも人気がある石ですが、広い範囲で採れることと産出量が多いため、希少性はなく安価に手に入る石です。こうしたことから、世界中で多くのオニキスが素材としても親しまれ利用されてきました。
縞模様のあるオニキスは、古くからカメオや彫刻・印章・食器に加工され馴染みのあるものとなっています。縞模様がバランス良く入っていると、価値が上がります。縞模様のないブラックオニキス(ブラックカルセドニー)は、漆黒と光沢が他の宝石には無い美しさなので、アクセサリーの主役はもちろん、他の色の石と邪魔にならず脇役でも存在でき、装飾的価値があります。またオニキスの多孔質で染色が容易にできる特徴から、ブルーやグリーンなど別の色味のオニキスを作り出して、よりジュエリーなどに利用しやすく楽しめる石でもあります。
ブラックオニキスは、古代から魔除けとしてのお守りになっていて、キリスト教ではロザリオ・仏教では数珠としても使われてきました。このように、特にパワーストーン市場においてブラックオニキスは、悪い縁を断ち切り精神力を高め、様々な災難から身を守ってくれる石として親しまれており、比較的手に入れやすい値段でもあるので、人気が高くなっています。色ムラがなくて、ツヤがある石の価値があると言えます。
オニキス(オニックス)の値段と価格相場
縞模様が無いものについては、色むらがなく色が均一に入っているもの、縞模様のあるものは縞がバランス良く入っているものの価値が上がります。他にはカットがいかに綺麗だとか、その石の大きさなども考慮されたうえで価格が決まります。オニキスは世界的に広く使用されていますが、産出量が安定しているので、全般的に手の届きやすい価格のものが多い印象です。
ルースであれば小さいものなら数百円から、ある程度の大きさでも数千円から購入できます。しかし、ビッグネームブランドが手がけているアクセサリーについては、デザイン料やブランド料がかかりますので、数十万円になります。例えば、有名な花の形のリングは400,000円以上です。一方、オニキスのビーズですと、8ミリで1玉15円ほどで購入できます。
産出量が安定していて、オニキスを買い求めている人も安定していますので、価格が大きく上昇・下降することは無いと言えます。また、古代から今までずっと、人々に馴染みのある石として存在しているだけあって、流行り廃りが全くありません。女性はもちろん、男用のパワーストーンやクールなデザインのリングにも使われていますので、常に買い求められている石であります。
人気はありますが、世界各地で採れるので希少性はなく、安価に手に入れることができます
まとめ
一言でオニキスと言っても、模様の美しさが際立つ縞メノウ(本来のオニキス)や、黒一色のクールでスタイリッシュなブラックカルセドニー(ブラックオニキス)があります。オニキスは、古代から現在まで、強力な効果を発揮するパワーストーンでありながら、装飾品としても大きな役割を果たしてきました。持ち主に、強い精神力と理性的な判断力を与える効果があると言われるオニキスを、ぜひ手元において使ってみてはいかがでしょうか。