エルメスのカレは90cm正方形の美しいシルクスカーフ

エルメスのカレは90cm正方形の
美しいシルクスカーフ

90cm四方のエルメスのカレは、フランス語で正方形という意味になります。
エルメスを代表するケリーやバーキンと同じように、技術の粋を集めて製作を行っているのです。
長いモデルでは約2年間の歳月を費やした、カラフルで高品質なスカーフもあり、人々を魅了する魅力に溢れた逸品になります。

Contents

エルメスのカレは1937年から始まりました
エルメスの始まりとオータクロアバッグ
エルメスのスカーフカレの製作歳月
エルメスのスカーフは美しい装い
エルメスのスカーフのサイズ
カレの中の定番人気作品
カレのデザインバリエーション
まとめ

エルメスのカレは
1937年から始まりました

エルメスのカレは世界中の女性の憧れのスカーフであり、世界中の女性たちを笑顔にしてきました。プレゼントや記念品の定番アイテムであり、滑らかで手触りに優れる心地よいシルクは、あらゆる芸術作品に匹敵する高いアートワークなのです。ファッションに一点加えるだけでラグジュアリーな雰囲気になり、例えばデニムの上下の襟元に大判の90cmのカレをふんわりと巻くだけで、それだけでモードな雰囲気に早変わりする魅力を持っております。
エルメスの創業者ティエリ・エルメスは、ドイツで生まれてフランスのパリに単身渡り、皮革加工技術を身に付けて自身の工房をスタートさせました。キャリアを13歳からスタートしたティエリ・エルメスは、生涯優れた馬具を作り続けたクラフトマンでありました。当時のパリは花の都と言われており、新しい芸術の息吹を感じながら若い芸術家の卵が集まる場所だったのです。芸術が勃発した影に、地道なクラフトマンであるティエリ・エルメスは多感な時期を、職人仕事の弟子として技術を磨き、同時に時代に満ち溢れていた芸術的な素養を吸収して、伝統と進取を内に秘めた人物であったと伝えられます。
彼の作る馬具は独創的で洗練されており、控えめでありながら時には大胆でした。見た目だけではなく機能的であり、優れた耐久性から評判になるのもそう遅くはありませんでした。1867年に開催された第二回パリ万国博覧会の銀メダルを授賞して、一気に名声を高めることになります。
ティーンエイジャーから皮革工房へ弟子入りして、30代でバス・デュ・ランパール通りに自らの小さな工房をオープンすることとなりました。その努力の結晶が銀メダルの受賞により報われた結果、『エルメス』はやがてフランスを代表するブランドにまで成長することとなりました。そして、初代が残した偉大な形跡は今でもブランドアイデンティティとして根強く刻まれているのです。
エルメスは代替わりを続け、20世紀に入り多角的な商品開発と展開を行いました。スカーフは1937年に自社生産を始め、現在も続く人気商品として知られております。初代ティエリ・エルメスが大切にした、クラフトマンシップと進取のバランスを含んだ名作の一つとして世界中から人気があるのです。

エルメスの始まりと
オータクロアバッグ

1837年に36歳で小さな工房をオープンさせたティエリ・エルメスは、これから始まる試練の日々を考えて武者震いをしていたかもしれません。動乱や流行り病で幼くして家族を失った彼は、孤児となって単身フランスに渡り、13歳から皮革工房で弟子入りをしてこの仕事に生涯を捧げることになります。ブランドの名前は自身と同じ『エルメス』です。今では知らない人がいないビッグメゾンとして健在であり、創業から180年以上の歴史を数える鞄ブランドになります。
19世紀は蒸気機関の発達により鉄道網が広がっていった時代であり、世界を旅する富裕層が増えてきました。蒸気動力は鉄道だけではなく船にも使われて、船旅をすることが当時の富裕層のステータスシンボルになっていたのです。近隣の移動では馬車が大活躍したため、こうした馬車や乗馬に使うためのアイテムを買い求める人は多くいました。
皮革工芸の工房で修業したティエリ・エルメスは、優れた馬具を作る職人として知られております。馬を傷付けないように加工された鞍は、もちろん人間にとっても座り心地の良いデザインで作られていました。馬をコントロールするための引き綱は、繊細な手の動きを馬に伝える需要なパーツです。こうした馬具を作る名手としてティエリは知られておりました。
二代目のシャルル・エルメスは、工房をパリのフォーブル・サントノーレ24番地に移し、直接顧客から馬具のオーダーを受けられるシステムを始めます。直接声を聞いて要望に応えることは難しい仕事の連続であり、苦労も絶えません。その代わりにエルメスにとっては、重要な出来事も起こりました。馬具を運ぶための鞄を依頼されて、デザインしたのはオータクロアと名付けられたベルト付きのバッグだったのです。これは馬の鞍を収納して運ぶための大型のレザーバッグで、重量に負けないように数々の工夫が施されておりました。
実はこのオータクロアは後のサック・ア・クロアに系譜し、サック・ア・クロアは改称してケリーバッグと呼ばれるようになったのです。オータクロアのデザインはエルメスを代表するもう一つの作品、バーキンバッグのデザインソースにもなっております。オーダーメイドの馬具システムが、新しいスキルと運命を変えるバッグの開発として実を結んだのです。

エルメスのスカーフカレの
製作歳月

エルメスは現在スカーフやバッグだけに留まらず、食器や腕時計をリリースする総合ファッション分野に進出しております。コラボ商品も数多く、自社の名前を冠した美しい自転車を製作したことや、高級車のシートや内装を担当したこともあるのです。香水部門は早くからあり、1936年には自社開発を行うようになりました。
伝統を持つブランドではありますが、変化や進取を好む性質を持っており、パイオニアとして道を切り開いてきたのです。世界初のファスナーバッグと呼ばれるブガッティはスポーツカーという意味のレザーバッグで、現在はボリードと呼ばれています。シンプルで美しく実用的なバッグで、発表時から基本的な形を変えていない傑作品の一つとして知られているのです。
エルメスのスカーフは最良の素材を使い、最高の技術を惜しみなく集結させて作り出されるアートワークになります。このスカーフはカレと呼ばれており、四角形の形をしていることが特徴です。フランス語でカレとは正方形の意味があり、名前を体現するようにカレは90cm四方の形状をしております。
優れた品質を持っており、繊細なシルクを計算した密度で織り込み、端の処理は機械ではなく手作業で一枚ずつ行っているのです。伸縮性に優れており手触りは魅力的な滑らかさを持っております。見た瞬間、触った瞬間に一流の品であることが分るでしょう。
エルメスのスカーフは図案のサンプル作成から決定、シルクの調達から製版の用意などを経て生産が行われます。シルクスクリーンと呼ばれる手間のかかる印刷技術を使い、色の数だけ製版が必要です。この製版を作ることが大変で、企画から完成するまで費やされる時間は約2年間と言われております。
エルメスのスカーフには一点ごとにストーリーが設定されているのも特徴です。1937年に自社生産第一号として作られたカレスカーフには、「オムニバスゲームと白い貴婦人」というタイトルが付けられております。白い円卓でボードゲームに興じる貴婦人たちの周囲には、エレガントな馬車の模様がプリントされており、まるで絵画のような一枚です。知的でメッセージ性を持ち、輝く明るい雰囲気を目指して製作が行われ、妥協のない技術と素材によって世界観の表現を実現しているのがエルメスのスカーフの本質になります。

エルメスのスカーフは
美しい装い

美しく自由なデザインは妥協を知らない産物です。エルメスのスカーフは明るく楽しく、時に哲学的で、身に着ける人を楽しくさせてくれるアイテムになります。使い方は自由自在で、ヘッドバンドとしてや、髪をまとめるヘアバンドにも役立つのです。首に巻けば防寒やファッションに有効で、パレオのように体のラインを隠すことも出来ます。お気に入りのアイテムを包むマットにもなりますし、食事の際には美麗なランチョンマットとして使うことも可能です。
90cmの正方形のカレスカーフはそのまま使うことも出来ますし、折り畳んで帯のようにして使うことも出来ます。折り畳んで細長くしてバッグのハンドルに巻くことで、自分だけのオリジナルの目印になりますし、手首に巻けばシルクブレスレットに早変わりです。こういったように使い方は自由自在で、美しい模様を楽しむことが出来ます。
またエルメスのカレスカーフを手に入れたら、ぜひ太陽にかざして見てください。透けるほど薄い布なのに、カラフルな色が数多く使われていることに気が付くはずです。ステンドグラスのような美しい光景になります。実はこの色の組み合わせは、一色ずつ丁寧な手仕事で染め上げられております。色の数だけ工程があり、製版を変えながら染め上げと乾燥を行ってゆくのです。大変手間がかかっているからこそ、この美しい図案を再現出来ることになります。
カレによっては単なるデザインだけではなく、機能を有している遊び心を付与してあるのです。63マスの世界旅行は、シルクスカーフがボードゲームになっており、サイコロとプレイヤーの人形を使ってゲームをすることが出来ます。またパリの市街地の地図がデザインされていたり、山脈の名前が記載されたモデルもあるのが特徴です。美しいだけではなく、こうした学術的であったり、地理的であるなどの要素を加えた遊び心が、エルメスのユニークなところになります。
カレスカーフは一言では語りつくせない魅力があり、プレゼントなどの贈答品はもちろんのこと、自分で毎年コレクションにしても楽しむことが可能です。スカーフの中に込められた物語を味わいながら持てば、デザインだけではなくブランドの持つ本当の価値に気が付けます。人の気分を明るくするためのアイデアが、この一枚の布の中には込められているのです。

エルメスのスカーフのサイズ

エルメスのスカーフにはさまざまな形とサイズがあります。基本仕様のカレは90cm四方の正方形で、このモデルが最も知られているデザインです。首にも巻きやすく、図案の美しさを引き出してくれるグッドサイズになります。
カレというのは正方形という意味で、90cmモデルだけではなく45cmモデルや2mオーバーのモデルも発売されました。大型サイズはそのまま肩にかけてストールのような使い方が出来ますし、風呂敷のように荷物を包むことも出来て便利になります。タペストリー代わりに壁を飾ることや、水着を着た時の視線避けや、子供の就寝時に肌掛けにするなど季節や用途によってさまざまな使い方が可能です。
エルメスのスカーフはシルクツイルで製作されております。ツイルとは折り目が斜めに見える製造方法で、綾織りとも呼ばれているのです。滑らかで繊細なことや、伸縮性があり、フレキシブルで耐久性に優れていることも特徴になります。斜めのリブパターンにより糸の打ち込みが多く、通常の平織りのように生地が偏ることも少なく、ドレープ感があるので肌への密着も高くなるのです。この柔軟性により柔らかさを実現しておりますが、シワになり難いこともメリットになります。
エルメスのスカーフには4種類の大きさが設定されているのです。最も有名なのは90cm四方のカレモデルになります。定番中の定番で1937年から製造が続けられているのです。140センチサイズのカレは、ワンサイズ大きめにしてよりゴージャス感を増加させております。パレオのように体に巻き付けたり、肩掛けにしてアレンジすることが可能です。一枚でも二枚繋げてケープのようにしても、おしゃれで可愛い雰囲気になります。
70cmサイズはやや小型なので、子供用にしたり、アクセサリー感覚でバッグに結んで楽しむのに最適です。45cmサイズはハンカチと同形であり、ポケットチーフなどに大活躍してくれます。他にも正方形ではないツイリーモデルがあり、2003年に登場した気鋭のシルクスカーフとして人気です。細長い形状をしており、スリムマフラーや鞄のハンドルに付けて飾り布として楽しむことが出来ます。

カレの中の定番人気作品

エルメスは伝統を大切にすることと同じくらい、人々の生活様式の変化に敏感に反応し新しいニーズに積極的に参入、革新を続ける事を大切にしてきました。フレグランス市場は30兆円規模だといわれておりますが、実はこの香水事業にエルメスが参入したのは20世紀の初頭だと言われております。当初は外注により香水を製造してもらっていましたが、1947年には自社開発部門を持ち、数々の優れた功績を残しているのです。時代を先取って新しい分野にも果敢に挑戦することが、エルメスの持つバイタリティでもあります。
三代目の社長であるエミール・モーリス・エルメスは、多角化経営に本格的に乗り出した経営者でした。旅行用のトラベルグッズやバッグの企画開発、ファッション性の高い鞄の制作やアパレルウェア、小物などにも積極的に取り組み成果を上げたのです。また四代目のロベール・デュマ・エルメス時代には、1937年エルメス社自社開発初のスカーフ作品である「オムニバスゲームと白い貴婦人」を発案しました。
「オムニバスゲームと白い貴婦人」は記念イヤーになると復刻されており、単なる焼き直しではなくその図案を使ってポーチやバッグが作られることもあります。白い貴婦人とは当時流行していた乗合馬車のことです。バランスの良い配色と清潔感のある図案は、上品な貴婦人のモチーフと相乗効果があり、現在でも人気のあるデザインになっております。
式典用馬勒はラグジュアリーなゴールドのデザインが特徴的な一枚です。1957年に発売されて世界で一番売れたスカーフとして、ギネスブックにも掲載されたほどの大ヒット作品になります。馬勒(ばろく)は馬の頭部に取付ける馬具のことであり、美しく装飾的なパーツです。馬具の美しいシルエットと50色以上の色使いを、繊細なシルクスクリーンで再現した見事な色彩を持つ一枚になります。
黄金の拍車は馬に乗車する時に騎手が馬に合図を送るための馬具であり、この馬具がシンメトリーに配置されたデザインは、エルメスが馬具からスタートしたことをアイコンとして語っているのです。力強く美麗で左右対称なデザインは、見る人の心を落ち着かせてくれる品の高さがあります。

カレのデザインバリエーション

カレは1937年に第一号「オムニバスゲームと白い貴婦人」が発表されてから、毎年二つのテーマを設けてコレクションが発表されております。伝統的に続くコレクションで作られた図案は1500種類や2000種類以上と言われており、多彩で物語性のあるエルメスのスカーフが根強く愛されてきた証でもあるのです。
現在でも現行作品として発売されているモデルは約800種類あると言われております。その中でも人気の作品は複数あり、エルメスの王道的な馬車や馬具をモチーフにしたモデルから、一見エルメスと遠いような奇抜なデザインまで楽しむことが可能です。
花の手紙はエルメスらしいゴージャスで大胆な花柄模様とは対照的に、素朴で儚い印象に物語性を感じさせる一品になります。封筒に入れられた可憐な花が咲き誇り、周囲には花びらが散らばっているのが特徴です。淡いベースカラーとペールカラーの外周と、中央に静かに置かれた手紙たちが独特な静寂感のあるハーモニーを奏でております。
ヴェルサイユのそぞろ歩きは、タイトルの通りヴェルサイユ宮殿をモチーフにしてあるのです。飾り窓からヴェルサイユ宮殿を見ているような構図で、幾何学的な不思議な印象を持っております。額装に入れて飾りたくなるようなアート性やテーマを持った作品です。
屋根の上の庭はフレグランス作品に同名の製品があります。モチーフはエルメスの本社であり、写実的に描かれたビルの一画だけカラー化されており、その一角が極めてシュールな雰囲気で幻想性を持っているのです。美しい街並みやエッフェル塔などが遠くに見えて、風景画のような鑑賞にも耐える作品になります。パリの街並みを一望して、エルメスの本社の屋上を俯瞰している構図はどこか不思議で、ファンならば絶対に気になってしまう作品です。
高官の鞍は豪華な鞍をサイドから見た構図になっております。威厳や地位などがこの作品では表現されており、ゴージャスな雰囲気とアンチテーゼを持つ作品だと言われているのが特徴です。デザイン的には複数のバリエーションを持っており、色を変えて重厚感を薄めてポップにしたりなど、作品自体をパロディ化した作品が過去に発売されました。