【オパール-Opal】

オパールは他の宝石のように単色ではなく、色々な色が混ざり合っている珍しい宝石として知られています。具体的な特徴や魅力を理解し、一般的な値段と手入れや保管方法などを知り、手に入れるときの参考にすることが必要です。
オパールの特徴と宝石言葉
10月の誕生石として知られるオパールは、和名を蛋白石といいます。コモンオパールが茹で卵の白身に似ていることから名づけられた名称です。もともとオパールは古代インドのサンスクリット語でウパラといい、貴重な石を表す言葉で呼ばれていました。後にギリシャへ渡り、ギリシャ語で色の変化を見るオパリオスという名称に変化しています。多くの石に、角度ごとに色が変わったように見える、万華鏡のような遊色効果と呼ばれる虹の輝きがあったことから名づけられました。なお、遊色効果のある石をプレシャスオパール、遊色効果のない物をコモンオパールと呼びます。
他の宝石と大きく異なる点は、重量の最大10%程度の水分が含まれており、柔らかい点といえます。モース硬度はガラス窓と同じくらい低めで、5から6程度です。そのため、落とすとすぐに割れます。割れなくてもひびが入る可能性は高いです。
宝石言葉は幸運・希望・忍耐・純真無垢・歓喜となっています。持っている人に希望をもたらし積極的に行動できるパワーや、幸いを与えるエネルギーを秘めている石です。
オパールの色と魅力
オパールの魅力は他にはない遊色効果だと、考えている人は少なくありません。遊色効果のあるプレシャスオパールだけではなく、遊色効果がないコモンオパールだからこそ魅力を感じるものもあります。プレシャスオパールには、ブラック・ウォーター・ファイアーオパールがあり、コモンオパールにはカンテラ・グリーン・ピンクなど種類は豊富です。
プレシャスオパールの特徴である遊色効果は表面に近い結晶の構造が光に反射して、虹のように見えるといいます。石の内部の結晶構造などによって乱反射するのです。ブラックオパールは黒蛋白石とも呼び、黒に近い濃い青を地とした遊色効果が美しいといいます。ファイアーオパールは地の色がオレンジや赤などで、炎のように見えるのが特徴です。地の色が白や乳白色の物はホワイトオパールですが、ホワイトオパールの中でも透明度の高い物をクリスタルオパールと呼ぶこともあります。
コモンオパールは遊色効果がないですが、ミルキーで温かみのある色を好む人も少なくありません。特に最近注目を集めているグリーンやピンクオパールは、パワーストーンとしての人気も高いです。カンテラオパールはコモンオパールの中に遊色効果のあるオパールを内包して、卵やカンテラのように美しい中身が見えることから芸術性が高いといいます。
オパールの産出国
オパールは産地ごとに石の特徴が大きく変わります。最も大きなシェアを誇る産地はオーストラリアで、全体の9割以上を占めるといわれているのが特徴です。ブラックオパールの産地として知られているのはニューサウスウェールズ州で、約140年前から発掘されるようになりました。ホワイトオパールの産地として有名なのはビクトリア州やサウス・オーストラリア州です。クイーンズランド州では青や緑色の地をしたボルダーオパールと呼ばれる石が採掘されています。それ以外にもコモンオパールが多く産出されています。
メキシコではファイアーオパールが多く産出されており有名ですが、2020年代にはエチオピアやブラジルでも採掘されるようになりました。ただしブラジルでは環境への配慮によって採掘を小規模に抑えているため、ブラジル産の希少価値は高いです。
コモンオパールの一部はアメリカネバダ州やチェコ、タンザニアなどでも採掘されています。日本でも富山県中新川郡立山町で採掘されていますが、ごくわずかながらプレシャスオパールが発見されたという情報もありました。
オパールのお手入れと保管方法
かつてはオパールを水につけると輝きを維持できるという都市伝説が存在していましたが、水に入れて乾かすことを繰り返すと劣化するため、避けましょう。確かにオパール自体に水分量は多いですが、何度も濡らして乾かすことで石の内部の水分バランスが崩れて、まれに砕けてしまう可能性があることがわかりました。多少の湿気には強くても、水につけっぱなしや濡れたまま放置はやめ、眼鏡拭きのような柔らかい布で拭うことが石の安全につながります。
また、水分を豊富に含む石であるため、太陽光に長く当てていると水分が蒸発して変色する可能性が高いです。保管は直射日光を避けてください。ガラス並みに柔らかい石であるため、他の宝石と触れ合わないように保管することが必要です。
手入れに超音波洗浄機を使うと、宝石にひびが入る可能性があるため避けてください。使用したら眼鏡拭きなどで優しく拭いて日光や湿気を避けて保管することで、輝きを長持ちさせることができます。力を込めて拭くと傷がつくため注意が必要です。ひどい汚れがついている場合は、柔らかめタイプの歯ブラシや筆に食器洗い用の中性洗剤をつけて洗浄することで、汚れは落ちるでしょう。
オパールの市場価値
基本的にプレシャスオパールのほうが、コモンオパールよりも価値は高いです。コモンオパールの一部はパワーストーンとしては高く評価されている物もあります。しかし、全体的にプレシャスオパールよりも市場での位置は低いのです。
プレシャスオパールの中でも透明度の高い物、遊色効果の状態、カット、地の色、産地などから、価値の高い物が判断されます。
ブラックオパール以外の物は透明度の高い物ほど高く、逆にブラックオパールは透明ではない物のほうが高いです。遊色効果の状態が大きければ大きいほど高い価値を持ち、遊色効果がないコモンオパールは宝石としての価値は低くなります。なお、遊色効果の中でも寒色より暖色のほうが人気は高いです。
きれいなカボッションカットのものほど高評価ですが、ルースでカービングと呼ばれる彫刻を施したものも価値は高いといわれています。オーストラリア産の石が宝石としての高い価値を持ち、メキシコのファイアーオパールやエチオピアのものが続きます。なお、地の色は単色と複数の色をしている物が存在し、ブラックオパールなら色が濃い物、ホワイトオパールなら透明度の高い物ほど高評価です。砂や内包物、傷などがある場合は価値が下がります。
オパールの値段と価格相場
オパールの中ではブラックが最も値段が高く、ファイアー、ホワイトの順で値段が下がっていく傾向が強いです。ボルダーオパールなどは、石の状態によってホワイトオパールと同等の価格で販売されています。コモンオパールの中でもピンクは、発色や状態の良い物を恋愛運のお守りとして求める人が多く、人気が上がってきました。グリーンはそれほど価値がなく、手芸やハンドクラフト用のビーズでグラム売りされることもあり、40g程度のものが数千円で販売されています。
全て裸石(ルース)での単価ですが、ブラックオパールは状態によって価格が天と地ほどの差があり、安い物は1カラット弱で1万円を切るものもあります。ただしグレードの高い物は1カラットで100万円以上します。ホワイトオパールは安い物なら1カラット弱で5千円未満のものもあります。高い物は数十万円以上のものが少なくありません。なお、カービングの場合はこれよりさらに割安な価格となります。ファイアーオパールの場合は1カラットで8千円から1万円前後です。アクセサリーとなった場合は、さらにこの価格よりも高くなります。
まとめ
遊色効果の高いオパールは人気が高いですが、ルースであれば比較的安値で購入できます。アクセサリーの場合は比較的高価なイメージを持つ人も少なくありませんが、ルースなら手軽に手に入れて、宝飾品店へ持ち込んでアクセサリーとして利用することができるでしょう。購入するときはきれいなカボッションカットをしているのか、大きさは希望している程度のものかなどを確認してから購入することが望ましいです。インターネットであっても、拡大して写真を見ることができる店舗のうち、口コミで評価の高いところなら信頼できるでしょう。